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スパイシーメンマを作る

 花椒の香りがふわりと漂い、深く息を吸った。いい香り。やっぱりこれだわ。鍋から筍をひとかけら、さえばしでつまみ、口へ運ぶ。まだ物足りない味……。塩と醤油を足して、軽く煮て、もうひとかけら、試してみる。「うん、これでよし」。

 我が家の隣には御年90歳のおばあちゃん大家さんが住んでいる。地主さんなので近くでちょっとした作物が育っている?育てている?ようで、過去に2回ほど筍をもらった。採ったばかりの皮付きのものを結構な量、もらったので、下ごしらえだけで大仕事だった。でもやはり採れたての筍は美味だった。図々しくも今年ももらえるかしら? と夫婦そろって淡い期待をしていたのだけど、先日会った時に伺ったら「今年は生えてないのよ〜」とのこと。

で、夫が皮付きの筍を買ってきた。

 「あれ作ってよ、あれ」

 あれとは何かというと、メンマだ。最初の年にびっくりするほど大量の筍をもらったので、保存が効きそうなメンマを作ったのだが、夫はこれが気に入ったらしく次の年も作った。

 ただ、大したレシピではない。細かく切った筍をごま油で炒めて中華スープとか醤油とか塩とかラー油なんかで煮ただけだった気がする。大したレシピではないから、あんまり細かくは覚えていないのだった。

 そんな感じなので、前と同じように作れるかな? と不安を抱えながら、ネットで検索して一応メンマのレシピをざっとチェックした(メンマは基本発酵させているらしいので厳密な基準ではメンマというのかという疑問はあるが)。やはり、だいたい前述したような味付けである。

 レシピを参考にしつつ……、私は少しアレンジ。レシピは醤油を使うものが多いが、塩を入れたほうが味がしまるので塩をメインに味付け。ちなみに、食感を楽しみたいので、少し厚めの6ミリくらいにして、あえてバラバラの形に切る。あとはラー油を入れるのがマイオリジナルレシピである。

 筍をごま油で炒める。酒と中華スープ、塩、醤油、味醂少しで味付けして、ラー油を入れて煮た。そして味見してみたが、うーん、なんか違う。少し甘い。味醂は入れないほうがよかったかな? 塩、醤油、ラー油を足すも、ぼんやりしている。やっぱりラー油が違うのもありそう。いつも花椒入りで四川風のかなり辛めのラー油を使っていた。今あるのは普通のラー油なので、ぜんぜん味の印象が違うのだった。いくら足しても辛くないしものたりなかったので、花椒のホールを潰して投入。塩と醤油をもう一振りずつして、やっと納得のいく味に収まったのだった。ビールが飲みたくなるマイ一推しメンマレシピである。

 3回作ったから、きっともう忘れない。というか、ここに書いたので、忘れたらこの記録を見直そう。

 旬の食材を楽しめるの幸せ。日本で育まれた恵みのありがたさを実感するね。

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