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ネロ生配信 最強ヒロインルーレット 個人的解釈妄想ストーリー

最初に

なんですかこれ?と言う方にまずは説明。これは2021年2月25日に配信された【美少女爆誕!?】諸君らの“好き”を合体させたら最強ヒロイン生まれちゃう説!【最強ヒロインルーレット】なる企画にて生まれた7人のキャラ達のストーリーを妄想したものである。
ルーレットにて容姿、属性、捕捉の3つの要素が決まっていき、そのお題に沿ってネロちゃんがキャラを描いていくと言った企画である。お題の内容の殆どは視聴者による応募みたいなものなので何が生まれても自己責任だぞ。
そんな過程で生まれた7人のキャラ達について軽く最低限の設定を添えつつ個人的解釈による妄想ストーリー、壮大に何か始まりそうで始まらないストーリーを書いていこう。

一人目、佐倉 咲(14)

佐倉咲

容姿:アシンメトリーな体の傷
属性:実の妹
捕捉:口癖は「だるいしんどい眠い」
まず最初に生み出されたのがこのキャラ。アシンメトリーな傷って事で体の前面に目立つ袈裟斬りの傷跡が。だるいしんどいが口癖なのでジト目となっている。まだ最初の1人なので企画の方向性含めてまだ迷いが若干ある感じなデザインとなっている、だが後半になるにつれてネロちゃんはどんどん進化していく。
ここで個人的解釈設定:妹キャラと言う事で事件に巻き込まれて行方不明になった兄を探している途中に、自分もその事件に知らず知らずの内に巻き込まれ戦いの中に身を投じていく事になるであろう未来を背負った主人公ポジションであると考えている。途中に主人公として能力覚醒イベントとかありそう。
イメージCV:東山奈央(ゆるキャン△のしまりんイメージ)

二人目、藤沢 あやめ(25)

藤沢あやめ

容姿:足元まである長髪
属性:人妻
捕捉:刀を持っている
容姿、属性までは普通だが捕捉にてとんでもない事になってしまったキャラ。糸目キャラは強いとかシリアルキラーとか色んな想像がされてる謎なキャラに仕上がった。しかし普段の振る舞いは至って普通な奥様と言った感じか。
ここで個人的解釈:糸目キャラは開眼すると強いの法則に従い、このキャラの目の色は深紅の瞳であると想像する。時折殺人衝動に駆られて刀を血で染める日々が続く、しかし今の夫と出会ってからは殺人衝動諸共記憶を封じられて今では普通に暮らしており、護身用の刀だけが名残として残っているとか。深紅の瞳は人狩り一族と恐れられている噂があるので目が赤い人は基本的にカラコン等で隠す傾向がある、だがこの人は心眼により目を閉じていても問題は無いとか、むしろ敢えて見せつけてるとか。
イメージCV:能登麻美子

三人目、マリアンヌ 前田(32)

マリアンヌ前田

容姿:寒色系のメッシュ入ってる
属性:オネェ口調のマッチョ
捕捉:愛に飢えているので愛情深い
ヒロインって何だっけ?そんな考えをもマッチョで吹き飛ばす頼れる優しいお人。見た目の凄さとは裏腹に口調はオネェだし愛に飢えており人に対しては分け隔てなく優しく愛情で包み込もうとする。配信中最も皆が戸惑ったであろうキャラ。
ここで個人的解釈:普段はバーを経営しており、時折組織からの任務として自称正義の魔法少女としてそのマッスルで悪を裁く。困っている人を見捨てておけずお客や周囲の人からの人気や人望も厚い。マリアンヌさんだなんて他人行儀な、気軽にマリーちゃんって呼んでね♡が決まり文句。自称魔法少女と名乗るだけあってただのマッチョでなく一応能力者。本人曰くMP(マッチョパワー)を消費してオーラを飛ばして攻撃防御の両方に使えるとか。
イメージCV:諏訪部順一

四人目、雨宮 凛(16)

雨宮凛

容姿:目つき悪い系
属性:クーデレ
捕捉:精神年齢がやや大人びている
さっきとの落差もあってかルーレットの引きの良さも相まってネロちゃんが気合を入れて生み出したキャラ。〇〇デレ系のキャラは強い!なんかもう委員会とかに属してたり校則はきっちり守ってそうな感じ。精神年齢がやや大人びているので同年代に比べて最初は口はちょっときつい感じか。
ここで個人的解釈:クーデレで背伸びした雰囲気とかこれもうこの子からかうしかないじゃん。押しに弱くて「な、なによバカ!」みたいな感じで照れて早足で逃げ出しそう。能力者達が跋扈するこの世界ではどういった立ち位置になるか、敵となるか味方となるか不明なポジション。最初は無能力者でも途中覚醒して参戦する可能性もあったり。
イメージCV:雨宮天

五人目、津田 あきら(9)

津田あきら

容姿:手袋
属性:ダウナー系毒舌っ娘
捕捉:得物が普通の武器じゃない(文房具など明らかに武器として適していないもの)
佐倉咲ちゃんと似ている感じな属性だがこちらは明らかに子供。だがしかし、その見た目に反して裏の世界で生きている様な強者の雰囲気を出している。見た目は子供、頭脳は大人みたいな頭も身体能力も強い。手袋にフードを深く被っており表情はあまり見えない感じ、そして扱う武器が文房具。過去の文房具バトルロワイヤルの配信を思い出すな。
ここで個人的解釈:幼い頃に既に両親を亡くしておりマリアンヌと同じ組織に引き取られ鍛えられた己の暗殺術をただ活用するのみ。気を許す相手は少なく、時折マリアンヌの店に任務の受注と報告の為に顔を出す。武器と見た目で相手を油断させる作戦が得意。本人曰く自分は無能力者で手袋が特殊なだけと言い張っている、同じ組織メンバーにも本当の力を隠している。身体能力の高さと使用する特殊文房具だけでも十分に強いのであまり詮索する人はいない。
イメージCV:高山みなみ

六人目、四条春華(16)

四条春華

容姿:巫女服
属性:帰国子女
捕捉:スレンダーな体躯(助が浮いている)
ルーレットが後半になってデレ出してきた結果生まれた子。容姿、巫女服でSSRキターと沸き立つ配信。帰国子女属性だがどこの国かは謎。ムードメーカー的な存在で明るく人気があり彼女目当てでわざわざ神社に足を運ぶ者も少なくはないとか。
ここで個人的解釈:同じ16歳と言う事で雨宮ちゃんと同じ学校だったりしそう、と言うか友人。しかし骨が浮くほどの体がちょいと心配な、と見せかけて実は体術が凄かったり神の力の一部を使えたりする意外な一面があったりするが周りには隠しているとかあったりして。マリアンヌや津田ちゃんがいる組織には属しておらず、あまり人前で力を使いたがらず争いを好まないタイプかも。友人の雨宮ちゃんを守るために止む無く戦う展開とかあったりして。個人的に「~なのだ」口調の明るい子だと思ってる。
イメージCV:上坂すみれ

七人目、タオタオ(14)

タオタオ

容姿:シニョン
属性:アホ
捕捉:たい焼きが好き
まずシニョンと言う容姿でチャイナ娘が決定、そこにこの属性と捕捉。いや肉まんとかじゃないんかい!って誰しもが思った瞬間。このピンクのぐるぐるがアホ可愛さを引き立てている。そして気付いたであろうか、7人もキャラを描き続けているのでネロちゃんの画力スキルが向上している事に。
ここで個人的解釈:同じ14歳って事で咲ちゃんとの絡みがありそう。一見無害なアホ娘に見えるが実は大事な使命を持って動いていそうな予感。でもこの子の場合は演じていると言うよりも素で天然な感じがする。特殊能力無しでも肉弾戦が普通に強そう。実は無害を装って咲ちゃんに近づく敵か味方か怪しい人物の可能性も。
イメージCV:釘宮理恵

壮大に何か始まりそうで始まらない妄想ストーリー

切欠は一つの事件から始まった。私、佐倉咲の実の兄が行方不明になったのだ。警察も全力で捜索しているが、最近は物騒な別の事件の方に集中しているらしく進展はほぼない。私の両親は私が幼い頃に離婚し、何故か兄と共に父親に引き取られたのだ。しかしその父親も仕事で殆ど家にいる事が少ないので実質兄だけが常に一緒にいる家族だった。そして今日も夜遅くまで私は兄を探して街中を彷徨う。
既に兄が行きそうな場所は探し尽くしてしまった、一旦考えを整理して探しなおしてみるか?兄が行方不明になった事件の詳細はこうである。兄は普段遅くなる時は必ず連絡をくれるのだが、その日は何も連絡が来ずこちらからも連絡が取れない状態だった。朝も特に変わった様子は無くいつも通りに学校へ向かったはず。実際に兄の高校の友人にも聞いたがその日は普通に登校して何事もなく帰ったらしい。ただその日の兄は急いで学校を飛び出し一人で帰ったと言う点だけがやや妙ではあるが。そしてその日から兄の姿を誰も全く見かけなくなったのだ。最近は夜道で人が鋭利な刃物の様な物で斬られる事件が多発していてただでさえ危険だと言うのに、兄が遺体で発見されるのだけは絶対に勘弁してほしいものだ。考えたくは無いがもしかしたらの可能性もあるので兄の通学路を念入りに再度調べる事にし、私は立ち上がった。
「どっこいしょ、あぁだるい。でも私がお兄ちゃんを探さないと...糞親父は連絡すらまともに取れないしこんな一大事に一体どこで何してるんだか。」
辺りは真っ暗で外灯も少ない、手持ちの懐中電灯の明かりを頼りに地面や壁、電柱等に血痕や刃物傷等が無いかをじっくり調べる。本来なら明るい内にやった方が効率が良いし、何よりこの後とんでもない事に巻き込まれるなんて迂闊にも当時の私は一切考えていなかった...

「血の跡とかだったら警察が見つけてない訳無いだろうしなぁ、でも見逃してる可能性もあるかも。う~腰がしんどい。」
しゃがんだり中腰になったりで夢中になってあちこちを調べていたので流石に腰が辛い。少し休憩するかと顔を上げて伸びをした所、遠くに赤い光が二つ並んでいるのが見えた。
「猫?いや車のランプか。そういえば今何時だろう、スマホスマホ」
時間を見ようとスマホを取り出し画面を見るが、その直後スマホが真っ二つになっており私の体は宙を舞っていた。正確には誰かに抱えられて飛んでいる状態であった。一体何が起こっているのか事態を把握しようとしたが突然の体の痛みに思考が停止され思わず胸をおさえる。更に傷みが激しくなる、思わず手を放すが触れた右手の平に妙な感触があった。左手に持っていた懐中電灯で右手を照らすとそこには真っ赤な手の平があった。すると突然声を掛けられる。
「あなた大丈夫?ちょっち助けるのが遅れちゃって怪我をしちゃったみたいだわね。少し我慢しててくれるかしら、後で治してあげるからね。そ・れ・と、その明かりは消しといてちょうだい、敵に居場所がバレちゃうわ」
暗くて顔は良く見えないが抱きかかえている感じや声からして男性だろうか?口調は少し変だが私を助けてくれたらしい。まずはお礼を言おうと思ったが私はそこで気を失ってしまった。
闇夜に佇む女性が一人、足元まで届く長髪を肩の辺りでひとまとめにしている。一見すると穏やかそうに見えるが手には刀を持っており可愛らしいハンカチで血を拭っていた。そして刀を鞘に納めると次は血痕が付いた地面にスプレーを吹きかける。
「主婦の強い味方、どんな汚れも落ちちゃうスプレー。血の跡だって消せちゃう優れ物だわ~、ルミノール検査とかされるとバレちゃうらしいけどまあ大丈夫でしょ。それにしてもマリーちゃんがまだ現役だっただなんて、今日は逃げられちゃったわね。でもきっとまた会えるわよね、斬った手応えも浅かったし。」


―――私が目覚めた時には薄暗いどこかのバーのソファに寝かされていた。少し怪しい雰囲気もするしさっきの事もあって身の危険を感じ、起き上がって辺りを見渡す。だが体に痛みが走り、ソファから動くのは難しそうであった。私が起きたのと同時に近くで掃除をしていた男性に声を掛けられた。この声は私を助けてくれた人と同じ声だ。
「あら、傷口は塞がったとは言えもう気が付いたのね。思っていたよりあなたって結構タフね。いきなり色んな事が起こって焦っているわよね、まずは簡単に説明してあげないとね」
今度は照明の付いた室内なので男性の姿がはっきりと見えた。白髪に寒色系メッシュが少し入ったツンツンヘアー、肉体はプロレスラーの方だろうか?全身凄まじい筋肉である。タンクトップを着ているので余計に筋肉が目立つ。だが見た目に反して口調からは凄く優しさが伝わってくる、なんだかここは安全な場所なんだと本能的に悟った。
「さあて、どこから話したらいいかしらねえ。そうだわ、まずは自己紹介よ。アタシの名前はマリアンヌ前田、ここのお店のマスターをやっているの。気軽にマリーちゃんって呼んでね♡」
ここはオネエ系が店主のバーなのか、まあ悪い人では無い様だ。現に私を助けて介抱してくれた訳だし。マリアンヌ前田、マリーちゃんの話によるとどうやら私は噂の連続辻斬り魔に襲われたらしい、そこを自称正義の魔法少女のマリーちゃんが助けてくれたとか。その後傷ついた私をここまで運んで治療してくれたとか、この短時間でどうやって傷口を塞いだのかについては「魔法よ」としか言ってくれないので諦めた。
「私の紹介は終わったから今度はあなたの番ね、お名前とどうしてあんな所に居たのかちょっち教えて頂戴。」
兄探しは最早日課の様なものと化しており特に隠す必要は無いと思ったので全てを話した。だが私の話を聞き終えたマリーちゃんの顔が少し険しくなって一人でなにやら呟き始めた。
「んー、もしかして佐倉ってあの佐倉かしら?そうなるとこのまま放っておく訳にはいかないわね。念の為上に連絡してみようかしら。そうなると彼女が狙って来たのも合点がいくわ。あぁ、咲ちゃん、温かいココアでも飲みながらちょっちここで待っててねん」
そう言ってマリーちゃんは店の奥へと消えて行った。あの独り言からして何かに巻き込まれたか?もしかして兄への手がかりに近づいたか?多少の痛みをこらえて上半身を起こして折角なので温かい内にココアを頂く。するとドアが開く音が聞こえた、時刻は0時を過ぎているし表には閉店の看板を出していると言っていたのに酔っ払いでも入って来たのだろうか?しかし私の予想とは大きく異なるこれまた異様な人物がそこにいた。
「おい前田、いるんだろう?ちょっと情報交換だ出てこーい」
この場に似つかわない小さな女の子?フードを深く被っているので顔は良く見えないし背丈や声からしてまだ小学生位だろうか?突然やってきてこの様子だと恐らくマリーちゃんの知り合いだろうが彼女からは異様な雰囲気が漂っている。なるべく関わり合いになりたくなかった私はソファの隅っこで縮こまっていたが直ぐにバレてその子に声を掛けられた。
「ん?誰だお前、見かけない顔だな。何?また前田が拾って来たのか?面倒増えるなあ。まあ役に立つならなんでもいいけどね」
物音一つ立てない様に潜んでいたのに何故か最初から分かっていたかのようにこちらに向かってくる。しかも口がかなり悪い、多分私の方が年上だぞもうやだ家に帰りたい。すると用事を終えたのか騒ぎを聞きつけたのかマリーちゃんが戻って来た。
「あらあら、あきらちゃんじゃない。今日来たって事はやっぱり例の件かしら?後、その子は怪我人だからあんまり虐めないでね。紹介するわね、彼女は津田あきらちゃんよ、訳あって私達と色んなお仕事してるのよ。」
「出てくるのが遅いんだよ、それと余計な事を部外者に言うな。それであやめがまた出たんだろ、そっちの情報を寄越せ。こっちは最近あんま足取りが掴めてない、変な邪魔ばかりだ。」
「まあまあそう焦らないで、数時間前に彼女と交戦・・・とまではいかないけど遭遇はしたわ。その時に保護したのがそこの彼女、佐倉って名前だからもしかしたら・・・」
何やら二人は良く分からない会話をし出した。もしかしたら兄に繋がる情報が出てくるかもと思い聞き耳を立てていたが、夜も遅く先程の怪我もありついつい眠ってしまった。
「兄を探している佐倉の姓か、もしかしたら我々の探している対象の妹かもしれない。現にあやめが襲って来たのも気付いているのかもな。それで前田はこいつをどうするんだ?家に帰したって危険だろう。」
「そうねえ、彼女があの佐倉ならお父さんはあの人になるわけだし。このまま私のお店でアルバイトとして住み込みで働いて貰おうかしら、まあ近くに居た方が保護しやすいからね」
「好きにしろ、ただ護衛とかそういうのだけは勘弁な。どうにもまだ能力が覚醒していない凡人みたいだし。情報交換もしたし今日は帰る。」
「咲ちゃんの事は私に任せておいて、それじゃあまたね」
そうして津田は店を出ていき二人は別れた。
「あら、咲ちゃん寝ちゃったのね。まあ無理もないわね。咲ちゃん、本当はこのままあなたに何も起こらなければ良いんだけれども。残念ながら神様は味方してくれなかったようね。これから辛くなるかもだけれど私の愛で精一杯サポートしてあげるからね」



時は少し遡り咲が襲われた当日の昼間、とある神社にて女子高生が二人境内にて雑談をしていた。
「凛ちゃ~ん、お待たせ。今日のおやつは黒糖まんじゅうなのだ。でも一つだけサルミアッキが中に入ってるロシアンルーレットまんじゅうなのだ」
「あんたって相変わらずそういうくだらないのが好きね」
ネイビーブルーの艶やかな長髪を風に揺らし、いかにも風紀委員と言った出で立ちの美少女が友人のジョークを笑いながらもまんじゅうを口にする。彼女の名前は雨宮凛、実際に高校で1年生でありながら生徒会委員に所属している。
片やまんじゅうとお茶を運んできた淡いブロンドヘアーで巫女服姿の細身の女の子はロシアの帰国子女であり暇さえあれば親の神社の仕事を手伝っている。名は四条春華、地元では割と名家の歴史ある神社らしい。しかし本人にはあまり自覚が無い様子。今日も友人の凛と境内の掃除をサボってお茶を飲んでいる。
「やっぱり渋いお茶に甘いお菓子は合うわね、でもこれ本当にサルミアッキなんて入ってるの?」
「勿論なのだ、凛が苦しむ姿が楽しみなのだ。残り二つ、確率は二分の一。」
そう言っておまんじゅうに手を伸ばす春華、だがしかし苦しんだのは彼女の方であった。
「ッ!!!ブリャーチ!、まさかこの私が外れを引いてしまうとは不覚なのだ!」
「そう言っていっつもあなたが外れ引いてない?ほらお茶入れてあげたから飲みなさい。後、仮にも名家のお嬢様なのに品の無い言葉使わないの。」
「スパシーバ...今回は作る時に目印付けたからいけると思ったのにぃ...」
策士策に溺れるとはこの事か、まあ彼女がちょっと抜けているのはいつもの事である。凛はそう思いながら今日学校で見た事をなんとか忘れようと、嘘だと思おうとしていた。生徒会委員である凛は1年生と言う事もあり、主に書類整理の仕事を任されていた。今日は凛が最後まで部屋に残っており作業をしていた所、うっかり紙を1枚落としてしまった。紙は会長の机の後ろまでいってしまい、机の後ろに回り込んで紙を取りに行く羽目に。そこでふと会長の机の引き出しが不自然に空いているのが目に入った。本当なら見てはいけないはず、だが人間のサガか好奇心で少し覗いてしまった。なにせ引き出しが中の紙の文字がはっきり読める位に開いていたのだから。そこにあった文面を見て凛は驚愕した、「聖クロス学園能力者候補リスト」と書かれた表があったのだ。凛自身、能力者については存在は知っていたがまさか実在する者だとは思っていなかったので気が動転してその日は作業を中断して帰り、春華の神社に寄ったという訳だ。能力者、それは通常の人間の身体能力を遥かに超えた異能の存在。力の使いようによっては人類の敵にもなり得る得体のしれない存在。彼女にはそんな認識があった。春華と話して気を紛らわそうと思ったがなかなか上手くいかない。そんな表情を悟られたのか春華に突っ込まれる。
「凛ちゃんどうしたのだ?何か悩みがあるのなら春華が聞いてあげるのだ!悪い奴にでも付きまとわれてるのなら追い払ってやるのだ」
そう言って彼女は細い腕を突き上げてアピールする。正直言って彼女の体は骨が浮く程か細く頼りない。だが友人の励ましを無下にも出来ず凛は応える。
「ありがとう、でもそんなんじゃないの。生徒会の事で少しね、ちょっと狐に化かされた気分かしらね」
「お狐様とな!?ハラショー!春華もその辺の話題は気になるのだ!でも生徒会の話は難しいのだ~。春華はそっちじゃ力になれないのだ。」
「ふふっ、こうして話を聞いてくれるだけでも十分よ。さて、おまんじゅうも食べたしそろそろ私帰るわね。そろそろあなたのおばあ様がサボりに気付いて怒り狂う頃でしょうし。」
「んな、凛ちゃんとの会話に夢中でお掃除をすっかり忘れていたのだ。それじゃあまた明日なのだ。」
私の姿が見えなくなるまでずっと手を振る春華を後ろに私は神社を後にした。能力者、本当に存在するのかしら?最近の連続辻斬り事件もあるしあながち嘘ではないのかも知れないけど何故うちの学校に?1人で考えるが分からない事が多過ぎる。そして何より気になっていたのは候補リストに自分の名前が載っていたのが見えてしまった事である。これが目に入ったのは偶然か必然か、自問自答するが答えはさっぱり出ない。


目が覚める。兄の情報を得ようと聞き耳を立てていたがうっかり寝てしまった様だ。相変わらずバーのソファで私は寝ていた。マリーちゃんはどうやら鼻歌交じりに朝食を作っている様だ、いい匂いがしてくる。体の方は昨日より大分楽になった、これなら起き上がって歩く位は大丈夫だろう。幸いにも今日は土曜日、学校は休みだ。マリーちゃんが朝食を持ってくる、折角なので朝食を頂きお礼を言って家に帰ろうと思った。
「大丈夫?別にここに暫く居たって何の問題も無いのよ」
「いえ、これ以上お世話になるのも悪いですし家に帰って着替えとかシャワーとか浴びたいですし。」
「乙女だもんね、そこは仕方ないわよね。まあ昼間なら安全でしょうし、もしお家で1人寂しかったらここを第二の我が家と思ってもいいのよん。それじゃ行ってらっしゃい。」
「どうもお世話になりました、ありがとうございました」
そう言って私はお店を出る。朝日が眩しく感じられる、今日は天気が良すぎて少し暑い位だ。こんな日の捜索は少しだるいと感じるが兄の為に泣き言は言ってられない。私は兄の痕跡を探しつつ自宅へ向かった。
「無事我が家に着いたが大変な事に気が付いてしまった、ポケットに鍵が無い...昨日落としたのか...?これでは財布も取れないし着替えもシャワーもどうしようもない、うぅしんどいよぉ」
恐らく家の鍵は昨日の騒動で落としたのだと考えて昨日の現場付近から探しに入る。しかしいくら探しても鍵は見つからない。気が付けば正午はとっくに過ぎておりお腹も空いてきた。近くの公園のベンチに座って休憩するが空腹だけはどうしようもない。ぐぅ~と大きな音がなる、女子としてこれは正直恥ずかしい。誰にも聞かれなければ良いけどと思っていたが誰かが近づいてくる足音がし、悲惨にも話しかけられる。
「お前お腹空いてるアルか?このたい焼き食べるか?」
このお腹の音を絶対聞かれてしまったと恥ずかしながらも空腹には逆らえず顔を真っ赤にして無言で頷く。だが相手はそんなの気にしていないのか1人でどんどん喋り出す。
「こんなところでお腹すかせてるなんてお前変な奴だなあ。タオタオはお腹が空いたらいつでもたい焼きが食べられるように袋にいっぱい買ってあるんだゾ。たい焼きは美味しいゾ、ところでお前名前はなんて言うんだ?」
「え?佐倉咲って言います、たい焼きどうもご馳走様です。」
「佐倉咲アルか良い名前ネ、たい焼きもう一個食べるか?」
空腹と言う事もあってかいつも以上に美味しく感じられたたい焼きの魅力には勝てず、もう一個貰うことにした。それにしてもこの子なんで袋一杯にたい焼き買ってるんだろう、と突っ込むのは恩人に対して無粋だと思い辞めた。彼女はタオタオと言うらしく、最近こちらにやってきたばかりらしい。歳は私と同じ14歳と聞いてなんとなく親近感が湧いた。そしてなんで公園のベンチで腹を空かせていたのか聞かれたので、家の鍵を無くした事も説明した。
「ハハハ、家の鍵落とすなんて咲は間抜けアルなあ、そんなに慌てて何していたネ」
「いやあ、昨日はちょっと色々とトラブルがあってね、ハハァ...」
そこで突然タオタオの電話が鳴りだす。
「おっとこれは大事な電話アルよ、これにてさよならアル。」
「たい焼きありがとね、ってもうあんな遠くに足速いなあ...」
私がお礼を言おうとした時には既に公園の出口まで疾走していたタオタオ、驚くべき足の速さ。うちの陸上部でもあんなに足速い人は見た事ないけど、クンフーとかやってそうな見た目だったし身体能力とか高いのかなあ。そんなステレオタイプなチャイナ娘を頭に浮かべながら空腹問題を解決した私は再び歩き出す。どこへ向かうでもなく今の私の心は兄の捜索だけが生き甲斐のようなものであった。

何気ない日常を送っていたと思ったら突然歯車が狂いだし、自分の運命を大きく左右する。この短時間で出会った人物達が自分の未来に大きく関わってくるなんてこの時の私は知りもしなかった。まさか私を中心として周囲の環境が大きく変わり、日常から非日常へと突然放り込まれ信じられないフィクションみたいな世界に生きることになるなんて...

次回予告(風なので続きかどうかは私が決める事)

シンフォニックメタルなBGMに真っ黒な背景に白字でキャラの台詞が音声付きで浮かんでは消えていく感じ。
「それじゃあ咲ちゃんは今日からここで住み込みで働いてもらうわねん」

「前田、聖クロス学園がどうにも臭い。情報を寄越せ。」

「会長、どうしてこんな事をするのですか!?」

「凛ちゃんに何かあったら私が絶対に守るのだ...」

「私の本来の記憶を蘇られてくれたあの人の為でもあるし、私自身人を斬るのが楽しくて堪らない宿命なのよ。」

「だるい、しんどい、痛いよぉ」
次回、私の第二のマイホーム
回り出した歯車、絡み合った運命の糸は止まらない。(イメージCV:小山力也)

あとがき

本編書いてる時は深夜テンションと飲酒テンションどっちがどうなるんだろうって感じで書いてました。なので文章や設定がごっちゃになっている可能性大、多少の見直しはしてますが。後キャラ設定は公式と言うか配信をベースに個人好みにかなり弄ってる感じです。そしてこれは0話とか1話ポジの読み切り妄想って感じで書いてます、全体的には血みどろ感ありつつたまにギャグパート挟む感じが良いと思います。如何せんメイン登場キャラが7人なのでモブキャラ以外登場させようとするとオリキャラとか出ちゃうのは避けたい気持ち。能力者とか組織とか単語が出てるのは今後明らかになっていくみたいな、こう読者の妄想の余地を残したりと言う名の言い訳説明不足。基本自分の脳内で映像が全部浮かび上がってるので説明不足になりがちな癖があるのかも。ノベルゲーや本とかと違って背景やスチル、挿絵が無いわけだし。キャラの立ち絵はあるけど場面の描写が上手く伝わってるかどうか。
でもまあ正直こういうの考えるの大好きなので是非ともネロちゃんにはまたこの企画やって貰いたいものですね。次こそはツインヘッドデュラハンメイドを是非とも!
この一文だけは素面での追記、なんかアニメの次回予告風な物まで書いてるし、書いてる時めっちゃ楽しかったし今になって思うとなんだこれって感じやべえ。