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"The LEPLI" ARCHIVE 100-2/ 『考えてみませんか? ”時代性に適合した「倫理」とはを。−2”』

文責/平川武治。
初稿/2013年7月11日。

3)再び、今道氏のこの本、『エコエティカ』と「倫理観」を考える。/ 
 『エコエティカ』には今の時代性に適合した
この『倫理』が必要であることを筆者、今道氏が学んだ
教養と経験から堂々と述べている書です。

 『倫理学』とは、「関係性の為の”関わり学”であるとし、
それが”対人との関わり”だけでよかった時代から
今では”対自然”と”対技術”との関わりへ
広げ、昇華した『倫理』と『倫理観』が必要な時代性である。」と
解いている本です。
 今、エコロジーやサスティナビリティを発言して
商売をしている輩たちには
是非、必読の書です。

 多くの書物を読んでいると気ずくのですが、
日本人の教養ある人とは、
”書物の世界から書物を書いている”人がウケる世界です、
特に、”西洋の書物から書物”を書く。
 今ではその書物が、”電脳ボックス”に変わっただけの
依然、根幹変わらずの”明治時代の西欧教養主義”が
蔓延ったままです。
 ここには“経験”は殆ど欠如され、
経験無くとも学んだ知識をより子細に広げる事が
教養とされて来た古い時代の刷り込みでしかありません。
例えば、ファッション世界の哲学的な書と言えば、
最近の鷲田氏迄の軽さがウケる原因は
今の若者たちの保守性と
この旧さと覚悟の欠如にあるでしょう。

 この著者、今道氏の場合は東大哲学科から巴里で学び
その後その学校、パリ大学で教壇にも立ち
そこからの彼の経験と関係性を根幹に彼の哲学が生まれ
それがこの本、『エコエティカ』なのです。
 知らなかった人はぜひ、ご一読の程を!

4)"The Fashion is always in fake.或いは、「はだかの王さま」/
 多くの“なりすまし、なんちゃってデザイナー”諸君たちは
「きっと、”ファッション”が好きなのでしょうが、
“服”が好きなのかどうかは解りません。」
が、彼らのレベルでしょう。

 ファッションには所謂、“国家試験”がありません。
例えば、パターンメイキングや
今では、カラーコーディネートなどの職種に携わる人たちの
職業、職域では試験のような資格範囲はありますが、
“ファッションデザイナー”に成るには何も資格はいりません。

 極論すれば今では、”明日から僕デザイナーになる。”と言って
そう、成れる世界です、そんな世界なのです、現実は。
まったくの、フリーな誰でもがなれる職業です。
ですから、ファッションは”自由の産物である”事の証かもしれません。
だから、多くの若者たちを魅了する世界なのでしょう。

 又、ファッションは資本主義社会から生まれ落ちた
消費社会を背景にした産業の一つだからでしょう。
その後ろには、“金権”という大きな囲みがありますね。
 又、そこへ辿り着くには“OZのエメラルドの塔”へ辿り着き、
それなりに”選ばれて”、入れてもらわなければなりません。
 参考/
これが解らない人は、1939年製作の映画、“OZの魔法使い”か、
あのM.ジャクソンも出演している映画黒人版、“WIZ"を是非見て下さい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/オズの魔法使
"http://movie.walkerplus.com/mv870/

 多分、“なりすまし、なんちゃってデザイナー”たちも
この”OZのクリスタル館”へ行き着きたくて結果、
出来ない事や、やっていない事、知らない事も知っているように
度胸やカネやコネを使って下心いっぱいにして、
その結果がメディアに登場出来る、
”有名人”に成れるからでしょうか?
また、その結果が”儲かる”からなのでしょう。

 こんな育ちをこの現代でも堂々と受け継いで構築されているのが
変わらぬ、国家もお金を出して祭り上げている
日本のファッションの世界なのですね。

 未だに、あの名作童話 ”はだかの王さま”が
ここでは真に生きている世界であり、バイブルです。
『王さまは何も着ていない!!』
そう論じられる人種も不必要な時代性と共に
皆無になってしまった為でもありますね。

 僕が長年のこの世界での経験で出会った
沢山のファッションに関わっている人たちには、
共通して3つの根幹タイプがあります。
 一つは“服が好き、作るのが好きだから創りたい”。
もう一つは、“ファッションの世界が好き”。
そして最後は、“お金が好き”。に尽きるでしょう。
(もう一方では、女が好き、男が好きバニティが好き、もありますね。)
 
 僕たちは“服が好きで、創る事が好きな人”が
ファッションデザイナーになると教えられ、
そこに”夢がありますよ”と刷り込まれて来た世代でしょう。
 今でもこの根幹を持ってデザイナーになっている人たちも居ますが、
かなり狭軌なより、コアな世界です。
実は、大変な覚悟とその為の努力が必要な世界です。

 現代のファッションの世界では
“ファッションの世界が好き”と、“お金が好き”な人たちが
当然ですが、お金を儲けていますね。
有名人になっていますね。
そんな彼らたちを請け負って、弱みを握って商売をしているのが
”広告代理店産業”です。
 
 いつの間にかこの、”モードのキャピタル巴里”のファッションの世界も
完全に、”広告産業”化構造になってしまいました。
 その多くは企業力と資金力ある、”ラグジュアリーファッション”が
中心に仕掛けた世界です。
 どれだけ資金を使って、広告契約をし、イメージペイジを制作し
それ以上、数倍のお金を確実に儲けられるかの世界です。
その為に機能するのが広告代理店産業です。
 彼らたちの美徳は、“美しすぎる嘘を思わせぶるか”です。
この構造に“有名デザイナー”たちの誰それがと、
”芸能ゴシップ”よろしく、”なりすまし情報”で
飼い慣らされているだけの世界になりつつあります。
 
 今シーズンのクチュールコレクションでは、
呼び寄せたジャーナリストと称される人種たちに
例の、大きな瓶のオーデトワレNo.5を、(決して、パルファンではなく)
撒き配ったメゾン-シャネルのパフォーマンス。
貰い物で着飾る事に慣れてしまっている人種たちを
手なずけるクラッシックなる手段。

 その結果はどう出るか?
カール君もリタイア時期でしょうか?
ラグジュアリィーブランドの総合売り上げでは
依然、このメゾンがトップを行っているのですからね。

 此の古き手法は日本では“付録つき女性誌”の手段です。
そう言う意味では、社会構造とレベルの違いから
日本のファッション誌の方が大衆消費社会に
直接、接点を持った”リアリティ”を生む迄の戦略ですね、流石です。

 思い出しますね、僕たちが少年の頃、
やはり、沢山の”付録つき”、冒険王や少年画報を
毎月の発行日を待ちかねて買いに行った事を、、、、、、
(つづく)

『考えてみませんか? ”時代性に適合した「倫理」とはを。−2”』完。

文責/平川武治/チューリッヒ市にて。
初稿/2013年7月11日。

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