揺れ恐怖症セラピー受診記録:2/22/2021

いつものようにオンラインでのビデオ受診。

まずは挨拶と軽く近況報告を数分。

セラピストさんが本題に入ろうとしたところで、息子が泣き出したのでいったん退席、抱きかかえてミルクをあげながら続きを聞く。

まず、今日のセッションでは前回に引き続きExposure Practiceを行うこと、それに際してまずは「5-4-3-2-1 coping technique」を説明します、

5-4-3-2-1 coping techniqueとは、5 things you see(目の前にあるもの5つ)、5 things you hear(聞こえる音5つ)、5 things you feel(いま感じている感触5つ)を列挙する、というリラクゼーションテクニック。

5 things you seeは、例えば
壁、窓、電気のスイッチ、モニター、キーボード

5 things you hearは、
空調の音、外を車が走る音、パソコンのモーター音、時計のカチカチ音、自分の呼吸

5 things you feelは、
おしりの下のソファ、手首にシャツ、メガネ、イヤホン、キーボード

という感じ。

5 things ができたら、次は4 thingsでそれぞれ4つを列挙し、次に3、2、1と数を減らしていく。

こうすることで、focus on presence (今に集中する)ことができるという、grounding(地に足をつける)手法のひとつなのだとか。

私の場合、揺れるものが目の前にある時に恐怖を感じるのはもちろん、恐怖対象が身の回りになくても、それを見聞きした時からしばらくは、そのイメージや音が脳裏にこびりついてしまい、恐怖感にとらわれてしまうので、ひどい時は数日間ほど眠れなくなってしまう。

Exposure Practiceを行うと、セッションで見たブランコの画像が脳裏に焼き付いて、特に夜寝るときにそのイメージが頭から離れず恐怖感にさいなまれて眠れなくなるため、そんな時はこの「5-4-3-2-1 coping technique」を使いましょう、とのこと。

もちろん、Exposure Practice中は使ってはいけない。恐怖の感情を受け入れる訓練なので、Copingすると逆効果になってしまう。あくまで眠れない時やパニック発作を起こした時だけに限定して使うこと。

他に質問は?とくにないので、じゃあ今日のExposure Practiceへ。

ミルクを飲み終えた息子がまだぐずぐず言っていたけど、おしゃぶりをくわえさせたら眠りそうな気配を見せたので、膝に抱きかかえたままExposure Practiceを開始。

今回は、セラピストさんが絶妙な画像を用意してくれていた。

画像の特徴:
・公園のブランコで子供が遊んでいるところの写真
・ブランコは2つ、両方とも5〜6歳くらいの女の子が乗っている
・ブランコはぐいんと揺れている瞬間で、躍動感がある
・ブランコの右側には滑り台があり、男の子がすべっている
・たぶん外国の写真(ブランコも子供も日本とは違うので)

この写真を15〜20分見つめる。離席したり、目をそらしたり、歌を歌うなどの気を紛らわせる行動をしてはいけない。画像を凝視し続ける。

ブランコの躍動感が伝わってきて、ゆれている様子がありありとイメージできる。叫び出しそうなほどの恐怖感が襲ってくる。深呼吸をしてなんとか気持ちを落ち着かせるが、息が荒くてやっと寝付いた息子が起きてしまいそうになる。

画像は静止画だけど、私の脳内で勝手に動画が再生される。いかんいかん、このままだとパニックになる。動画を停止。停止ボタン。これは静止画だ。

いや、違うか?Exposure Practice的には、動画を再生したままにしておいたほうがいいのか?ちょっと再生してみる。やっぱり無理。すーはー。ぶるっ!背中に悪寒が走って体が大きく揺れる。膝の上の息子が起きそうになる。

「いま恐怖感のレベルはどのくらいですか?」とセラピストさん。7か8ぐらいですと回答。この時点でたぶんまだ開始5分ぐらい。

長い。すーはー(1)、すーはー(2)と深呼吸を数えている自分に気づく。いかんいかん、これも気を紛らわせるCopingになるので、数えるのをやめる。再びぶるっと悪寒。胸がやや苦しい。

「写真のどのあたりに視点をあわせていますか?」
右のブランコの、女の子の足のあたり。
「それはなぜ?」
そこに一番、躍動感が現れているから。
「なるほど、いいですね」

「この写真は、あなたにとって怖いですか?」
はい、怖いです。躍動感があるので、イメージが広がりやすい。
「滑り台があるのは意味がありますか?」
あまり関係ないですね。あってもなくても同じ。


突然、ふっと、恐怖感が遠のいていく感覚。
おそらく開始10分〜15分の間くらい。恐怖レベルは5か、4くらい。

画像から目をそらさず、自分の恐怖感に集中。じわじわーっと、恐怖感が4から3、2と下がっていくのがわかる。でも1や0にはならない。

試しに、脳内の動画を再生してみる。揺れるブランコ。女の子が足をバタバタさせてブランコに勢いをつける。手でにぎった金属の綱がしなる。

ぐーっと恐怖ゲージが上昇する。3、4、5、6!!!

でも、停止ボタンを押すと、ぴたっと静止画像に戻る。普段はこれができない。動画はずっと再生されたままなのだけど、なぜかピッと止まる。恐怖ゲージもすーっと下がっていく。


「いま、どれくらいですか?」
5か、4くらいです。
「下がってきましたね。あと5分続けましょう」

静止画で3ぐらいに落ち着いたら、ちょっと動画再生してみて、6ぐらいまで上がったらすぐに止めて……を何度か繰り返してみる。やっぱり動画だときつい。一瞬で6まで上がる。


と、ここへ来て、急に画像に集中できなくなる。ブランコを見ているのに、見ていないような感覚。ブランコがゲシュタルト崩壊して、パーツごとにバラバラになって、動画が再生されなくなった。


「はい、終了です!」
ブランコの写真から、セラピストさんの顔に画面がスイッチする。

は〜。つかれた。集中力をすごい使うなこれ。。。

「がんばりましたね!あなたはとても我慢強いです。最後まで目をそらさずにPracticeできたのは素晴らしいことですよ」

と、何度も褒めてくれた。うれしい。やっぱり褒めてもらえるとがんばれる。というか、人に見られていると思うと気を使って頑張ってしまうという感じかな。

Exposure Practiceは、あまり無理をしすぎても逆効果だが、全く無理をしないと効果が現れないので、負荷のかけ具合が鍵なのだとか。

来週のセッションの後から、宿題として自分でもExposure Practiceを行ってほしいけど、今週はまだやらないでね、とのこと。しっかりステップを踏んでいく必要があるため。

もし夜寝るときなどにイメージが頭から離れなくなったら、「5-4-3-2-1 coping technique」を使ってください、とのこと。

Practiceの最後のほうで、画像がゲシュタルト崩壊した感じでイメージに集中できなかった、恐怖感はなくなったけどこれで合ってるのか?と質問。ゲシュタルト崩壊という言葉がなかなか伝わらずに苦戦したけど、こうなるのは正しいらしい。そもそもExposure Practiceでは恐怖対象が重要ではないこと、意味がないことを実感として落とし込むための訓練なので、画像をじっと見つめることで「あ、これ全然怖くないわ」と思えれば成功。

ゲシュタルト崩壊を辞書で調べてみると「Gestaltzerfall」と出てきたけど、これを言ってもセラピストさんは「ドイツ語っぽいですね、ちょっとわからないです(笑)」と言われて伝わらなかった。アメリカの心理学でゲシュタルトといえば、ゲシュタルト・セラピーのことを指すので、ゲシュタルト崩壊という言葉はそもそも一般的ではないのかもしれないなと思った。

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