【日記】濃厚接触
「云寺さん、今日もいつものやつ、やりますね。」
「待ってください…待って、待って。心の準備が…」
「そろそろ慣れてください…。」
「いや、そんなこと言っても、だって…」
「挿れますよ。力抜いて、力入れると余計痛いから…」
響く私の呻き声、というか、喘ぎ声。
「云寺さん…力抜いて。そんなしたら、出ちゃいますよ。」
視界が涙で滲む。
「声、我慢しないで。出した方が楽ですよ、大丈夫、僕達しか聞いてませんから。もう少し。もう少し奥まで挿れますね…。」
「はい、抜きます!云寺さん、見てください、今回血が出てなかったです!治りかけてますね、この調子ですよ!」
私は鼻の奥にいれられた長すぎる綿棒を見せられた。
インフルエンザの検査って鼻に綿棒を入れる。私がやっているのはこれの、更に奥まで入れる。
ここまで入れました、と指を物差し代わりにされた時はうげっとなった。
私はとある慢性化した炎症を患っていて、カテゴライズ的にはいわゆる風邪なんだとか。
急性のそれだと抗生物質での投薬治療も可能だが、私の鼻の奥は相当に腫れ、炎症を起こし常に血が滲んでいたそうだ。
なので週に一度、病院に行き、患部に薬(亜鉛)を塗ってもらう。
治療方法はこれだけ。逆に心配である。
しかし、三ヶ月以上掛かると言われていた治療だが、一ヶ月毎週患部に薬を塗る拷問に耐えていたら、随分と良くなってきたらしい。
有難い、出来るだけ鼻に異物を突っ込むのはもう勘弁だ…。
ちなみにこの炎症は風邪だが、抗生物質を飲まないと治らない上に、検査が出来る病院が少ない。
もともとアレルギー鼻炎を持っている私は、かかりつけ医の耳鼻科に行くしか脳がなかったが、検査が可能な病院でラッキーだったと言えよう。
ただの風邪薬で治らず、風邪だと診断された末路が私のように慢性化してしまうらしい。
こんなご時世だ、ただでさえ風邪をひきやすい季節なので皆さんも異変があったら病院に行ってください。
今日も患部に薬を塗ってきたのだが、それはもう痛かった。
異物が入る気持ち悪さだけでは無く、炎症を抑える薬が余程強いのか、鼻は取れそう、耳鳴りで中耳が痛い、目は涙でぐじゅぐじゅ、喉の奥の違和感、こめかみの鈍痛。これが約二時間続く。
これが要は薬の効果らしい。
正直何も知らずに患っていた時の方が楽だが、将来の為と思い来週も頑張ります。
はあ。涙。
云寺
余談ですが、
入れるを挿れるの表記にしたり、中点や句読点、小文字を多く使うと、文章って官能的になりますよね。
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