揺れ恐怖症セラピー受診記録:3/8/2021

まずは軽く前回の振り返りと、一週間の報告。
かなりバタバタした一週間で、前回のセッションで出された宿題(ブランコ画像を見るExposure Practiceを3回やること)がほとんどできなかったことを報告。私の話し出しがI have to apologize to you that I couldn't...だったからだけど、セラピストさんに「べつに私はいいんですよ」と言われ、こういう言い方ってすごく自己責任的な冷たさがあるけどそれがアメリカらしいなと思うなど。

その他、この一週間で変わったことといえば、ある晩なぜか緊張感が高まってなかなか眠れず、夢に揺れ恐怖が出現するという悪夢を見たこと。なぜそんなに緊張感が高まったのか、その時はわからなかったけど、セラピストさんと話していて思い当たることがあった。たぶん、今日のセッションでペンデュラムの画像を使うからだ。それを伝えると、セラピストさんはちょっと心配げな雰囲気になって、「前回と同じブランコの画像をもう1回やる?ペンデュラムはまだ難しすぎるのでは」と言われたけど、ブランコ画像はある程度慣れてきたのでペンデュラムに挑戦したいと伝えた。

「では、さっそく今回のExposure Practiceを始めましょう。今回は20分間いきます」

で、画像を映し出す前に、ペンデュラム画像の説明をしてくれた。スミソニアン博物館のペンデュラムだという。私はスミソニアン博物館に行ったことがあるけど、見た記憶がない。見なくて幸運だったと思う。

「私は5分ごとに話しかけて、恐怖ゲージを確認しますが、それ以外は話しかけませんがずっとここにいるので何かあれば声をかけて。そして、画像を最初に映し出してみて、もしこの画像が強すぎだったら教えてください」

Exposure Practiceは、つらすぎてもダメ、簡単すぎてもダメで、しんどいけど頑張ればなんとかいけるという絶妙なところを目指していかないといけない。セラピストさんは、私がどんな画像が怖くてどれなら大丈夫かがわからないので、毎回いくつか別パターンの画像を用意してくれている。

「では、いきましょう。」

画面に映し出されたのは、巨大なペンデュラム。すっと伸びたストリングスに重量感のある銀の玉、その下に針のようなものが伸びている。まわりはぐるりと円形の鉄柵が囲っていて、その一部が外側に倒れている。照明が当たり、丸い銀玉の影が床に落ちている。

見た瞬間、きつい!と思った。心拍数がドドドと上がる。恐怖レベルは100中の70。

そもそもペンデュラムはヤバいのだけど、影が落ちているのがさらにダメ押しでやばい。私の揺れ恐怖は、一番やばいのは自分がそれに乗って揺れている「重力感」なのだけど、もし乗らずに外から眺めているだけだとしても、ビジュアルだけで相当きつい。そしてなぜか、

・揺れるビジュアル
・音
・光(と影)

この3つの要素が足されれば足されるほど、恐怖感が増す。今回は音はないけれど、ビジュアルに影が足されているので相当にきつい。あともう一歩でパニックになりそうだ。ギブするか?と逡巡したけど、とりあえず5分がんばってみることにした。

人類の科学的叡智の結晶を体現する正確さで、ぬるぬると動くペンデュラム。やばすぎる。いまこう書いていても恐怖感がすごい。

しかし不思議と慣れるもので、5分、10分と経つごとに恐怖ゲージが60、50と下がってきた。画像を観察していると、ひとつひとつの要素がゲシュタルト崩壊していく感覚があるし、あとはペンデュラムの向こう側にガラスのようなシールドがあるのもわかって、ほんのわずかに安全な感じがした。

と、突然、ペンデュラムのまわりにある円形の囲いが一部倒れていることの意味を理解し、恐怖ゲージがドドドっと急上昇してしまった。囲いは、地面から垂直に立つ銀の棒が集まってできているのだけど、一部分の棒は外側に倒れていて、これはペンデュラムの銀玉の下から伸びる針が当たって倒れる仕組みになっているのだろう。そして棒に当たったことで軌道がわずかにずれ、次の棒を倒していく。きっと、この棒を全部倒したら1分とか、そんな風に時計のようになっているのだと思う。恐怖ゲージは75、いや、80。

相当しんどい。でも、ここでやめたらしんどいままなので、画像を凝視しながらとにかく時間が過ぎて恐怖感が薄らぐのを待つしかない。これはただの時計だ。時計なんてどこにでもある。見えないだけで、全ての時計にはこの仕組が採用されている。時計のフタを開けたらこのペンデュラムがあるって恐ろしすぎる!想像力がどんどんマイナスに働いていく。

15分。恐怖ゲージは70。じわじわと下がって60。残り5分のうちに50くらいまでは下がった。で、終了。パッと画面が切り替わって、いつものセラピストさんの柔和な顔が映し出された。大きく息をする。頭がクラクラする。

今回のExposure Practiceは、相当しんどかった……。
セラピストさんが、今後の参考までにこの画像の何が恐ろしいのか教えてほしいと言うので、説明。サイズが大きいほうが怖いこと、重量感があるほど怖いこと、機械的で正確な動きのほうが怖いこと、光や影があると怖いこと。

「では、いま脳裏にあるペンデュラムの画像を、黒板消しで消していってください」

フォトショップの消しゴムツールでざざざっと消していくのをイメージする。手前にあったペンデュラム画像の、消しゴムが通ったところが透明になり、下のレイヤーにあった現実世界があらわになる。その要領で、ペンデュラム画像をきれいに消し去った。

今日の画像はちょっと刺激が強すぎたので、夜寝るときや日中にもしテクニックを使ってもイメージが消えなくてつらいときがあるかもしれない、もしそうなら連絡して、とのこと。

また、今週の宿題はペンデュラム画像ではなくて、引き続き前回のブランコ画像を使うことになった。

来週のセッションでは、いよいよ動画にチャレンジしてみようか、それとも別のペンデュラム画像にするか。動画にもよるけど、巨大なペンデュラムに比べれば、公園の小さめのブランコなら動画でもマシな気がする。

いまの段階は、まだ恐怖ヒエラルキーの下から2番め(100中の15)なので、先は果てしなく長い。セラピストさんは「このセラピーは半年計画で、まだ1ヶ月半しか経っていないので大丈夫」と言うけれど、私の感覚ではもう1ヶ月半も経ってしまったのかという感じ。あと4ヶ月半で揺れ恐怖が克服できる気がしない。まったくしないのだけど。。。


この日の夜は、恐怖感が強くてなかなか眠れなかった。

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