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バーンアウトは職場への失恋

こんなに尽くしたのにどこまで頑張ればいいか分からない、振り向いてくれないなら嫌いでいたい、あんなに楽しかったのに今の自分にはそこに居場所がない。

そんな失恋に似た感情が仕事で燃え尽きてしまった人に起きるらしい。

今月号のハーバードビジネスレビューは「バーンアウトの処方箋」
その中でも興味深かった久保真人さんの研究。

『理想や熱意を持つ人ほど陥りやすい 
バーンアウト:使命感の喪失を引き起こす「病」』
著 同志社大学教授 久保真人
スポーツ選手の引退会見でも見られるように、「燃え尽きた」という言葉は「何かを達成した後の清々しさ」の表現として使われることも多い。しかし、社会で問題になっているバーンアウト(燃えつき症候群)は清々しさと正反対の、むしろ「燃えたかったのに燃えられなかった」不完全燃焼の意味に近く、喪失感や抑鬱感をもたらす。P31

確かに私もバーンアウトに似た状態で2年前に退職をした訳だけれど、自分のやってきたことの成果としての後輩の成長に対する清々しさはあるものの、これ以上頑張ったら自分が潰れる、もう何も出てこない、みんなの役に立てないという燃えたいけど燃料がないと感じたことを思い出す。

仕事を引き継ぐ3人のマネージャーに退職の意向を伝えたとき、「みんなの自律と私のやりたいことがあるため」と伝えたけれど、コミュニケーションおばけのマネージャーたちにはわたしの表面的な理由は受理されず(部下なのに!)

深掘り質問の末、後輩の前で「ごめん、もうみんなのアンパンマンでいられない。差し出すパンがない。。」と言いながら涙がぽたぽたこぼれた日を思い出す。(これはエリアMgのチームビジョンを決めた時に、店舗メンバーのアンパンマン的存在でいることを誰かが話したからだとおもうけど)

確実に失恋してますね。好きなのに別れるのは辛い。

バーンアウトへ続く3つの症状

いわゆるもう「何も湧き出てこない」ような無力感を感じる状態に至るまで、3つのステージを経るらしい

①情緒的消耗(emotional exhaustion)
②脱人格化(depersonalization)
③個人的達成感の低下(lack of personal accomplishment

①情緒的消耗(emotional exhaustion)

消耗感や疲労感はストレスの一般的な症状だけれども、「情緒的」と限定しているのは、消耗感の主源が仕事への思いや意欲といった「情緒的な資源の枯渇」が原因だから。

使命感がもたらす「前のめり」な姿勢が本人が気づかないうちに情緒的消耗の蓄積が進んでいる状態なのだとか。

けれども、実際には「前のめり」であることは良いとされているし、周りも自分も気付きにくい。

実際に、前のめりな状態でも自分の理想や使命感が相手(仕事)に思いが通じていると感じているうちは問題がない。いくら頑張っても通じないと感じることが続くと一線を超える。



②脱人格化(depersonalization)

情緒的消耗感の一線を超えると「脱人格化」といわれる行動傾向になる。普段愚痴や不満をいわないのに、非難や粗探しを始める。

上手くいかない原因を自分ではなく周囲に置くことで、さらなる情緒的消耗を防ぐ自衛傾向に向かう。

周囲の人はここではじめて、変化に気づく。
けれども多くの場合、ここでバーンアウトに向かっていると気づいてもらえることは少ない。そして、一番わかってほしい上司がよりプレッシャーをかける発言をすることも予測できる。もしくは放置か。。



③個人的達成感の低下(lack of personal accomplishment)

情緒的消耗感、脱人格化はバーニングアウト。まだバーンアウトではない。

バーンアウトは「個人的達成感の低下」からの自己否定。

バーニングアウトは仕事の質を低下させる。それまで成果を出してきた人だけにその落差は大きい。実際は、周囲がそれに気づくというよりは、本人が成果の落ち込みに伴って達成感が低下する。

達成感をなくすことは支えとしてきた使命感を失うことは「愛してきた」仕事への決別、そして自己否定につながる。

わたしもきっと、、

2年前仕事を辞めた時、私は「部下が成長したから」という理由と「もう何も出せるものがない」という状態になった。

やっぱり、私はどこからどう見てもバーンアウトしていたのだと、文章を書いていて確定した。

もう何も出てこない、という焦燥感。会社組織への嫌悪感。そして最後に成長した部下を見て、私には燃える資源もないけれど、燃えさせてもらえる場所もないと感じたのだと思う。

わたしは会社に失恋したんだと理解できた。

でも、会社も仕事も恋愛ではない。
退職した時は、会社だけでなくアパレル小売という業界まで不信感で一杯になっていた。
けれども時間が経って、すこし離れてみて、やっぱり私はアパレル業界も店舗の仕事もそこで働く人たちも大好きだと少しづつ思えるようになってきた。

いまは、またアパレル小売店舗で自分の経験をEQの高い素敵な人たちに少しでも提供できたらと思うし、今度は前のめりになりすぎず良い距離感で心身ともに健康に仕事を好きでいたいと思う。

そのためにも、2度とバーンアウトしないために、

・バーンアウトの発生リスク
・防ぐための手法

については次回!


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