たーにゃ

文章よむのもかくのも好きです。

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最近の記事

無題

 落ちる。黒く、落ちる。  水。濁流がとめどなく地を伝い、流れわたる。  水の音だけが聞こえた。気が付くと、そこにいた。  何もない場所へ。 ***************  気付けば、30になっていた。誕生日を忘れていた。というより、月日がとっくに誕生日を超えていた。365の倍数ごとに迎える24時間のセットに覚える特別性は、いつの間にかうどんにつける茹で卵のようになっていた。なくても、良いのだ。  消えてしまいそうな煙を、飲む。  黒々とした光が、地を照らしていた、

    • 最近考えていたこと

      今日は大学の卒業式でした。卒業式というのは、すごい日ですね。ずっと進み続けるものを強制的に立ち止まらせるような、源流から河口まで文字通り怒涛のような量の水を流し続ける大河に設置された無機質なダムのような。 そんな1日でした。 そんな1日に奇しくも僕も感化され、色々と思うことがあったので少しだけ書きます。好評だったら今度丁寧に書き直すかもしれません。多分ない流れだこれ。 ちなみに今から15分たったら強制的に筆をおいて寝ることとします。全て脳から吐き出された順に書いていくの

      • 透明なメガネ

         木枯らしの吹く夜は、心を音もなくみじん切りにしていく。  どこで間違えたんだろうとか、何が悪かったんだろうとか、そんなことを闇雲に考えることは意味がないと分かっていて、ただそうすることだけが許してもらえるたった一つの方法に思えた。忘れられない過去に。 ******************** 「佐藤くんは絶対コンタクトの方がいいよ」 「ちょ、勝手に取らないで下さい、僕のメガネを」 「ごめんごめん、でも外すとちょっとカッコいいんだなと思って。私の見立て通り」 「そ

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        • 香水と英語とお引越しの話。

           こんばんは。何だか、すっごく久しぶりに文章を書いています。  最近は思ったことをインターネットで発信することはあまりなくて、人に話したり、新しく本を読んたり、上着を表裏反対に着てしまったり、そんな風に過ごしています。皆様はお元気でしょうか? ***************  最近、お家を引っ越しました。荷造りは時間がかかりましたが、究極的には「詰める」か「捨てる」の作業でした。  はじめは "こんまり流 片付けメソッド" を試していたのですが、これはときめかないけど

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          生きているということ。

           20歳こえたら死のうかな、と思っていた。  別に悩んでるとか苦しんでるとかじゃなくて、今日のデザートはコンビニのシュークリームにしようかな、みたいな雰囲気のやつ。  英語にすると、eighteen、nineteen、twenty からの twenty-one で、なんか付け足されてるだけで何も変わってない感。それが少し嫌で、ならいっそtwenty で終わったほうが綺麗じゃん? って、21歳の誕生日で人生終わらせよっかなって思ってた。  20歳の誕生日を迎えた日、あと

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          つらつらと日常と雑記。#01

             なんとなく、ふと思った。noteを普段使いの「note」として使っていないな、なんて。がさっと感情が揺れた日、かさぶたがめくれた日、誰かに伝えたいことがある日、そんな日々にしかnoteを書いてこなかった。  好きな人たちがいる。というと少し曖昧で、少し幻惑的だけれど、もっと正確に記すと、ぼくが好きな文章を書く人たちがいる。  彼ら/彼女らは、何かこうエネルギーの塊をぶつけたり、それを僕みたいに曖昧なシロップで包んではいどうぞ、お好きに味わってください、みたいな作為

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          December

          「なんか、全部が薄っぺらい。軽薄なのよね」  暦が12月になった。町は少しずつクリスマス色に塗られていって、行き交う人はどことなくソワソワしている気がする、December。  そこのイタリアンレストランの玄関にかかっているクリスマスの飾り——あのわっかみたいなやつ、とぼくのどちらが薄っぺらいんだろう、なんて考えながら道を歩く。少しライトアップされた街路樹のポプラが、まあそんなことないよ、って無責任に励ましている気がする。風はない。 「ムカつくやつに勝ちたいから這い

          性癖から始める就活面接

          「あなたの強みと弱みはなんですか?」  面接官は、三軒茶屋の豪邸で風呂上がりの飼い犬を眺めている阿部寛みたいな表情をしていた。ちなみに服は着ている。  ペッパー君になったんじゃない?って錯覚するくらい何度も練習した答え。計算した抑揚とリズムで、さらさらと流す。 「強みは、論理的思考力とリーダーシップです。普段から物事を考えるのが好きで、ニュースを見ては『どうしてこれはこうなんだろう』『本当にこの見方が正しいのか、他にはないのか』ということをよく考えます。飲食店ではバイト

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          21歳になりました。

           こんにちは。21歳になりましたestana.(@mqi35)です。  とはいえ、実はもう21歳歴1ヶ月くらいあります。案外忙しくて、ちょっとずつnoteを書きつつ、11月も半ばになってしまいました。  まずは、周りのみなさんに感謝を。20歳の1年間、色々な方にお世話になりました。顔を思い浮かべても、やっぱり尽きないほど色々な方の顔が出てきます。本当にありがとうございます。  こんな僕ですが、これからも愛想つかさず(?)、よろしくお願いします。  ちなみに、20歳にな

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          鍋にバナナと切なさ。

           切なさ。切なさのシロップを少し絞る。古い大きな木のうろ、みたいにぽっかり空いた心の隙間に、シロップを差す。カブトムシがわさわさ寄ってくる所を思い浮かべながら。ほんとはカブトムシに用はない。こちらに吸い寄せられたヤツほど、私は興味を失う。光源氏がモテたのはクズだったから。それもほどほどにクズだったから。  バナナ?バナナがどうって、だから?まざりもののバナナが嫌い。っていうと「はっ」って笑うけど君はさ、チョコバナナほんとにすきなの?チョコは好き。バナナも好き。でもチョコバナ

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          就活を今から始める人が読むnote

           こんにちは、都内のしがない文系B3大学生、たーにゃです。  またまた物騒(?)なnoteをエントリーしてしまいましたが、この記事は、 ・理系のB3で全然就活なんか考えてなかったけど、興味が出てきた人 ・文系のB3で就活しなきゃ!と思っているだけで半年経ち、気が付いたら自分だけ取り残されてる気分で不安に思っている人 ・意識の高いB2以下(こんなん読まなくていいよ) 向けに書かれています。  本当に何も分からない人が最初に読むような内容を書こうと思っていますが、

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          それでも僕はドトールに行かなきゃいけない

           いつのまにか渋谷のウェイをシモキタの古着が席巻する季節になった秋、半袖半パンのぼくはドトールに向かわなきゃいけなかった。冷たい雨が静かに降りつづき、モノトーンの世界に9月の風が吹き荒れる中、ぼくは黄色と黒と白の温もりにあふれた看板を目指して歩いていた。  ぼくは物心ついたときからドトールが好きだった。ドトールはぼくのことが好きだったかもしれないし、好きじゃなかったかもしれない。でも「好き」という感情はいつだって一方通行で、いつだって自己満足だ。生まれてからすぐ7歩歩いて「

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          就活が落ち着いて色々思ったこと

           今日も誰かが泣いているんだろうな、と思う。  こういう話題は、あんまりしたくない。書くべきではないのかもしれない。それでもこんなnoteを書いてしまうのは、きっとどこかのぼくが、満たされていないんだと思う。  情報の渦に振り回され、もやもやがあふれてきて、とめどない不透明な霧が言葉となってキーボード越しに打ち込まれていく。この文字列が正しいか正しくないかなんて関係なくて、もし誰かの胸にすっと溶けたら、それだけで少し嬉しい。  非就活生も多いと思うので、ちょっと解説。

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          Bitten Apple(2)

           気だるい朝焼けだった。熟れた林檎のように紅い朝日は少しずつ、でも確かに上昇していく。  海に面したコンビニの壁は少し色褪せて、潮騒にまぎれながら店内のBGMが微かに聞こえる。  潮の香りが鼻をくすぐり、涼やかな風が吹いてきた方向を見る。海岸近くを海面すれすれに飛んでいたカモメが、急に上昇しているところだった。何のしがらみもなく風に乗り、一直線に天へと向かっていく。  昔、ともに多くの時間を過ごした男の顔を思い出す。どこか飄々としていて、仲間想いで、情熱があって――自分

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          Bitten Apple(1)

           燃えるように赤い夕焼けだった。紅い光は大地をまぶしいほどに染め上げ、晩夏とは思えない生命力があちこちで噴き出していた。  そういう日。そういう日がある。光がまぶしい。恐ろしいほどに光がまぶしくて、もう訳わかんなくなるような日がある。  そんな日が僕らの始まりだった。そんな日が最強の僕らの始まりで、  そんな日が僕らの終わりだった。 *************** 「最近の奴はさぁ、曲を最初の10~15秒で判断するんだよ。ばかじゃねえのって話?最後まで読まねえと伏線

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          檸檬堂が似合う大人になりたかった

          「なんでもいいから、ぜんぶ俺に投資しろよ」  東京は雨が降っていた。昨晩から降り出した雨雲はあっという間に都心を覆い尽くし、超高層ビル群は洗車後のサイドミラーみたいに水滴をキラキラと身にまとっていた。  路上に落ちていた缶を蹴っ飛ばす。砂利のついた缶チューハイは甲高い音で跳ね転がり、中にたまっていた泥水が吹き上げて革靴に小さな染みをつくる。  小さなため息は、誰にも聞かれることなく雨音に吸い込まれていく。 「スト缶に溺れていいのは、弱えやつだけなんだよ」 ***

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