フットルース〜2011年にリメイクもされたMTV感覚満載の80年代大ヒット作
『フットルース』(FOOTLOOSE/1984年)
1981年の夏に開局したMTVは、1983〜1986年頃に全盛期を迎えていた。その影響で、ヴィジュアル性に富んだカルチャー・クラブやデュラン・デュランといったイギリスのNew Waveグループ、ヴァン・ヘイレンやモトリー・クルーを筆頭とする長髪メイクのHeavy Metal勢がヒットチャートの常連に。
そしてマイケル・ジャクソン、プリンス、マドンナ、シンディ・ローパーなど、時代の顔となるアーティストたちの登場。巨額の費用を掛けたストーリー性あるビデオ製作も当たり前になり、1984年からはMTVアワードの開催がスタート。
中でもMTV人気の一番の恩恵を受けたのは、ティーンエイジャー向けに作られたダンスシーン満載の青春映画だったかもしれない。
1983年の『フラッシュダンス』はその先駆けとなって大ヒット。当然サウンドトラックも売れまくり、1980年代のサントラブームもここから始まった。
『フットルース』(FOOTLOOSE/1984年)は、まさにそんな時代を象徴する1本。ハーバート・ロス監督は「MTVの感覚を念頭に置いて作った」と言うし、サウンドトラックはすべての撮影を終えてから、各場面のイメージに合わせてアーティストたちが曲作りをしたそうだ。
ドラマの展開や人物との動きに、音楽が見事に一致していたのはそういうわけだ。
出演はケヴィン・ベーコン、クリストファー・ペン(兄はショーン)、サラ・ジェシカ・パーカー(映画観ていて大発見)ほか。脚本家ディーン・ピッチフォードが、オクラホマの田舎町で実際にあった新聞記事をヒントにシナリオを書いた。
ユタ州の田舎町バーモント。この保守的な場所では、教会や牧師が絶大な力を持っている。都会のシカゴから転校してきた高校生のレン(ケヴィン・ベーコン)は、クワイエット・ライオットを大音量で聴きながら登校。いきなり警察にカセットテープを取り上げられる。
この町では5年前、ロック音楽に夢中になっていた高校生たちが酒に酔って事故死。以来、公序良俗の名のもと、若者たちのダンスが全面的に禁止されていたのだ。
友達もでき、牧師の娘アリエルにも恋心を抱くレン。しかし、アリエルには地元の彼氏がいて反感を買ってしまう。レンの当たり前の言動は、田舎町にとっては脅威に映って誤解を生んでいく。
さらに5年前に亡くなった高校生が、アリエルの兄であることも判明。法律は父親が先導して取り決めたことだった。
そこからレンの大人たちへの挑戦が始まる。仲間たちとダンス・パーティの計画を立て、町に若さと輝きを取り戻すのだ。
みんなにダンスを教え、定例集会で実行を訴えるレン。反対派からの嫌がらせにも遭って暗雲が立ち込めた矢先、アリエルから聖書の「踊る」ことを賛美した一節が差し入れられる。
彼女も牧師の父の閉ざされた心を開こうと必死だった。レンたちは無事にダンスパーティを開くことができるのだろうか?
『フットルース』のサントラ盤は、1984年4月21日に全米チャートでナンバー1に到達。その後10週間トップをキープして、900万枚以上をセールス。シングルカットされた曲も次々と大ヒットを記録し、日本でもTVドラマの主題歌としてカバーされる現象を起こした。
1980年代半ばに10代だった人たちの記憶に強く残る言葉。それが『フットルース』だ。
なお、2011年には、リメイクされた『フットルース 夢に向かって』が公開(ジュリアン・ハフ出演/日本は劇場未公開)。時代の移り変わりはあるものの、ストーリーはほぼオリジナル通り。使用される音楽も当時のヒット曲のカバーがあるので、見較べてみるのも面白い。
文/中野充浩
参考/『フットルース』パンフレット
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