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木村カエラちゃんのつくる曲が好き

好きなものはいっぱいあるけど、「10年近く好きなものってなに?」と聞かれると、一瞬考えてしまう。さらに条件を狭めてみる。「人にはあまり言ってないけど、すごく好きなものって?」…今回は自分にとってずっとココロにあるけど、あまり伝えていなかったものを紹介したい。

私は木村カエラちゃんが大好きだ。

10年以上長く彼女を好きな理由を、好きになった歴史から言葉にしていこうと思う。

中学3年か、高校生になったころ「リルラリルハ」という曲が大ヒットした。

私のおまもり お花マーガレット〜

という、超絶かわいい歌詞ではじまる曲。モデルが歌手活動をはじめたんだな〜。かわいいカエラちゃんが歌うかわいい曲、いいなぁ〜。それくらいの印象だった。リルラリルハが Real Life Real Heartという意味が込められてるとも知らず、リ〜ルラ♪と鼻歌でつい歌いたくなるメロディにハマり、友だちと口ずさんでた。

それからhappiness!!を聞き、(実はhappiness!!は2ndシングルでリルラリルハよりはやくでている)

全てがちっぽけな積み重ね
集めたら届くと思うの
君と同じ時はいつもめぐる

感じてお願いあなたのhapiness!!!

すごく幸せな曲だな〜となんとなくカエラちゃんの声が私の心に入ってくるようになる。でも、他のアーティストの「好き」とそれほど変わらなかった。

当時、みんな大好きモデルのカエラちゃん!という私のイメージを大きく変えたのは「TREE CLIMBERS」という曲との出会い。日曜日の午前中。日本むかしばなし、ヒーローもの、ポケモンなどが流れるアニメ黄金時間に、よく流れたモード学園のTVCMに起用された曲である。

ばれる ばれる おもい
ゆれる ゆれる メロディ
day by day 
day by day~~

と デイバイデイ〜を低音で繰り返し曲の途中でCMがきれる

「続きを聞かせてくれ!!!!!」

そのCMが流れるたび、そんな気持ちでうめつくされた。

“木村カエラ”
画面では、彼女が歌ってますよと名前が表示される。この木村カエラとリルラリルハの木村カエラが同一人物ということになぜか気づかず、木村カエラさんって人だれ?、ほんとかっこいいなと思っていた。(今思うと超鈍い。というか、かなりバカである)あのカエラちゃんと一致した日は、もうモデルとかじゃない、めっちゃ歌手やん。この人。と歌手木村カエラが自分は大好きなんだ。と自覚するようになってたし、カエラちゃんはさらに有名になって人気もあり、音楽番組にもたくさん出るようになってた。

「Snowdome」も「Samantha」「Yellow」の頃には、普段気の合わない兄(次男)とも「...Snowdomeめっちゃええよな」とカエラちゃんの話題では意気投合するほどに。出演するものはすべて録画しなきゃと、好きが止まらない状態だった。 

カエラちゃんの曲はアップテンポで、聞き心地がすごくいい。つい踊りだしたくなるような、そんな衝動に駆られる。曲のテンポが自分好みだから好きなんだとずっと思ってた。だけど、実は彼女のつくる「ことば」に魅了されているからだと気づいたのは社会人になる頃だった。

そのことを教えてくれたのは「Sun shower」という2012年にリリースされた曲。あたたかな、太陽の光のような心地よいメロディが流れ

このあたりで心をやすめようか
真っ白な雲の色に染めて〜

と曲がはじまる。

カエラちゃんは生きる喜びを歌ってるんだ。

曲を聞いたとき、本気でそう思った。この曲を聞くまで忘れていたけれど、生きていると、ときにたまらなく世界が愛しく思えるときが自分にもあって、それは自分にとって言葉にできない感情で、でもカエラちゃんはそれを歌ってくれてるんだなーと、なんかそう思ってしまった自分がいた。
(カエラちゃんはその曲を出す前に出産を経験していた。活動をおやすみしていた復帰ライブで、生でSun showerを聞いたときはもうなんというか…ああ、すごく彼女にとって、この期間がよかったんだと、曖昧なんだけど、すごく綺麗な感情におおわれた)

ただアップテンポな曲とかじゃなくて、私はずっと木村カエラの歌う歌詞に救われてきて、力をもらってきたんだ。だから私はカエラちゃんが好きだったんだ。と今は自覚しているし、実際そのあと聴いたアルバム「My Love」という曲では、当時住んでた高円寺の住宅街で歩きながら聞いて泣いていた自分がいた。(さすがに曲を聞いて泣くなんてあんまりない経験でびっくりした)

頼りなく泣き虫
でも君を思う気持ちは
誰よりもきっと強いはず

愛をたくさんもらった気持ちになった。人を大切に思うことを肯定してくれる曲だと思った。

すごくシンプルな歌詞。でもこの言葉はそう出てこないんじゃないかと思ってる。ちゃんとカエラちゃんのカラダ、ココロ、経験から紡ぎ出された言葉。カエラちゃんじゃないとつくれないことば。

私は彼女の音楽に出会ってずっと、彼女のつくるモノに魅了されつづけている。カエラちゃんの「愛」への価値観は普遍的で、それは非常にあたたかく繊細で、溢れちゃうんじゃないかって思うし、無償の愛ってこういうことかもと感じるときもある。普遍的な価値観と彼女の人生の中で表現したいものを都度探求して、作品にして...毎回のアルバムでその変化を教えてもらうことが楽しみだったりする。それは、小説家、漫画家と同じで、今しかつくれないものを描いてるタイプの作家の作品に感じる楽しさだということが、編集者という仕事をしてから気づくようになってきた。

カエラちゃんの歌詞にはそのときだからこその表現を感じる。だから、これからも私は彼女の音楽が楽しみで、彼女の曲と一緒に生きていくことがすごく健康的で幸せなことだと思っている。

この感覚は誰かに伝えてこなかったし、いまも書いてる文章は、抽象的で非常にわかりにくいなーと思うけど、どれくらい自分がこの感覚を言葉にできるか知りたくて、一度コラムにしてみることにした。

世界を肯定し、他者を肯定し、愛を肯定している彼女のつくる作品の魅力を、もっとわかりやすい言葉で整理できるようになって、カエラちゃんの音楽が大好きな人に、「そうなんだよ!それ感じてたんだ!」と共感してもらえるようなものを伝えられるようになりたいな…と、今は企んでいたりする。カエラちゃんと作品づくりをできるような人間にになりたい。

最新アルバムにまつわるインタビューはこれが好きです。


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