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英語圏博士課程と非英語圏博士課程ではキャリアが結構違ってくる ①

はじめに

初めまして。某仏グランゼコールにてコンピューターサイエンスの博士学生をしていますたぬきちです。だも。

前回の記事ではパリ1年目を振り返る記事を書きました。初々しいところ全開の記事になっておりやや恥ずかしいですが、たくさんの人に見てもらったようでよかったです。

さて、今回は前回よりもう少し真面目に、非英語圏博士課程後のキャリアの話をしてみようかと思います。この記事を書こうと思った理由は、自分自身、前回の記事の2年目の抱負があまりにぼやけていて、もうそろそろ方向性を決定しないとなと思ったからです笑

それで将来を考えていたら、改めてやはり英語圏博士課程と非英語圏博士課程はキャリアへの影響が全然違うよなというある意味当たり前の事実について再度考えたので、そこら辺を軸にしながらこの記事を書こうと思いました。

テーマ:研究と現地語学習のバランス

英語圏博士課程と非英語圏博士課程の違いは、もちろん色々ありますが、ここでは、研究に加えて英語以外の現地語の学習がタスクに加わってくるというところに注目したいと思います。

非英語圏でもラボでは英語で研究ができると言う場合は結構多いと思うのですが(僕もそう)、とはいえ、将来のことなども複合的に考えると、一度は現地語を学習したくなるのが普通かなと思います。例えば、卒業後に現地で活躍したい場合(特にアカデミアの場合)、B2~C1レベルまでを理想的には卒業までにたどり着きたいとなります。

実際、大学によっては、現地語の学習を単位としてカウントしてくれるなど、現地語学習は推奨されています。自分にとっては正直、言語学習が好きなので、非英語圏のフランスを選んで良かったと思うことは多々あります。しかしながら、博士課程の期間は短いです。フランスの博士課程は日本と同じく3〜4年です。研究業績言語習得のどちらか一方だけならまだしも、トップレベルの研究業績も出したいと考えると、それこそ博士取得に5年以上かかる国の博士課程学生らと比較した上でということになるので、3〜4年の間にこれら2つを完全に達成することはそもそも論として、定義レベルで不可能に近いわけです。

これら2つのタスクのバランスをどう取るかについては、もちろん将来何をしたいかによって自身で決めることになります。アカデミア就職を目標に考えるのなら、まずは研究を優先しなければ話になりません。しかし同時に、その国のアカデミアポジションに残るには最終的には現地語が必要になってきます。ただ、インダストリーを目標にする場合においても、言語だけを頑張ればいいというような簡単な話でもないです。例えば、仏インダストリーと言っても国際的な企業では仏語は要らなかったりします。自分の将来やりたいことにやっぱりフランス語が必要だなと言うことになると、なるだけ早めにフランス語に時間を割いた方が良いわけですが、博士課程の期間が長くなってしまうのも避けたいですし、ましてやお給料をもらっているのは研究なわけですから、それを厳かにするにもできない。これが一般的な思考かなと思います。

中々バランス取りが難しいと思いますし、キャリアによっては結構大きな決断をしないといけないことに改めて気づきます。

例:周りの留学生

この言語習得の問題について、もう少し具体的に、自分の周りのEU圏外からの留学生の例を通じて彼らはどうバランスを取っているのか考えます。なお、これはフランスの中では結構国際的な大学の例です。また、ポスドクは除外し博士課程学生(OB含め)を考えます。あと、人数は若干誤差あるかもしれません。
3つのグループに分けてみました。

  1. 結構フランス語が喋れる段階で博士課程に入学:

    1. ラテン系母語(3人)で仏現地就職や母国アカデミア就職希望。

    2. 入学前に語学留学したアジア出身(2人)で仏現地就職希望。

    3. 北アフリカ出身でセミネイティブ(7人)で仏現地就職希望。

  2. フランス語学習にほとんど興味なし:

    1. 中国出身(3人)で英語圏アカデミア志望。仏語は日常最低限。

  3. フランス語学習に興味があるがなかなか時間がない:

    1. 中東・アジア出身(1人)で仏現地就職希望。

改めてこう書いてみると、やはりもともとフランス語を喋れるからフランスを選んだという留学生の割合が高く、逆にアジア出身の留学生などは語学は傍におかざるをえない状況ということに改めて気づきます。

結局キャリアに関しては、一般化して何かを言うことは難しい気もしますが、アジア出身の場合、卒業後すぐにインダストリーにいくことはかなりレアで、普通はポスドクを挟むことが多いということも見えてきました。

では、たぬきちはどうするのか

ここからは、たぬきちが自分にとってベストな今年の研究・言語学習バランスを考えます。

そのためには、まずは将来をある程度暫定的に決める必要があるので、そこについて少し書きます。将来を考える上で、大きな判断軸となるのは二点:「帰国するか海外にいるか」、そして、「アカデミアかインダストリーか」でしょうか。

以下では前者の「帰国するか海外にいるか」について、それぞれの自分なりのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。

(おそらく)No.2に続く

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