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#56 幼馴染とサイゼリヤ

数週間前、幼馴染のSちゃんから連絡があった

受験前に会わない?と

これまでクラスメイトに遊びに誘われても勉強があるからと断ってきた

けど、Sちゃんとは行きたいと思った

必死に予定を開けて放課後、サイゼリアに行った

少し遅れて登場したSちゃん

爆速で自転車を漕いできたようだ

少しメイクをしているのが新鮮だ

なんせ私の学校はメイク禁止だから周りにメイクをしている人が多くない

しかも小学校一年生から中学校三年生まで同じ時を過ごして、その間もメイクをしているのを見たことはなかったから驚いた

ナチュラルメイクでとってもかわいかった

そして席についてSちゃんはパスタを私はシナモンフォカッチャ、ポテトを注文

ドリンクバーを一緒に取りに行くときに学校の話になった

今まで、自分から誰かに言ったことはなかったけど、珍しくその日は自分から

実は学校に特待生として選んでもらったんだよね

と言っていた

多分、誰かに褒めてほしかったんだろう

親に言っても、修学旅行に行った去年に選ばれてたらなぁなんていう返しをされてしまった一か月前が脳裏によぎる

Sちゃんは驚いて褒めてくれた

ありがとう、私の承認欲求を満たしてくれて

誘われた側なので、何か向こうが相談があるのではないかと思っていた

だけど、Sちゃんの口から出た言葉は予想外のものだった

ねぇ、(私の名前)。なんか我慢してるでしょ。吐き出しな。

なんてこった 私の話を聞くために時間を設けてくれたんだ

確かに人間関係というか、少しストレスをためていたところはある

けど、それをLINEで相談したわけでもないのになぜわかったんだろう

SNSもしていない私の心がなぜ読めたんだろう

たくさん聞いてくれたね

アイドルの話、たくさんしたね

勉強の話も修学旅行の話も

どんな私の愚痴も聞いてくれてうれしかった

そういえば、昔から私の話、よく聞いてくれてた

私の吃音がひどい時には言いたいことを察知して先に言葉を言ってくれて私がそれに合ってるとうなずく、違う言葉だった時には首を横に振るといったコミュニケーションにも嫌な顔一つせずに付き合ってくれた

泣き虫の私のそばにいつもいてくれた

初恋のキューピッドにもなってくれた

一回だけ、喧嘩もした



こんなにたくさんの愛情をくれた君に私は何ができるだろう

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