2021年

もうすぐ二十歳になる長男に「20代を無難に生きるな/永松茂久」という本を買って渡した。
はて自分の20代はどうだっただろうか。
建築設計の道に行くと決めていたが、就職氷河期でまともな就職もできず、さらに本当に建築設計がやりたかったことなのかわからず、転職も3回してひたすらもがいていた。 
2000年前後の時代は、女性から見た男性に対する結婚の条件は「3高」と言われていた。Z世代と言われる今の20代では、「3低」だそうだ。「低姿勢・低依存・低リスク」。女性が男性に依存しない社会になってきたことの表れである「低依存」はいいとして、残りの二つはどうなんだろうか。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた1980年代では世界における時価総額ランキングの1位から30位までほとんど日本企業が占めていた。
今はGAFAや世界のメガベンチャーに大きく追い抜かれて、このランキングに入るのはトヨタぐらいしかない。
そうなってしまったのはなぜだろうか?
日本はハードにこだわり、IT分野におけるソフトウェアの技術が遅れていたから?
バブル崩壊の反省からリスクを取れないという、バブル後遺症?

私はバブル全盛を生きていた父親の会社があっけなくバブルで崩壊させられていたのを目の当たりにしたことがある。
確かに「自分はああなりたくない」と思うところもあったが、「リスクを取りたくない」という思いではなく、「もっとうまくやりたい」「もっと上に登りたい」というモチベーションで社会人をスタートしたことを覚えている。
 今も何かに引っかかって、ずっともがいている気がする。
私はもうすぐ45歳になるが、リスクを取らないように生きることができるほど、世の中を知っているわけでもないし、そんなに賢く生きられない。
尊敬している渋沢栄一は「論語と算盤」で「自ら箸を取れ」と言っている。
今までも自ら箸を取ってきたつもりだけど、まだなにもできていない。
これから20代になる長男に偉そうなことを言えるほどの何かがあるわけではないが、もっとたくさんのことに興味を持ち、たくさん頭と手を動かして、失敗することで学んでほしいと願っている。
 満たされない気持ちはいつまで続くのかわからないけど、健康とお金と渇望がある限り、仕掛ける手は止めない。

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