揺れ恐怖症セラピー受診記録:3/1/2021

セッションの前に息子をお昼寝させていたけど、直前になって空腹で起きてしまったので、フォーミュラを飲ませながらのスタート。

まずは先週のセッションから1週間、どうだったか?と聞かれたので、

前回のセッションで見たブランコの画像が脳裏に蘇って、眠りにつくのが難しい日が何日かあったことと、朝起きた時にも同様のことがあって少しつらかったことを報告。いずれも恐怖レベルは5ぐらい(10のうち)なので、パニックというほどではなく、1時間以内に収まる程度だったので「制御可能」だったと伝えた。

また、それらの時に前回教えてもらった5-4-3-2-1 techniqueを使い、有効だったことも報告。

セラピストさんは「Good」と言って、もうひとつパニック対処のテクニックを教えてくれた。名前は忘れてしまったけど、恐怖感が襲ってきた時に、「私は大丈夫」といってなだめるというもの。泣いている赤ちゃんをあやしてなだめるように、自分自身を落ち着かせるテクニックで、

「私は安全な場所にいる」
「この恐怖対象は私を傷つけることはない」
「今までも乗り越えてきたから、今回も乗り越えられる」
「今はつらいけど、この恐怖感はもうすぐ薄れていくから大丈夫」

といった言葉を、深呼吸をしながら自分に向けて発していくというもの。
次回、恐怖感が襲ってきた時に試してみようと思う。


と、ここで私から質問。

このセラピーを受ける前まで、私は、揺れ恐怖症でパニックに陥ってしまった時の対処法として、「自分が経験してきた最低最悪なトラウマ体験」を脳内に召喚することで、揺れ恐怖のパニックを打ち消すという方法を取ることがあったのだけど、このやり方は合ってますか?と聞いてみた。

トラウマ体験は、例えば私が過去に受けた壮絶なセクハラ体験などで、これはこれで思い出すだけで心拍数が一気に180ぐらいに上がるほど負のインパクトがあり、つらいのだけど、強烈な負の記憶だからこそ瞬殺で揺れ恐怖を打ち消してくれる効果もあるので、

私としては、本当の本当に揺れ恐怖で追い詰められてしまった時は、この術を使っていた。もちろんヘルシーな方法ではないことは百も承知。カレー味のうんこか、うんこ味のカレーかという問題で、どっちもうんこだけど、揺れ恐怖よりは過去トラウマのほうがいくぶんマシという判断。

セラピストさんは「なんでそんなつらい方法を……」という反応だったけど、理解はしてくれた。ただし、負のイメージをぶつけることは自傷行為と同じなので、ポジティブなイメージを使ったほうがよいとのこと。

ポジティブなイメージでは揺れ恐怖に勝つことはできないので、だからこそあえて「毒を持って毒を制す」的なあれなのだけど……と伝えると、では出産時の痛みを思い出すのはどうか?と。

たしかに出産はものすごく痛かったし、出血多量でちょっとヤバかったので、あの痛みをありありと思い描くことができれば、揺れ恐怖のパニックを打ち消すことはできるかもしれない。私の想像力にかかっているとも言える。次回もしパニックになって、5-4-3-2-1や自分よしよしテクニックでも解決できなければ、出産時の痛みを思い出す方法をやってみよう、ということで話がまとまった。


では、いざ、Exposure Practiceへ。
ちょうど息子が寝落ちしてくれたので、タイミング的にはベスト。

前回同様、ブランコの静止画像を15〜20分間見つめるのだけど、今回は新たな画像を用意してくれていた。「前回の画像よりもちょっとつらい画像を選んだつもりだけど、もしboring(弱すぎ)だったら別の画像に変えるから教えてね」とのこと。

ビデオチャットの画面が、セラピストさんの顔からブランコの静止画像に切り替わった。公園のようなところで、ブランコに乗る2人の子供。小学校中学年ぐらいの年齢で、全力でブランコを漕いでいる感じの、ブレ感とチェーンのしなり具合、足がぐいんと前に出ている。boringでもtoo hard でもない、ちょうどいいレベルアップ感。(こうタイプしているだけで心拍数が上がってくる)

心の中で、自分の恐怖レベルを確認する。いきなり10のうち6か7ぐらいにグッと恐怖感が高まる。写真の中の子供が、キャッキャと声をあげながらブランコをしならせている映像が再生される。前に後ろに揺れながら、髪の毛や洋服がはためく。ブランコが真ん中に揺り戻される時はつま先が地面について、砂ぼこりを立てている。レベルは7か8に上がる。深呼吸。

おそらくセラピストさんは、画面ごしに私の表情や息づかいを注視しているのだろうな、と考える。ちょっとだけブランコ画像から意識がそれる。いかんいかん、distractionになってしまう。distractionするとExposure Practiceの効果がなくなってしまうので、画像に集中する。

「いま恐怖レベルはどのくらい?」セラピストさんは5おきにそう聞いてくる。2回めにこの質問をされた時、つまり開始から10分で、恐怖レベルは6か7ぐらいだった。

ところが、そのすぐ後、急にブランコの画像に集中できなくなってしまった。ブランコの脳内動画は停止したまま。だけど、過去に見た揺れるものの記憶がオーバーラップしてくる。具体的に文字にするのもつらいのだけど、ブランコなんかよりもっと怖いやつ。で、その記憶の再生がなかなか止まらない。恐怖レベルが8か9ぐらいに上がる。このままいくとパニックになる。

なんとかブランコの画像に意識を戻す。ブランコの画像のディテールを注視することで、意識を集中させる。じわじわと恐怖レベルが下がっていく。「いまどれぐらい?」、5ぐらい。「ではあと5分続けましょう」

最後の5分で、4か3ぐらいにまで下がった。パソコンの画面にセラピストさんの顔が映る。「20分間、画像から目をそらさなかったのは本当にすごい。自分を褒めてください」

セラピストさんの説明では、恐怖感は最初の10分は高いままだが、15分を過ぎたあたりからじわじわと下がっていくものだそうで、私の恐怖レベルも確かにそのとおりになっているのが面白い。だから、Exposure Practiceでは最後まで続けることが必要不可欠で、つらいからと途中でストップしてしまうと、恐怖感がまだ上がりきっていない、もしくはピークのところで止めることになるので、つらい感覚だけが残ってしまうので逆効果とのこと。

また、15分を過ぎれば恐怖感が薄らいでいくと分かっていれば、つらい最初の10分も乗り切りやすい。これは、平場でも応用可能で、もし日常生活で恐怖対象に遭遇しても、「つらいのは最初の10分、この恐怖感は永遠には続かない」という知識がパニックに陥ることを阻止してくれる。

目の前にあるブランコの画像を見ていると、途中から別のもっと怖い映像(過去に見た巨大なペンデュラム)が脳内再生されてしまってつらかったと話すと、これもよくあることだとか。2つ以上のイメージや映像がオーバーラップして、より恐怖感を強めてしまう。ただ、このオーバーラップする感覚というのが実は大事で、安心できるイメージや映像をもってくることができれば、ひとつの安静化テクニックとして使えるとのこと。

そもそも恐怖対象が目の前にある時や、恐怖のイメージに苛まれている時に、それらを瞬時に意識から消去することは難しいので、脳内スクリーンに恐怖のイメージと、安心感のあるイメージの両方をワイプ分割のように映し出して、徐々に安心イメージのほうを大きくしていくのが良いのだそう。これはこれで訓練が必要だけど、自分でコントロールできるようになればパニック時に対応できるだろう。ただしExposure Practiceでは恐怖と向き合うことが大事なので、このテクニックは使わないように。


Anxiety(不安感)には

・Physiological
・emotion
・thoughts

の3つのcomponentがあり、これらが組み合わさることでさらに不安感・恐怖感が増幅していくとのこと。例えばハアハアと息が苦しくなったり胸が締め付けられたりというPhysiological(生理現象)、怖い・つらいといったemotion(感情)、この状態がずっと続くんじゃないかというthoughts(思考)。Exposure Practiceでは、thoughtsを意識的にコントロールしつつ、恐怖対象に「慣れる」ことでemotionとPhysiologicalへのインパクトを和らげていく……ということなのかなと解釈した(この部分、セラピストに確認していない)。


今回のセッションの最後に、初めての宿題が出た。

今日見たブランコの静止画をメールで送るので、それを使って次のセッション(1週間後)までにExposure Practiceを3回行うこと。1回15〜20分。途中でやめると逆効果になるので、必ず最後まで行うこと。また、distractionのない集中できる環境で行うこと。もしつらければ、夫など誰かにそばにいてもらってもかまわない、とのこと。




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