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レースの楽しさと怖さを同時に体験『Bemer Cyclassics Hamburg 2023』

みなさんこんにちは。
休みの日はなるべく動かず布団の上でゴロゴロしているのが好きなKです。
今回はドイツ北部の経済の中心地としても有名なハンブルクにて普段からお世話になっているKEIMASA CYCLEと平坦オンパレードのレースに参加した話を書きます。
今回もいつものように長文ですが良ければお付き合いください。

ハンブルクってこんな場所


前回のお話

今回のレース

今回参加したイベントはUCIワールドツアーにも組み込まれており、1996年から開催と比較的新しいレースでもある『Bemer Cyclassics Hamburg(ベーマー・サイクラシックス・ハンブルク)』です。

ハンブルクで検索すると必ず目にする場所
港があることで公益の街として栄えベルリンに次ぐドイツ第2の大都市の地位を確立している

コースの説明

100km部門と60km部門の2つのカテゴリーが用意されている
80km地点までほぼ平坦
そこから数kmだけ一気に80m上る道が現れる

参加者は10000人以上。
事前登録の際の巡航可能速度や参加回数によってA〜Jまでのグループに振り分けられます。
フランクフルトのイベントでも8000人でDグループまででしたがJまでグループがあるイベントは初めてです。
ほぼ全てのグループに1000人以上が密集して走ることになります。

後半に一瞬だけ上りますが獲得標高が300m以下と、ほぼ坂道がないと言っても過言ではないコース設定です。

平坦レースは1度集団に潜り込んでしまえ楽して高速巡行する事ができます。
しかし人が密集するのでちょっとした事で集団落車の危険性があるので参加する際には注意が必要です(こればっかしは運なので注意しようがありませんが)

ハンブルクまでの道のり

私達が住んでいる西ドイツからは約400km程北上します。
毎度の様にKEIMASAの車で現地入りしました。
ほぼ高速道路での移動ですが、道中でカーナビが「この先341km道なりです」なんて聞いたことのない距離を走り続けるように指示してきた時には思わず「は?」って聞き返してしまいました。

約4時間程でハンブルクに到着、そして宿泊先へチェックインをする前にゼッケンをピックアップをしてきました。

大きなイベントなのに重大な欠点

基本的にはどのイベント会場も街の場末に設置されており、ゴールゲートもその近くに設定されています。
しかしハンブルクは何を思ったのか人通りが超多い街のど真ん中にゴールゲートを設定していたためゼッケンピックアップ会場も同じ場所に置いてしまったのです。
あまりの頭の悪さに『運営の管理者、酒でも飲みながら考えたんかね?』って思ってしまうくらい効率が悪かったです。
今までのイベントでは自転車に乗って回収に来る人達を多々見かけましたが、このイベントに関しては自転車で来たら入れないし帰れないなんてとんでもないことになります。

静かな場所に見えるが街のど真ん中

ハンブルク在住の方と待ち合わせ

今回のレース参加にあたってもう1人の参加者の方と会うことになっていました。

ハンブルク在住のだいさんです。
何年か前にデュッセルドルフに住んでいたそうです。

Ridley Noah SL
実際のレースでは使用はされていないがLotto Soudal(当時名)のスペアフレームを幸運にも恵まれて入手
ホイールはディスクブレーキを凌ぐ程の制動力があるマヴィックのコスミックプロカーボンエグザリット

昨年のケルンでのレースにも参加していたそうで、KEIMASAとは面識がありましたが私は今回が初対面です。

観光も兼ねて軽くひとっ走り

初めてのハンブルクなので前もってだいさんにお願いしてハンブルクを観光しつつ明日の下見を兼ねたライドを計画してもらっていました。

観光と下見を兼ねてレースのコースと同じルートを少しだけ走った

初めてのハンブルク走行ですが、だいさんから『車の対応の悪さ』について説明を受けました。
聞けば聞くほど西とはかなり勝手が違うそうで、走る前から2人で困惑していました。
実際走って見たところそこまで危険は感じられませ…路駐している車の運転手が一切後ろを確認する事なく車のドアを思いっきり開けます。
3回ほど遭遇しましたが3回とも全く確認せずに開けていました。
あれに当たったら車の運転手はおそらく『ドアが開くのを察知しなかったお前が悪い』って言うんでしょうね…
路駐の車にビクビクしつつ街中を抜けイベントと同じルートへ。

ここでもあることに気が付きます。

だいさんのペダルを回す速度がありえないくらい早いです。

私の場合、1分間のペダル回転数(ケイデンス)は平均80回転で多くて120回転程です。
だいさんはほぼ常時120回転だそうです。
後ろから見るとタップダンスでもしているのかと思うくらい凄い勢いで脚が回っていました。
先日KEIMASAの動画でちょろっと遭遇した『低ケイデンスニキ』ではなく『高ケイデンスニキ』と会える日が来るとは思いもしませんでした。

⇧37:10に低ケイデンスニキが写っています⇧

ちょろっとコースを下見した後、だいさんの提案でプロが当日に3周走る事になっているヴァーゼベルグ峠を見学してきました(写真撮るの忘れました)
『どんなもんかな?』なんて軽い気持ちで見に行きましたが最大勾配約20%の坂が待ち構えるとんでもない坂道でした。
当初は見るだけのつもりでしたがせっかく来たので上りました。
上って後悔しました。
きつかったです。

プロ部門でも勝負所としての場所らしく、その様な場所は大抵の場合アマチュア部門でも走ります。
しかし道があまり広くないのと森の中での走行のため暗いこと、そしてあまりにも斜度がキツ過ぎるため初心者が上る事ができないという事でアマチュア部門のコースには設定されていないそうです。
助かりました。

夜はだいさんの知り合いの方も交えて食事会をしたりと楽しい時間を過ごしました。

イベント当日

レースの開始時刻は8時半のため6時半起床。
準備をパパッと済まして会場入りしました。
30分ほど待ってスタートです。
事前登録の際に『チーム出走』という項目があり、これを設定すると同じチームの人と一緒に出走する事ができます。
と言うことで今回は久々にKEIMASAと一緒に出走する事ができました。

時速40km以上の楽しいサイクリングの始まり

レース開始

レースの内容ですが、ほぼ平坦区間なのでほとんど景色を覚えていません。
「じゃあなんでブログなんて書いたんだよ」って言われてしまっては元も子もありませんが覚えていないものは仕方がないのです。
と言うのも前述しましたが各グループ1000人以上の大所帯での走行のため常に前の走者の後輪を見ていないと落車してしまうからです。

レース開始序盤はKEIMASAの前を走っていましたが気づけばいつもの様に後ろを走っていました。
集団が2列になった際には真横で走っていました。

今回のレースで気をつけたこと

レース中、曲がる時や道路上にある障害物、遅い参加者がいた場合はほぼ全ての参加者が手信号をして後ろに合図をします。
ですが基本的に参加者同士での声掛けはあまりしません。
日本はどうでしょう?

私は集団が密集するレースに限ってはうるさいくらい声かけをします。
間違えて車輪がかすりでもしたら集団大落車ですかね。

普段KEIMASAと練習する時は主に彼の後ろに付く際にどちら側にいるのかの声かけをします(かなり近くに張り付くため真後ろか、右か左後ろなのかを知らせる)
それと他の走者が後ろからやってきた場合の伝達もします(他の走者がKEIMASAに近づいた際に接近を知らない本人との接触を避けるため)←ドイツでは抜かす際の声かけをしない人が多数。

レースの場合は同じく外側から参加者が近づいてきた時や単体や複数で先頭グループに追いついたものの集団に戻りたいと思っている参加者にもかなりの頻度で声をかけていました。

彼らは後ろを見ないですからね。

中には無理やり入ってきて後ろの集団に無理やり減速させたりする害悪な人もいます。
入りたい素振りを見せたら「ちょっと待って」と声をかけて一旦待ってもらい、少しづつ減速してスペースを作り「今入って良いよ!」と伝えて集団内に入れるというのを徹底していました。

これ、結構感謝されます。

前も後ろも人、人、人の大集団

やっぱりレースは危険がいっぱい

今回のレースもなかなか大変でした。
開始して7kmしないうちに落車に巻き込まれたであろう前のグループの参加者が倒れていました。
平坦レースはこれがあるから怖いです。
しかしもっと怖かったのはその倒れた参加者を守るためなのか、救急車両を斜めに停車していたために道路いっぱいで走っていた大集団が無理やり減速、あわや二次災害が起こるところでした。

レース中のあれこれ

同じグループでも走力の差はあります。
私達がいたグループはあっという間に他のグループにおいて行かれてしまいました。

そうなるとやる気が出ない集団はのんびり走り始めます。
大勢人がいるにも関わらず巡航速度が遅いと感じたKEIMASAが積極的に先頭グループへ合流するために外側から速度を上げて追い抜いていきます。
私はいつものように後ろに引っ付いていきます。
そうする事で同じように巡航速度をあげたい他の参加者が一緒に先頭まで付いてくることにより集団の走行速度がどんどん上がっていきます。
これが集団の活性化ですね。

こうすると徐々に前のグループの背中が見えてきて数分後には吸収するんですよ。
プロのレースみたいですね。

基本的には参加者は先頭を引きたくありません(疲れますからね)
けど中には率先として先頭を引っ張ってくれる人が現れます。
おそらく30km地点でしょうか。
1人のローディーがかなり長い時間をかけて先頭を引っ張ってくれました。
大集団の先頭走行はレースでしか体験できませんからね、KEIMASAも何度か先頭を引っ張っていました。
私はあんまり先頭を交代する必要がない場所で意味なく先頭を走りました。

顔を上げたタイミングで偶然カメラマンと目が合った

しばらくすると先頭から1人が飛び出してあっという間に見えなくなってしまいました。
そこから数km、先頭を走り続けてくれたお兄さんが疲れてきたのでKEIMASAと2人で協力して先程飛び出した人まで集団を引っ張りました。
この時の集団はおそらく300人以上はいたでしょう。
しばらく走ると後方から元気な参加者がどんどん前に出てきます。
しかし集団が多すぎるので集団内の走行は危険と判断してこちらも積極的に前に出続けました。

どの場所だったかは忘れてしまいましたが、道路脇に設置されている速度超過取り締まりのカメラが何度もピカピカ光っていました。
どうやら集団の走行速度が法定速度を超えていたらしく片っ端からカメラにバシャバシャ撮られていたそうです。
この場合、撮影された方達の罰金はどうなるのでしょう?

おそらく50km地点でしょうか(場所は曖昧)
日本でいうバイパス区間を走行しました。
その際はパッと見て1000人以上の大集団で走行していました。
この時は『頼むから誰も倒れないでよ』と祈りながら走っていました。

バイパス区間が終わった直後に突然集団が大きく減速します。
直感で『あっ、これ落車だな』と思いすぐに集団から離れて歩道と車道の間にある芝生へ逃げ込みました(プロのレースでも良く見かける光景)
案の定何人かが倒れたようで後続の参加者も巻き込まれていました。
もう数m前を走っていたら巻き込まれていたでしょう。
やっぱり落車は運ゲーです。

順調に走行…まさかのハプニング

集団落車により集団が分裂。
そこからなんとか持ち直した私達は80km地点にある唯一の上り坂区間まであと14kmの所まで来ていました。
並木道の順調に走行していた時です。

KEIMASA「あっ!?」

突然KEIMASAの自転車から黒い物体が落ちました。

なんとGoProとサイコンが取り付けられていたマウントが根本から折れて地面に落下したのです。

K「やべぇ!後ろ(参加者)に当たる!」

慌てて右手をあげて後続に停車の合図を出します。
幸いにも車線の左側を走行していたのと、後ろにはおじさん1人しかいなかったので他の参加者の迷惑にならずに停車する事ができました。

KEIMASA「ごめん!」
K「急いで取りにいかなきゃ!」

他の参加者達が通り過ぎるのを待って急いで落下した物を回収しに行きました。
おそらく他の参加者にも当たっていたのでしょう。
落下したマウントは車線の反対側まで吹っ飛んでいました。

拾い上げてみたらGoProとサイコンのレンズが割れていました。

KEIMASA「大丈夫?」
K「ちょっと流石にこれはまずいね」
KEIMASA「うわっ、まじか…」

サイコンは画面が見えなくなっているのでこれ以上のデータの記録は不可能になってしまいました。

K「けどお前さんが無事で良かったよ。後少しだから頑張ろう」

KEIMASAが落下した物を背中にしまったのを確認して再び走り始めました。

唯一の坂道

集団からおいて行かれてしまったので2人でのんびり走り(時速40km巡航)今回のイベントの唯一の上り区間に入りました。

プロのレースでもこの区間は勝負所の1つとして設定されているので家族連れの観客が多々見受けられました。

前日に下見をしたこのイベント唯一の上り区間
応援してくれる人が多くて足取りも軽かった

前日に走ったコースを走りましたがやっぱり1度走っているか走っていないかで身体にかかる負担は全く違いますね。
精神的にも余裕があったので応援してくれる人達に手を振りながら走っていました。
しかしやっぱり坂道はキツいもんはキツいです。
ひーひー言いながら上っていたらKEIMASAから「Kさんうるさいよ(笑)」って言われてしまいました。

残り数km、ゴールまで一直線

あっという間に坂道も抜け残りは12km程です。

坂道を抜けたところで程良い速度で走行している集団を見つけたのでお世話になることにしました。

この集団は高齢の方が多かったため何度か先頭を引いた
後ろのクッキーモンスタージャージを着ている人に目が行く

KEIMASA「Kさん、あと何km?」
K「あと10km」

先程のマウント落下の際にKEIMASAのサイコンが再起不能になってしまったので残りの距離が分からないKEIMASAが先頭を引く際には後ろから距離を伝え続けていました。

KEIMASA「もう集中切れたわ。疲れた」
K「そりゃ、あんな事あったら集中切れるわな。あと少しだよ」

そんな会話をしながらあっという間にゴールがある街中へ入って行きました。

街中へ入るとゴールはすぐそこ

ケルンのイベント以上に盛り上がったゴール前

残り数km地点、ようやく街中へ入ります。

K「一緒に並びながらゴールしたい」
KEIMASA「じゃあ他の人達には先に行ってもらわないと」

ということでのんびり走りながゴールを目指すことにしました。

ゴール前の人の多さはケルンでのイベントの比ではなかった

ゴール前は物凄い人の数です。
みんな凄い勢いでスポンサープレートをバンバン叩いています。
せっかくなので『もっと盛り上げてや』と観客に手を煽りながら走りました。

今まで経験したどのイベントよりも盛り上がったゴール前に興奮しつつ気づけばゴールゲートは目前でした。

K『今回も大変だったけど無事にゴールできそうで本当に良かった』

2人でゴールしたつもりが横にもう1人いた事に全く気づかなかった(笑)

100km、2:32:23で無事に完走することができました。

40mは折れたサイコンマウントを回収する際に戻った分

走り終わった後はいつものようにメダルをかけてもらいます。
このかけてもらう瞬間、最高なんですよ。
メダルをもらった後は先に出走していただいさんと合流しました。
そしていつものようにイベント運営が用意してくれたノンアルビールで乾杯した後はわずかな時間ではありましたがレースの話をして盛り上がりました。

本当はもう少し話していたかったんですけどね。
私達は帰らないといけないのでちょっとだけお話をして宿泊先へ戻りパパッと準備をして帰路につきました。


帰り道でのこと

後ろ髪をひかれつつもハンブルクの街を後にします。
その際に車の後ろに積み込んである自転車からピロピロ音が聞こえていました。
最初は私のサイコンが鳴っているのかと思い休憩時にしっかりと電源を切りました。
しかし次に停車した際にまたピロっと音が鳴りました。

K「これ、お前さんのサイコンからじゃない?」
KEIMASA「えっ、俺の?」
K「だってうちのはさっき電源切ったもん」
KEIMASA「もしかして画面割れたけど生きてんのかな」
K「画面見えないから止められないじゃん」
KEIMASA「電池切れるまで待つのかー」

後日、本人から走行記録が送られてきましたが500kmを7時間で走行したというぶっ飛んだデータが送られてきました。


終わりに

イベント時には毎回大変な目に遭いますが無事に『完走できたこと』ができて今回も本当に安心しました。
昨年参加したミュンスターでのレースよりは獲得標高はありますがほぼ平坦ステージなので脚に自信がある人はぜひ参加してみることをお勧めします。
来年も参加したいとは思いますがやはり遠いのでその時期が近づいたら考えるとします。

次回は何を書こうか、まだ決まっていませんがこれを投稿する頃には数年ぶりのミュンヘンを満喫していると思うのでその話を書くとしましょう。

ではでは🤙

最初から最後までずっと一緒に走ることができたのは3年前の初レースの時以来
とても嬉しかった

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夏の思い出

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