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人生を深く生きるための『六中観』 -前篇

 コロナも本格的に明けて、忙しい、いや、忙しすぎる。多忙も極みまできている感があるのだけれども、こんなときこそ、「忙中閑あり」の精神をもって、いろんなことに手を出したい。忙しいことを、言い訳にしてはならないのである。

 今日は、どこかで聞いたことがあるフレーズ『六中観』(りくちゅうかん)について綴っていきたいと思う。六中観とは

一、忙中閑あり(ぼうちゅうかんあり)

二、苦中楽あり(くちゅうらくあり)

三、死中活あり(しちゅうかつあり)

四、壷中天あり(こちゅうてんあり)

五、意中人あり(いちゅうひとあり)

六、腹中書あり(ふくちゅうしょあり)

という六つの物の見方を指す。これらは、昭和天皇の家庭教師にして、終戦の詔の起草者。平成という元号の名付け親。昭和の黒幕。歴代総理の師。儒学者であり陽明学者。細木 数子の夫。と様々な角度から見て面白さ抜群の人物、安岡 正篤が纏めたものである。「まさひろ」と読み下すのが本名だが、我々、東洋哲学を学ぶ徒からは「セイトク」と音読したりもする。

 これら六つの物の見方は、日本では安岡翁によって世に広まった側面が強いため「安岡 正篤が考案した」と考えられがちだが、彼は中国の古典から、それぞれ抜き出して纏めたのであり、実は出典がある。

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