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20歳の夏休み全部使って日本一周してみた(20:鳥取〜益田)

第20日目

とうとう、この日本一周旅行も折り返し地点に差し掛かっています。日数的に予定しているのは約40日ですから、今日はちょうどその半分となる1日です。今日は前日のうちに鳥取に到着できたため、朝一番に誰もいない鳥取砂丘へ向かうことにします。

鳥取砂丘は駅から約1時間ほど歩いた海沿いに立地しており、観光するのにおすすめの時間帯は夕方と朝です。夕焼けや朝焼けに照らされる砂丘はいつもに増して一際美しく見えます。特に朝の時間はそもそも日の出の時間から観光客が大勢来るということが考えにくいので、まるで火星にでも行ったかのような静けさを味わうことができます。

前日の夜22時過ぎに駅前のカプセルホテルに着き、翌日の朝の3時半にはアラームを鳴らして砂丘に向かうという異例の行程は一人旅だから実現できたことです。朝3時半に鳴らしたアラームを止めるために、全く記憶にないですし、どう器用に操作したらそうなるのかわからないのですが、スクリーンショットを撮ったらしいです。寝ぼけてると何をやらかすかわかりませんな。

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4時過ぎにはホテルを出て、まだ真っ暗闇の鳥取駅前を歩いて海の方へ歩きます。途中1つ山を越えるような道を歩くことになっていて、それはそれは暗闇で怖かったです。5時25分頃に日の出ですので、ちょっと早歩きで向かうことにしました。砂丘に近づくにつれ、分厚い雲の隙間から確実に明るくなっている空を確認することができます。天気予報には雨とあったので、降ってないだけマシですが、朝焼けは美しく映えるのでしょうか。

山を越え、トンネルを抜けると東方の雲がピンク色に煌めいています。僕の勝利です。太陽が顔を出しました。心が弾みすぎて思わず砂丘まで走り出します。先着のカップル(?)がいましたが、スキップして追い抜いて、まだ誰も立ち入っていない砂丘に一番乗りすることができました。

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まず目に入り込んできたのは、日本海から飛び出す虹。朝のこんな時間に虹ができること自体、知りませんでしたが、いろいろ条件が揃って姿を表したのでしょう。空が曇っていて、砂丘の一部を切り出して写真を撮ると、本当に火星かどっかの違う惑星にいるような写真が撮れます。火星探査機から送信された写真ですと言っても騙すことのできるくらいクオリティが高いです。

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そして、朝のこの時間帯でなければ、おそらく見ることは難しいであろう「風紋」と呼ばれる砂の様子を観察することができました。時間が経てば経つほど、人混みに踏まれその形が保てなくなるこの模様は朝のこの時間帯でなければ見れません。所によっては一面風紋が見られるところがあり、カメラの向け方でサハラ砂漠にでもいるような錯覚を覚えます。

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馬の背と呼ばれる砂丘の斜面は割と、というか普通に急で登山か何かをしているみたいな気分になります。砂もふかふかなので、一歩踏み入れると、10cmくらい凹み、ふかふかの雪と同じような挙動をします。途中からぽつぽつ降り出してきたので、たっぷり砂漠を堪能した後はバスで駅へ戻りました。砂丘には朝早くから、たまたま鳥取を旅先にしていた大学の友達も駆けつけてくれて、これで人と会うのが6日連続です。いろんなとこにいろんな人がいて、旅に飽きません。

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鳥取駅からは山陰本線に乗って、ひたすらに西へ進みます。実は昔、中学生くらいの頃、家族旅行で山陰旅行にきたことがあり、鳥取と島根の主要な観光地は行ったことがあるのです。あと、それで思い出したのですが、ここらへんの空港の名前はふざけているのか真面目なのかよくわからないことが多いです。「鳥取砂丘コナン空港」だったり「出雲縁結び空港」だったり「米子鬼太郎空港」だったりと、なんでみんなこぞって捻るんでしょうか。まあ面白いんでなんでもいいですけど。

倉吉、米子、松江と進み、短かった睡眠時間を補うためにところどころ記憶が飛んでいますが、たまたま目が覚めたところが丁度降りる予定の出雲市駅でした。そうです、出雲大社へ行くのです。出雲市駅を慌てて降りてからの数秒間は、短時間で集中的に視界の中に膨大な情報量が舞い込んできて、それを処理するのにキャパりました。

まず、駅のアナウンスで目が覚めます、「まさかもう出雲市駅じゃないだろ」と窓の外を確認したら、柱には「いずもし」の文字が書かれています。危ない危ない慌ててホームに降りて、引き続きアナウンスに耳を傾けると、なにやら山陰本線運転見合わせと聞こえてきます。よくわからないまま改札を出て、とりあえずトイレを済ませようとすると、ホワイトボードには「この先、益田方向へ一部区間、代行バスが走っています」と書かれているのです。呆気に取られて、尿意を失いかけましたが、駅構内に貼ってあるトイレまでの案内へ従うと、どうやら駅舎の外にあるらしいことがわかり、バスロータリーへ出ると、「出雲大社前行」のバスがちょうど到着したではありませんか。

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とりあえず、バスに乗り込んで、これからのことを考えます。今日は益田に宿を取ってあるので、時刻表と代行バスの接続を調べて、無事益田まで辿り着くことが確認できたら一安心です。出雲大社はとにかく「縁結び」を売りにしてますね。あとは馬鹿でかいしめ縄も有名です。

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出雲市駅からは行きは一畑バス、帰りは一畑電車に乗って移動しました。島根県を走る私鉄です。出雲市に戻ってきてからは、再び西へ進むのですが、何駅か先の「江南」という駅から先「田儀」という駅までの区間、大雨災害により地盤が歪んでいる影響で運行ができず、その区間を代行バスが走っていました。

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田儀という駅で1時間以上次の列車を待つ必要があったのですが、この駅は海との距離が近く、インスタ映えで有名な予讃線の「下灘」駅と似たような雰囲気を感じられます。一生に一度しか利用しないであろう一期一会の駅との出会いを尊重して、せっかく降りたのだから、駅のすぐ裏にある山上公園に登ってみることにしました。地元の子供達の集まる公共施設がある「手引ヶ丘公園」というところは日本海の眺望がよく、海と空の広さを感じるには絶好の立地でした。

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この運転見合わせがなければ、一生訪れることのなかった素敵な駅舎との出会いも、青春18きっぷを使った貧乏旅行でなければ叶わなかったでしょう。

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この先は山陰本線で益田を目指すのみです。ここらへん、大田、浜田、益田と似たような地名が連続したりしますが、近くの石見銀山が栄えていた頃には、世界に出回る3分の1だか2の銀を輸出する港町としても栄えた歴史を持ち、今は失われたかつての輝きを想像しながら車窓を眺めていました。夕焼けも非常に綺麗で、人生で初めて日本海に沈む太陽をまともに見れたかもしれません。

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明日以降もこのような天気が続けばいいですが、明日は遂に九州へと旅を進めていきます。

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