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江童短歌帖

78
今まで投稿した短歌をここにまとめる。
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2020年5月の記事一覧

あなわびしかくて過ぐべき日にあらで
このつれづれをもてあそぶかな

歌詠むをいかで易しと思ひけむ
千万の言みな異なりや

息したる時やわかちて縮むべき
命はからば道をそむかむ
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
1

「歴史」
針ならで人まためぐり刻むこそ
絶えず読まるるこの語り草

弱りにきすべき方なきこと多み
つれづれを良くすぐす時なし

新歴史創造装置稼働中
可変精神浄化完了

耐へ忍び多く許すは優しさに
あらでまことの罪待てばなり

多み…多いので。
つれづれ(名)…退屈なこと。

鱈井元衡
4年前
1

移ろへば心も他へ移るなり
捨てがたしとは思ひさだめじ

行く人のためには墓に刻まなむ
わがごとくなれ称ふるよりは

罪なくて辛き目見るとののしりて
哀れ増すよりまさる悦なし

おどろきて目さむるいまだなき我に
まことにあしき夢なほなしや

ののしる(四段)…騒ぐ。

鱈井元衡
4年前
1

さばかりの情を誰も持つなれば
清げめきたる心えうなし

かかる日と嘆きけむ声流れ来ぬ
のどかにすごき物理法則

関はらぬ我が悲しみを言ひ立てて
世を罪すればげに疎ましき

月めでて心慰む民は今
長き灯りに一人わづらふ

えうなし(ク)…役に立たない。
すごき(ク)…荒々しい。

鱈井元衡
4年前
1

まどかなる月のあかきを見るにつけ
挑まぬ日々の多かる嘆く

心なきことに心はかき曇り
知らずまだ来ぬ憎しみ備ふ

あなたなる楽しき郷に着ける人
心地よかれと友切り捨てむ

いづくにもありてなき身の心地せる
心にあはれたづぬまじくや

鱈井元衡
4年前
1

知らぬこといかで知らばや尽きせぬは
知りたきことにただ限れども

あぢきなくおぼえで物を見たきままに
学ぶ愚かさ我え笑はず
#短歌 #tanka

いかで知らばや…なんとでも知りたい。

鱈井元衡
4年前
4

我が身にはあまる命のはかなさや 忘られぬるははや恐れねど とにかくに我が身にあまる命かな かたければこそめでたくならめ #短歌 #tanka わする(四段)…意図的に忘れる。

先見えぬ世なればいとど楽しとは
言ふまじきこのうつつ知れかし

情けなき世のことわりに酔ひ果てば
恋しかるべき人も失せなむ
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
2

ありし日に帰るあたはで濡らす袖
持つは昔のいち早さかな

悲しみに楽しみまさる世なりせば
ここら狂へる人見ざらまし

木と石と近き時なき人なれば
心地まどひて死を選ぶなり
#tanka #短歌

鱈井元衡
4年前
3

世に広く交はればその狭きこと
同じき人の少なきを知る

楽しみもやうやく盛り失へば
そこはかとなく物ぞ悲しき
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
3