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【オオカミの家】は映像がめちゃくちゃに面白いし、そんなにビビるほど難解ではないので、下調べは後に回してとにかく映画館で観て

※ネタバレありだけど、ネタバレがどうとかいう作品でもないでどうでもいいのでは?と思う。

映画「オオカミの家」を観てきた。
ベースになっている実際の出来事があるらしい、位の前知識で見に行ったが、普通にセリフを追えていれば理解できる内容だった。
世の中で言われてるほど難解では無いと思う。

この映画の元になっているのは、コロニア ディグニダというカルト集団の問題である。

私はこれを映画を見てから調べたが、映画の理解度云々を抜きにしても知っておいた方がいい話だと思う。

私がこの話を調べながら頭に思い浮かべたのは、何年か前に日本で話題になった「一人の男が家族の中に入り込んで一家を洗脳し、殺し合いをさせた事件」だった。
多くの人は、最近日本の芸能界で騒がれている「少年たちへの性的暴行とグルーミングを行っていた事務所の件」の方も思い出すかもしれない。

「オオカミの家」は、そんな「洗脳と少年への性的暴行と人権侵害と投薬やリンチや殺人」を行っていたカルト集団から抜け出した女の子が主役の映画である。
しかし、物語の流れとしては、カルト集団の教祖が
「我々の団体はとても健全で素晴らしく、世の中で言われている悪い噂はただのデマです。それを証明する映像があるのでお見せします。私たちの団体を抜け出した少女がどうなったかお見せしましょう」
と言って流す映像なので、女の子は解放されない。
救われることなく「やっぱり私が間違ってました、ごめんなさい」と言って集団に戻り「ほら、ごらんなさい。我々の団体は素晴らしい」と言って終わる。

これだけ聞くと大変に重たく、壮絶で苦しいだけの作品のように思うが、作中で具体的な加害が描かれたりはせず、ずっと女の子の幻覚や精神世界が描かれていくのでそんなにガツンと精神的ダメージが来る訳では無い。
終始「映像がめちゃくちゃ面白い」という方に関心が向くはず。

私は正直、こんな風に”絵を描いて、撮って、絵の具の乾かないうちに消して、描いて…”という方法で作ったコマ撮りは初めて見た。
それを実際の家の壁や床に描いていくのも面白かった。
体験型のアート作品の中に入ってる時のワクワク感があった。

「そういえば小さな頃、大きなダンボールで家を作って、中にインテリアを描いて閉じこもるの好きだったなぁ」なんて思い出したりもした。

ただまぁ、映像が全く気持ち悪くないかと言うと、けしてそんなことは無いんだろう。
前の席の女の人が出ていったきり帰ってこなかったし。

私自身も、映画を見ながら手元のノートに「登場人物の 笑がお が こんなイヤなことあるんだ」て書くくらいにはイヤだったらしいし。

よく映画館の暗闇で手元見ないでメモをする

個人的にはヤン・シュヴァンクマイエルが平気なら平気なくらいのキモさだと思うけど、そこら辺は人それぞれだからなぁ。

どっちにしろ、この作品を見る上での1番のネックは「映像と雰囲気の怖さとキモさに耐えれるか否か」の部分だと思う。
内容の難解さではなく。

たしかに、懇切丁寧に分かりやすく意味を教えてくれる作品しか知らない人や、意味がわかりにくい作品はダメだという価値観の人には勧められないかもしれない。
でも、そんな「前知識無しで行って何も分からなかったらどうしよう」とか「まだ調べてないから行けない」とか言うほど難しくは無いはず。
だから是非、映画館で見て欲しい。

とにかく映像が面白くて新しい作品なので。

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