愛のままを

カネコアヤノのことが好きな理由を一言で表せば、本当のことしか言わないからだ

彼女はいつも当たり前のことを大きな声でまっすぐにぶつけてくれる

途方もない愛情と同時に一種の暴力性をはらんでいて、私はいつもそれに包まれたり殴られたりしている

当たり前のことを飾らない言葉で伝えるのは実はとてつもなく難しいことだし、それが難しいことだとわかっている人も少ないから本当に難しい

何かを伝えようとするとき必要以上に言葉が複雑になってしまったり、かっこつけたい気持ちがはたらいて本質から遠ざかってしまうことはよくある

でもカネコアヤノは絶対にそんなダサいことはしない

おいしいものを食べな

できる限り遊びな　恋をしな

それだけだ

ちょっとかっこよすぎると思う

ロックの定義なんて私には分からないけど、カネコアヤノの言葉、声、表情、そこから感じる生き様は紛れもなくロックであまりにも尊くて

何が正しいか分からなくなったときにはカネコアヤノがいつも光る道筋を示してくれるような気がする

今まで生きてきて明日からも生きていく

それだけで正しいよ　みんな正しいよ

彼女は胸の奥の燃える想いをできるだけわかりやすく返してくれた

他の誰でもないカネコアヤノの口から発された「正しい」は私の胸に突き刺さって、染み入って、お守りみたいな言葉になった

おいしいごはんを食べてゆっくりお風呂に浸かってあったかい布団で寝てね

これ以上わかりやすい愛を私は知らないし、大切な人にそれだけ伝えられたら申し分ない人生だと思う

喜びも怒りも悲しみもたくさん抱えている彼女だからこそ意味を与えられる言葉たち、その輝きに満ちた空間は本当に美しかった

何度も噛みしめるように繰り返した

「ありがとう」

こぼれおちるような

「幸せ」

最高純度の

「大好き」

ひとつも聞き逃さなかった、聞き逃したくなかった

うまくしゃべれなくて変な笑い方をするカネコアヤノ、楽しそうに夢の話を教えてくれるカネコアヤノ、全部ぜんぶ愛しくてたまらなかった

明日からはちゃんと生きていきたいな

なにもなくてもただそこにある生活がどれだけ大事なものか、カネコアヤノが教えてくれたから