曖昧3cmそりゃ苦しい世界
卵かけご飯いわゆるTKGは食事をさぼりがちな人種にとって貴重なメニューです。白米と鶏卵なんてどちらもどんなトッピングを受け入れられる猛者なわけですから、TKGにはどんな調味料も薬味も合ってしまうんですね。
TKGには絶対これ!なんて決まってなくていい、そもそもTKGにあるべき姿なんて存在してない。絶対的なんちゃらなんて有り得ない。なのに、思春期まっさかさりだった私はこの世はYESかNO、黒か白ですべて判断できると思い込んでた。ていうか大学1年の途中までもそれだった。目玉焼きには醤油が合うのか塩が合うのかはっきりさせてよ!!って具合。なんなら、物事をいつまでもぼかしてふやかそうとする大人たちに糞くらえって思ってた。
はたして世界は私たちが容易に「言葉」で表現できるもので溢れているのか。過去の私には申し訳ないが、確実に否である。いつかは気づくことだろう。私たちよりもよっぽど余裕と暇に溢れた生活をしていた、私たちよりもよっぽど脳みそにシワが多く優れた人たちがどうして誰もが納得できるような「世界」をdescribeできていないかってことを考えれば明白に分かることだ。人は未知を怖がり、それを暴き解明して自分の知識下に置くことで安心しようとする傾向にある。だからこそ現代社会は発展し、今の私たちの生活があるのだけども。でもやっぱり、傲慢にもこの世のすべてを理解できるなんて思うべきじゃないと思うな。もし、あなたが例え賢者になれてもそれは難しいんじゃないかな。
話が急展開なのだが、曖昧な世界で脅かされず生き延びる方法の一つとして「宗教」が存在するのではないか、と主張したい。ちょうど1年前ぐらいに授業の課題で「沈黙」を読んだときに感じたことだ。主人公は人生で最大の苦難に立ち向かったときに、自身と供にしているはずの神が道を提示してくれなかったことに大層驚いていた。まさにOMG。...(すみません)。最終的に主人公は、沈黙してただ寄り添ってくれることが神の愛なのだ、と解釈していたけども。神が道を教えてくれない!って動揺している時点で、もう今まで自分では思考してこなかったことがまるわかりである。つまり「世界は神の決めることが全てだ」という考え方で停止しているのだ。この世に存在する不可思議で到底理解できない事象は神の力によるものだ、と。そういう風に世界を定義づけ安心しているのだ。至極生きやすいし、そういった面で悩むことがない穏やかな人生を送れるのだろう。私はそれを否定することは決してしない。そういう解釈もあるんだ、って思うだけだ。なんなら自分なりに世界を解釈できた彼らは私よりはるかに質の良い優れた人間なのかもしれない。たとえそれがある種依存的な考えだったとしても。
曖昧な世界で生き抜くための方法2つ目、ステレオタイプや神話の存在を心の底から信じること。なぜならこれらは先人たちが私たちに残してくれた、主観的でわかりやすい世界を見せてくれる遺物だから。こっち側で、AはこんなんでBはこんなん。それでこれは正義でこれは悪だ!って思いこめば良いんだよ。そうすれば簡単。...ってのはちょっと極端なんですけどね。でも曖昧な世界は陰に隠れて、もう私たちの視界から消えてるでしょ?(つまりは目を逸らしてるってことなんだけど)これが1年ぐらい前の私がなかなか抜け出せなかった思想なのかも。
私が選んだ曖昧な世界で生き抜くための方法は、曖昧な世界は曖昧な世界のまま放っておくことだ。これは必ずしも「わたしバカだから、ぜんぜんっわかんな~い」って言ってろってことじゃないよ。ちゃんと考えなきゃいけないことは考えなきゃダメだし、自分としての思考を持つべきだ。でも誰が正しいとか誰が悪いとか、どれが良くてそれが良くないとか、そういうことはなるべく触れない方がいい。事実と真実は違うんだ、ってなんかの作品で読んだことがあるセリフなんだけど全くその通りだと思う。私にとってそれが〇に見えても、相手には△に見えてるかもしれない。相手にとってそれが最高のものでも、私にとってはそれが最低かもしれない。客観的に明白なものなんて本当に一握りであったり、局所的なものばかりだ。だったら「世界」とは〇〇である。なんておっきすぎる問いは今の私たちが答えるには経験不足すぎる代物だろう。私たちの中で、ちんまりと「世界」をかみ砕いておこう。
どこぞの眼鏡かけたおじさんが、「人間は自由の刑に処されている」なんて言ってたけど、まったくその通りじゃないか。私は私なりに「生き抜く方法」を提示できるけど、それを決して正解だとは思わない。あなたはあなたのやり方でそれを築かなきゃいけない。だって私とあなたでは見えている世界が全く違う上に、それらは絶え間なく変化するものなのだから。私たちは曖昧な世界で何が正しいかもわからずに、「自分の好きな道を行きなさい」と言われているようなものなのだから。
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