「一世の智勇を推倒し、万古の心胸を開拓す」（陳竜川）　（あなたを育てる名言）

西郷南洲が若い頃、江戸詰めになり、多くの賢人を訪ねて自己鍛錬に励みました。
その中で最も影響を受けたのが水戸藩の藤田東湖です。
この人ぐらい、多くの志士に会い、大きな影響を与えた先達はいません。
その東湖の家の玄関に掲（かか）げられていたのが、この陳竜川の名句です。

「一世の智勇」とは、自分一代の、とういことですから、自分に向けられる評判名声です。
そんなものは「推倒」おし倒す、圧倒するという意味です。
自分が自分の生きているうちに与えられる名声を得ようなどというちっぽけな志は、張り倒せ！というのです。

人間として生まれたからには、「万古の心胸」永遠に残るほどの目標、志を持って生きろといっているのです。
つまりライバルは、現存する人々になど求めないで、歴史上の人物に求めよというのです。

そのぐらいの気構えをもって挑（いど）まないと、大した人間にはならないといわれて、大ショックを受けたのが西郷南洲なのです。
一言がその人間を変えたのですから凄いですね。