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2023のハイライト

時は少し遡り2023年秋


私の学校も文化祭シーズンとなり、
その日も出し物の準備を終え友達達と駅前の
インドカレー屋に食べに行く計画だった。


私は軽音学部に入っているので、文化祭のライブ
練習を終えた後、待ってくれている友達の
元へ向かいこの後私を迎えてくれるカレーに
想いを馳せていた。
カレーのことしか頭になかった。🍛


そんな時、私がチャリ置き場から校門に向かい
ペダルを漕ぎ始めた瞬間、ペダルがガチッ!と
固まり全く漕げなくなった。


みんな待たせてるってのに何やってんだよ、私
何緊張して固まってんだよ、まなみ(愛車)

私の焦る気持ちも虚しくまなみは一向に
漕ぎ出そうとしてくれない。

柴犬やゴールデンに散歩拒否をされるのは夢だが
まなみに散歩拒否は求めてない。
其方は犬ではないのだから。チャリだから。


校門の前で待っている友達に
「ごめんチャリ壊れたー」と言い、
なんとかまなみの復活を試みる。

見たところ、私が漕ぎ出してすぐにギアを変えた
せいでまなみのチェーンが変なところに
引っかかってしまったらしい。


まなみへの謝罪の意を込めながらチェーンを
動かそうと試みるが、手が黒くなるばかりで
秋の乾燥した空気は私の荒れた手に染みる


そこへ、同じく軽音部の後輩達が現れ
「大丈夫ですか?」と手を貸してくれたが
これも叶わず後輩の手も黒く汚れてしまった。


先代部長も見守る中、どうしようかと途方に暮れて
いた時、“そのお方"は現れた。


校門前で楽器ケースを背負った者達が何かを
囲んでしゃがみ込んでいる。
その光景に「どしたん?」と
話しかけてきた男子がいた。

「おお!〇〇!」雰囲気からするに先代部長の
クラスメイト辺りの先輩らしい。


恐らく、これから学校に戻って
また作業をするのだろうか。

手に提げられたビニール袋には、


おめー袋のサイズ合ってないだろ!

と言いたくなる程に近所のスーパーで買ってきた
と思われるおにぎりやらの軽食が
今にも転げ落ちそうなくらいパンパンに
詰められている。


「いや〜チャリのここが固まって
動かなくなっちゃって」と私が言うと、

「ああ、おれ元チャリ屋」

元チャリ屋⁉️⁉️

その場に居た人が「ええー‼️」
と一斉に声を上げた。

元チャリ屋のおにぎりパンパンBOYはビニール袋を
地面に置き、しゃがんで問題のチェーンに
手を伸ばすと30秒程であっという間に
まなみを直してくれた。

脳汁ドバドバである。

「ありがとうございます…‼️                     ありがとうございます…‼️」

私は祟りから解放された婆のように手を合わせ
深々とお辞儀を繰り返した。


「いえいえ、じゃ」

地面に落ちたおにぎりを拾い上げた
そのお方は片手を軽く上げ颯爽と校舎に消えて
いった。



やったー‼️と協力してくれた後輩達とも喜びを
分かち合い、手が汚れた者で水道に手を
洗いに行った。

「ヤバいよね。自転車壊れて元チャリ屋が
来て直してくれるってどんなあれ!
どんなシチュエーション!?
てか手汚れさせちゃってごめんね!」
と興奮がおさまらずものすごい早口で
後輩に投げかけると

「いえいえ、こんな状況に立ち会える事なかなか
ないんで良かったです!」と

良い後輩に恵まれたもんだわ



その後もインドカレー屋に向かう道中は元チャリ屋の話で盛り上がり脳汁がドバドバ出た私は最高の
気分でインドカレーを口にすることができた。


カレーセットと共に頼んだ単品のチーズナンは
予想を遥かにこえるボリューミー加減で友達という名の民に分け与えた。
これも王の務めである。


ありがと‼️             おにぎりパンパン元チャリ屋BOY‼️
インドカレー美味しかったよ‼️🍛

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