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奥多摩・南秋川矢沢熊倉沢右俣右沢(沢登り)

前日に実施した日和田山の岩場での岩トレを受けて、実際の沢の中での登攀・確保の型や手順を確認する沢トレーニングを南秋川の支流、矢沢熊倉沢で実施した。メンバーは岩トレと同じ4名である。

熊倉沢は以前、右俣右沢遡行~左沢下降のルートで訪れたことがある。
大滝の高巻きあり、小さいけれどちょっとテクニカルな滝や10mほどの大きめの滝の登攀もあるのでトレーニングや早春の足慣らしには好適なルートだ。支流がいくつもあるので遡下降を組み合わせて計画すると日帰りルートとして充実するだろう。
今回も、当初計画では右俣右沢を遡行し左俣東沢を下降するというルートを設定したが、沢も短いのでひとつひとつ課題を確認しながら遡行できるだろう。

当日早朝武蔵五日市駅に集合し、バスで入渓点に通じる林道の入口で下車。矢沢沿いの林道を歩き、さらに本流を分けて熊倉沢に沿う荒れた林道に入り、せっせと歩いて林道の終点で身支度を整える。
前日の岩トレでは晴れていたものの風が冷たく寒い思いをしたが、支度をした林道の終点には春の陽ざしが届いてとても暖かい。今日は寒い思いをせずに済みそうだと思ったのだが…

熊倉沢右俣入渓!

今回は初級者のトレーニングがメインなので、まずは初級者を先頭に歩き始める。
入渓してすぐに、4×6mの斜瀑が懸かる。何だか水量が多いように感じるぞ…。木曜日・金曜日くらいに奥多摩では雪が降ったので、その"雪解け水"だろうか。水も冷たいので、今日はなるべく濡れずに遡行したいものである。
最初の滝は、ちょっとぬめるものの傾斜も緩いので、滑らないよう気をつけつつ右壁を直登する。

水流右を直登するが、以前来た時より水量はだいぶ多い。
沢の中にはあちらこちら枝打ちされた杉の枝が散乱していた。もれなく花粉がついており、ゆすると花粉がたなびく様子が観察できる…。ので、なるべく触れないように遡行する。

最初の滝を越えてゴーロっぽい川原を進み、左手に左沢を分けるとすぐに大きな滝が懸かっている。「陸軍滝」という立派な名前の付いた滝だ。公称18m。ここは通常右岸斜面を高巻くが、今日はトレーニングなので敢えてロープを出して昨日の岩トレで練習した手順を復習する。
途中でピッチを切り、さらに上にロープを伸ばすと小尾根に出て、踏み跡のついた斜面を反対側に乗っ越すと、陸軍滝落ち口の少し上流に出られる。目の前でトヤド沢を右に分ける。

なかなか立派な陸軍滝。陽が当たって、下の方に虹が出ていた。
今日は、練習のためにロープを出して高巻く。
上部では、後続を確保する流れの復習。

陸軍滝を越えると、暫くは沢が開け右岸・左岸に炭焼き窯の跡が残されているのが確認できる。

中を覗き込むhm氏。中に入れたら入っていきそう…。
しばらくは開けた明るい沢筋である。陽射しも届き暖かい。

沢が狭まり小滝が続くようになると、その先に4mCS滝が懸かかっているのが見えた。ここはちょっとテクニカルに越えることが求められるところだ。とは言え、アトラクション的なお楽しみポイントでもあるのだが、初級者には少し手こずるポイントのようだ。

直登コースはシャワークライム必至なので、雨具を着込んで準備。
上部で様子を伺って、登るルートを探る。

今日は水量が多いこともあり、CS滝を直登するには少なからずシャワーを浴びることになりそうだ。突っ込む前に雨具を着込んでシャワークライムに備える。
CSの左側を小さなスタンスに乗って越えなくてはならないので、ぼくが先に上がって初級者を引っ張り上げようと思ったところ、hm氏が先に上がりますと立候補。それならばと、前にはなかった左壁の残置ハーケンにスリングを掛けて手掛かりとし、左壁の小さなくぼみに乗せた足をぼくが押さえつつ、右足をCSの左の水流中に乗せれば、あとはフリクションでずり上がって行ける。クライミングはそこそこ上手にこなすhm氏なので、少し手こずりつつも無事滝上に出ることができた。

登り方を簡単に伝えてから、足場になるところまで上がってきてもらう。
この時点で結構濡れる。水が冷たい~。
hm氏、無事にCS滝を突破。

続くぼくは、上からお助けでも垂らしてもらって登ってしまうつもりだったが、リーダーから「支点ちゃんと取ってね」という声がかかり、hm氏は支点を探し回ることに…。つるつる壁のゴルジュの中なのでなかなかいい支点がない。結局、さらに上の小滝を上がったところの立木の根に支点を取ってビレイすることにしたようなのだが、CS滝の下からでは様子が伺えず、どうもテンパってしまったようでコミュニケーションもうまく取れない。合図がないのできちんと確保されているのか分からないし、かと言って待っていると濡れて寒いし…。仕方なく、3番手のメンバーに足を抑えてもらって、hm氏と同じようにCS滝を越えて上流に行ってやっと状況の把握ができた。
取り急ぎロープを支点に固定して、下からはゴボウで登ってもらえるようにしてCS滝の上まで戻る。
足を抑えてくれた3番手はhm氏ほどクライミングが上手くないので、固定したロープをハーネスに結んでもらって、引っ張り上げるように登ってもらった。最後にリーダーが無理やりゴボウで上がって、なんとか全員がアトラクションCS滝を越えることができた。
トップで登ったhm氏は、後続をどう登らせたらいいかまでは考えずに先に上がってしまったようだが、登る前にもう少しコミュニケーションを取ってから上がってもらえばよかったと反省。ただ、当人も登るだけで精一杯で、おまけに取れと言われた支点がなかなか見つからずにだいぶ難儀をしたようだ。少し落ち着いて周囲を見れば、支点にできそうな木の根などもあったので、メンタル面の強化も課題と言えそう。
ロープをたたみながら、hm氏には気持ちを切り替えてもらうように声をかけ、落ち着いたところで遡行を再開。
CS滝の上流は小滝がいくつか続く。ちょっとヌメるところもあるが、遡行に特段の問題はない。

ヌメりに気を付けながら小滝を登る。
CS滝で冷えた体を温めるよう、せっせと遡行を続ける。

CS滝から15分ほどでCo680の分岐。ここは右に分かれる流れが本流で、分岐のすぐ先で10mの滝を懸けている。正面は水流の少ない枝沢である。

Co680の分岐は一瞬どっちが本流か迷いそうな地形だが、本流は右折して滝を懸けている。
朝の林道でも水たまりが凍っていたが、沢の中の落ちた枝も凍り付いていた。
水も冷たいわけだ…

10m滝を越えるとほぼ源頭になるので、ここで昼食休憩として、少し落ち着いて食べ物をお腹に入れる。
昼食後リーダーをトップに10m滝を登るが、ここも訓練の一環としてハーケンを打って支点を取りながら登攀。セカンドは支点を回収しながらになるので、hm氏にセカンドを任せて、支点の回収を体験してもらった。支点の回収は恐らく初めてだったと思うが、少し苦労しながらも何とかハーケンを飛ばすこともなく支点を回収して滝上に抜けて行った。

3番手以降はトップに確保されながらの通常登攀で、結局通過に1時間ほどを要した。10m滝を越えると、あとは水流も細くなり小滝がいくつか懸かるが分岐する枝沢を間違えなければ、東屋の建つ浅間峠に導かれる。

10m滝の先も小滝がいくつか懸かるが、水量も減り源頭の雰囲気だ。

10m滝から20分ほども遡ると水流は無くなり、窪状の沢に雪が詰まっていた。雪の窪から雪の斜面を登って15分ほどで浅間峠着。14時30分…。遡行に少し時間をかけ過ぎたかもしれない。

源頭は溶け残った雪が窪に詰まっていた。

右俣の左沢を下降するなら通常は2時間弱ほどで下降できるが、登りの様子から考えると2時間では済まなそうな感じもする。いろいろと盛りだくさんで遡行してきて、今日はまあまあ練習にはなったと思われるので、ここまでとして、少し休んでから登山道を上川乗バス停へ下山することにした。

浅間峠着14時30分。沢下降で戻るにはちょいと遅い到着時刻となった。

浅間峠からは1時間ほどでバス停まで下山し、着替えや片づけをしながら20分ほど待つと武蔵五日市駅行のバスが到着。途中の拝島駅前で反省会(という名前の飲み会)を挙行し、本日の振り返りをしながら鶏のから揚げなどをぱくつく。
拝島からは、西武線で帰るメンバーとJRで立川方面へ帰るメンバーに分かれてそれぞれ帰路に就いた。


  • 日程:2024年3月3日(日)

  • 天候:晴

  • メンバー:sm(L)、hm、wr、tapiola(SL)

  • 地形図:五日市、猪丸

  • コースタイム:南郷バス停(7:48)-落合橋(7:59)-熊倉林道終点(8:28/9:00)-陸軍滝下(9:30)-陸軍滝上(10:35)-4mCS滝(11:28/12:03)-10m滝下(12:18/12:50)-10m滝上(13:55)-浅間峠(14:30)-上川乗バス停(15:35)

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