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江童短歌帖

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今まで投稿した短歌をここにまとめる。
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2020年3月の記事一覧

千万の年を語るな人と世を
共にする時百歳(ももとせ)かある

「はるまげどん」
春前の日の影あふぎ背をのばし
どんと一発身を焼く花火

人も病み星も病みけり裁きにや
時しも分かぬ返る波かな

こともなき世に入りたくは床深く
こもりて常に外見るなゆめ

かげ…光。
ゆめ…禁止の副詞

鱈井元衡
4年前
2

言葉より拳に語るものもあり
歌聴きて知るまたいくばくぞ

あらまして世を渡るにも荷の重く
わりなきものは男にありけり

掟をもすべきことをも言はれねば
確かめぬ我が悲しきさがよ

心よりねぢけゆがめる体こそ
生くるに合はでなほ苦しむれ

あらます…予測する
わりなし…道理がない

鱈井元衡
4年前
2

よこしまに生くる悪者打ちそしり
興とすること誰もあるべし

楽しみてばかりを許す世なりせば
言はでやむべき世ならざらまし

我が知らぬことにはいらへ語りたき
話に閉ぢぬ口いかにせむ

持つべしと夢言ふ人もいとけなく
なしとげがたき夢笑ふべし

いらふ(下二)…適当に返事する。

鱈井元衡
4年前
1

はしたなく能つく道に尽くすかな
わびしきはかく習はぬばかり

守るべきものこそあれば愛(かな)しけれ
この世もほだし背負ふこの身も

あしき奴いかほど我を損なひし
何も思ふなそも人なれば

年積みて関もれいでむ恨みをも
忘れらるれば清めらるらし
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
2

とこしへの命欲しきは痴(をこ)ならむ
一度死なば死なぬ身ぞかし

生死(しゃうじ)こそあれば命はめでたけれ
と言へば急ぐ者もいできぬ

天地は戦場ぞかし安き時
つゆ訪れず息止まるまで

戦場を楽しみまばやと語らまし
物恐るるも幻なれば
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
3

この人もいつまでかはと見るごとに
思はるるこの卑しさそしれ

国去らば我に依らんやその先も
前に同じき土のみ踏むを

為しとぐる心に「しぬ」と言ひうるは
命死ぬるに似ればならむや

暮れつかたおのが行く末思ひみて
望みかるれど朝に返りぬ
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
2

正しさの世にあれかしとまつりごと 改めてまた改められて 金なくて幸やあるべきまして人 従はしむる力なければ 世を捨てて山に入るともしる人の あればしがらみ絶つすべはなし 叶へよ願ひささぐる星のごと 人にも恵みたまへと願ふ しる(四段)…領有する。治める。