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【創作】連載小説「小じさん」

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不思議生命体「小じさん(こじさん)」。それは、なんだかんだいてくれて嬉しい、小さなおじさん。
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#掌編

小じさん第6話「くすんだ桃色の小じさん」

 彼とは、その後何の進展もなし。  というより、本当に私は彼のことが好きなのか、分からな…

桐沢もい
1年前
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小じさん第七話「黒い小じさん」

 気がついたらいつもの天井があった。僕の部屋の天井。僕は仰向けになっているらしい。背中の…

桐沢もい
1年前
8

小じさん第8/八話「私/僕 (小じさん)」

 う〜ん、う〜ん……  私は部屋の中を、ひとつの壁から反対側の壁まで、何度も何度も往復し…

桐沢もい
1年前
10

小じさん第9話「かたのり小じさん(前編)」

「ちょ! なにこれ。マジうま」  感激の叫びを上げ、フォークを口に加えたまま丸々とした目…

桐沢もい
1年前
7

小じさん第10話「かたのり小じさん(後編)」

「え? いや、……ううん。ちょっとぼぉっとしてただけ。何だっけ?」  と、私がごまかすと…

桐沢もい
1年前
1

小じさん第十一話「砂地の小じさん 1」

 川面が反射する光の粒に、僕は心を奪われていた。それは僕の視界の中できらきら、ちろちろと…

桐沢もい
1年前
1

小じさん第十四話「砂地の小じさん 2」

 ――ときどき心を生かしてやらんと、いずれお前さんの心はここみたいに、山奥で人知れず死んでまうことになるで。  小じさんの言葉を僕は頭の中で何度も反芻していた。  座るのにちょうどいい大きさの石を見つけた。僕はそこに腰掛け、山の斜面を流れ落ちる川の水面をじっと眺めていた。上流域のゴツゴツとした石にぶつかりながら下流へと流れる水の音が、絶えず耳に届く。遠くで鳥の気怠そうな鳴き声が聞こえる。辺りが陰る。見上げれば、灰色の雲が空を覆っていた。  小じさんは心の死に対して、こうも言