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ステーキハウス症候群(Steakhouse syndrome)

ジメジメする天気が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
梅雨になったと思ったら、今年はすぐにあけるようです。
暑い時期にはBBQで大きなお肉を食べることが増えると思います。
また夏に人気の沖縄はステーキが有名ですね。
今回はそんなお肉にまつわる疾患です。
(奇しくもEMAのテーマとかぶってしまいました、ぜひそちらも見てみてください。)


ステーキハウス症候群とは

ステーキハウス症候群という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは食道に食べ物が詰まってしまうことを指した疾患です。
1963年にNortonらによって初めて報告されました(Lahey Clin Found Bull
. 1963 Jul-Sep:13:55-9. PMID: 14078124)。
名前の通り、一般的に肉類は詰まりやすいと言われます。200例ほど集めた研究ではその85%が食肉であったと言われます(Gastrointest Endosc. 2001 Feb;53(2):193-8.  PMID: 11174291)。
食道閉塞は13人/10万人と言われ、小児で起きやすいと言われています(Gastrointest Endosc. 2001 Feb;53(2):193-8.  PMID: 11174291)。

臨床症状

咽頭痛や嚥下困難(飲み込みにくい)、また胸痛(胸が痛い)と訴える場合があります。
一般的には窒息とは異なり呼吸器症状はまず出ませんが、閉塞したものが大きく気管を圧排する場合には呼吸困難感や喘鳴を伴う場合もあります。

診断方法・治療

すぐに検査できるものとしてレントゲンが考えられます。
ただし骨を伴うものではない場合に検出することは難しく、偽陰性率は47%と言われます。骨があったとしても小さい場合にはわからないこともあり、見えなかったからと言って否定はできません(Endoscopy. 2016 May;48(5):489-96.  PMID: 26862844)。
ガイドラインでは、何をつまらせたかわからない場合にレントゲンを推奨しています。

摂取された異物の大部分(80%~90%)は、合併症なく自然に消化管を通過するとされています。
ただし一部は緊急で除去する必要があります(例:電池や磁石 以前の記事をぜひ参照ください)。

完全な食道閉塞、鋭利なものであれば遅くとも6時間以内に内視鏡での除去を推奨しています(Endoscopy. 2016 May;48(5):489-96.  PMID: 26862844)。食物であっても完全な閉塞、つまり症状が持続する場合は内視鏡を行う場合があります。具体的にはカメラを挿入し、そのまま食べ物を押して胃の中に押してあげます(プッシュ法)。

グルカゴンを投与し消化管を弛緩させる、緩ませることで食べ物が通過することを期待する方法もありますが、成功率が低いとされその場の医師の判断に任されています。

もし起きてしまったら

応急処置としては少量の水を含み飲み込めるか試してみてください。
大量に飲んだり他の食べ物を摂取したりすることは悪化させる可能性があります。以前言われていたコーラに関しては、閉塞の解除に寄与しないと報告されておりこちらもあまりおすすめできません(BMJ. 2023 Dec 11:383:e077294. PMID: 38081653)。
自然に解除された場合も食道疾患が隠れている(腫瘍や好酸球性食道炎など)可能性があるため、後日かかりつけ医に相談することをおすすめします。

終わりに

今回はステーキハウス症候群をまとめてみました。
ゆっくりとしっかり噛んで食べることが予防につながります。
美味しいものだからこそ噛み締めて食べるようにしましょう。

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