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【3分で読める】「Megarovania/undertale」を聴いて小説のワンシーンを想像した。【サンズ】【二次創作】

【あらすじ】
家族や友人、仲間と出会う為に歩き続ける。
希望があるうちは歩みを絶対に止めない。
例え姿形が変わって、この身が骨だけになろうとも。


地下道はあまりにも暗く、寂しく、狭い。
少しでも音がするようであればまだマシだが、ここは地上の光が一切遮断されている地下500mに位置する。滅多なことがない限り、物音一つ起きない。それはすなわち、自分以外の生き物が存在しないことを意味している。

水滴がぽちょん、と音を立てる。
土を通じて漏れ出した泥水が、唯一この洞窟の秩序を崩す。
俺は宛てがあるわけでもなく、いつも通り、真っ直ぐに続くこの地下通路をただ歩き続けていた。

もう何年、ここに独りでいるのだろうか。
初めのうちこそ記録していたけれど、流石に百年を超えたあたりでやめた。人間は、無駄な努力を嫌う生き物である。

もうしばらく食事を摂っていない。それでも動き続けていられるのだから、生命とは不思議なものである。「案外ご飯を食べなくても生き続けていられる」だなんて、きっと地上の誰に話しても、信じてもらえないだろう。

リドルはどうだろうか?親友のあいつなら、信じてくれるだろうか。
不意にかつての友人達の名前を思い出した。消えかかっている朧げな記憶から、必死に彼や彼女らの姿形を想像してみる。

それともジェニー、ニックか?二人ともミステリーとか都市伝説みたいな話好きだったし、他の人よりも少しは興味を持って話を聞いてくれるかもしれない。

急にやるせない気持ちになって、それ以上考えるのをやめた。
もし生きていたとしても、あいつらもオレもジジイとババア。お互い誰が誰だか、わかるはずがないのだから。

真っ暗な洞窟を、ただ真っ直ぐ歩く。
道はどこまで続いているのか、オレにはわからない。
不思議と疲労は感じていない。むしろ高揚感すら覚えている。

きっと神様は、乗り越えられない試練をオレに与えたりしない。
苦しみや悲しみを凌駕するよろこびが、この先に待っているはずなのだ。

今一番のぞむこと。それは友達を作ることだ。
ただ友達と語り合って、ごはんが食べられたらそれでいい。
おいしい食事だなんて高望みはしない。味っ気のない乾燥パスタか何かでじゅうぶんだ。

「❇︎ま なんとかなるだろう。」
かぞく と ともだちとわらいあえたらそれでいい。
たとえ、このみがホネになってでもオレはキボウをすてない。

いつかちじょうで、ひのひかりにつつまれることをゆめみて。
オレはケツイをむねに、ただひたすらにわらいつづけた。


民奈涼介



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