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ブラック部活の構造と解決策

0. まえがき

今日はブラック部活の話です。ブラック部活になってしまうのは、教師個人の問題ではなく、その構造にあるんですよという話です。

構造上の問題なら割と解決しやすいと思うので、実現に向けて、全国に賛同してくれる人が増えてくれたら、多くの人たちが救えるのではないかと思っています。


1. 教師のやりがい

部活動は教師にとって、生徒指導よりやりがいを感じやすいです。生徒、保護者、教師が一体となって大会を勝ち抜き、喜びを分かち合うことは何にも代えがたいやりがいだと思います。

しかも、大会を勝ち抜くことが続けば「指導力がある」という評価までついてきます。僕が高校生のとき吹奏楽部が非常に強かったのですが、やはり顧問の先生は評価されてましたね。(1ヶ月に約一回ぐらいしか来ない自分の部活の顧問と比べ)非常に熱心に指導されていました。英語の先生だったのですが、授業中に「予習していないのでよくわかりません」とおっしゃったのは今でもよく覚えてます。

塾講師の僕からすれば、新米教師であっても授業中そんなことを口にするのはプロとしてありえません。まして十年以上やっていれば、予習なしでも(もちろんどのような状況でも予習はしてほしいですが)それなりの授業ができます。できないということは努力が足りないということで、努力をする時間がなかったということです。

別に彼個人を非難しているわけではありません。そういう構造になっているということです。授業では評価されないけれども、部活動ならば評価されるという状況で、部活動を優先するのは気持ちが理解できます。

※ 勝つためにやろうとすると、手段を選ばなくなる人間はどこの世界にもいるものです。僕は部活動で教師が評価される風潮が最もよくないと思っています。体罰の問題も同じ構造をもっています。


2. 生徒のやりがい

生徒にとっても部活動は勉強よりやりがいを感じやすいです。勉強で評価されるといっても、それは校内、学年内、クラス内のことです。部活動の大会を勝ち抜けば、それ以上に評価されます。

僕は全校集会で部活動の実績を評価されている生徒は見たことありますが、勉強の実績を評価されている生徒を見たことがありません。

また、部活動は団体競技はもちろん個人競技であっても、同じ部活動の仲間が応援し、勝てば一緒に喜んでくれます。僕は、友だちの定期考査の結果がよくて本気で喜んでいる生徒を見たことがありません。

ちなみに上記の吹奏楽部の部員が、睡眠時間を削って(三時間くらいしか寝ないみたいなことを聞いたことがあります)一生懸命勉強に部活にと、文武両道に頑張っている姿はすごいなと思っていましたが、一方でドン引きしていました。あいつら頭おかしい(高校生のときの僕の感想です)

公立の先生って「文武両道」が好きですよね。


3. 熱心な保護者

どこにでも熱心な保護者はいます。特に自分の子どもの学力を諦めた親は、部活動に熱心であることが多いです。場合によっては、子どもの進学が掛かっていますからね。


4. 客観的な意見を述べる者の不在

「ちょっと部活動やりすぎなんじゃないですか?」と客観的な意見を述べてくれる人がいません。いたとしても「自分たちは望んでやっているのだ」と言われたら何も言えません。


5. 同調圧力

部活動のメンバー(教師含む)とは部活動以外の時間も交流します。「みんなやってるから、やるのが当たり前、やるのが普通」という空気ができあがります。

そんななか日本人の未成年が、自分だけ別の行動をとるなんて相当な勇気が必要だと思います。


6. 生徒・教師の入れ替わり

中学・高校ともに三年すれば生徒は入れ替わります。教師も一定の時期が来れば入れ替わります。苦しくても一生続くことはないので、その間我慢すればいいという考えになります。


7. 解決策

何度も言いますが、これは構造上の問題です。登場人物に悪い人はいません。みんなただ一生懸命やっているだけです。

構造を変えましょう。


7.1. 大会の制限

大会はやらない。もしくはやったとしても一回だけにする。勝つことにあまり意味がなければ、勝つために一生懸命になりません。発表会みたいなものにして、なるべく全員が参加できるようにすればいいと思います。勝つためにやると、「下手くそは出さない」ってなりますからね。


7.2. 選抜制の導入

他方、部活動を一所懸命やりたい生徒や教師のために、全ての部活で選抜制を導入します。複数の学校から生徒を集め、指導者として一生懸命やりたい教師を複数人用意し、週ごとに持ち回りにします。こうすることで、結果が出ても個人の手柄にならなくなりますし、ハイレベルな大会ができます。

生徒も教師も平日は学校で活動、土日は選抜で活動をする。選抜に参加しない子は土日の部活原則禁止、たまに試合をするくらいにすればいいと思います。

現在では特定の部活で、期間限定で選抜制が実施されていますが、やる気がある生徒は、恒常的に選抜での活動がメインになるようにしたほうがいいと思います。そのほうが生徒のニーズに合いやすいです。


8. あとがき

時間制限を設けるのが最も簡単な気がします。しかし、それだけだと単純すぎるのでより良い考えを生み出していくことが重要だと思います。

みなさんはどういう解決策をお持ちですか? ぜひコメントください。

サポートありがとうございます! 僕がnoteを続ける原動力を与えてくれて、心から感謝します。