北フランスにある170kmの地獄を全力で駆け抜けた話(前編)
みなさんこんにちは。
普段からKEIMASA CYCLEをご覧いただき誠にありがとうございます。
ようやくロードシーズンが本格的に始まり『そろそろ本気出す』と思いながらまだ丸いKです。
今回は北フランスで行われたParisRoubaix Challenge(パリルーベチャレンジ)の話を書きます。
前回のロンドファンフラーンデレンの話より長くなるので今回は3部構成です。
お時間があれば最後までお付き合いください。
私とKEIMASAは昨年、70kmに参加しました。
初めての石畳という事で大変な思いをしましたが、その際にお世話になった方から「今回は晴れたから、これは地獄の入り口くらいだよ」と言われました。
『じゃあ本当の地獄を走るしかねぇな』と走り終えたその日に172kmの参加を決意しました。
KEIMASAはかなり大変な目に遭ったので「俺はもうお腹いっぱい!」と参加を見送りました。
昨年度に参加した際の話はこちらをご覧ください。
動画にて大まかに知りたい方はこちらをご覧ください。
今回の参加者
KEIMASAが不参加と言うことで今回は1人で参加するつもりでした。
しかし先日大学を卒業したばかりの小野くんがワーキングホリデーにてドイツに来る事が決まったので日程を伝えた上でこのイベントに強制的に参加してもらう事にしました。
『小野くん誰?』と思う方には下の記事をご覧ください。
移動
4月5日の夜にドイツに到着した小野くんには一息つく間もなく私の家に来てもらいました。
自転車の整備、次の日の準備、コースの相談やらをして6日の朝にフランスへ出発しました。
私の住んでいる街からアーヘンまで、そしてベルギー経由でフランス第5の都市であるリールへ向かいます。
ヨーロッパの鉄道は基本的に自転車をそのまま電車に乗車する事ができます。
しかし私達はベルギーの電車事情を知らなかったと言うのと移動費節約(自転車は追加料金がかかる)のために今回は輪行することにしました。
駅で袋に詰めますが6年ぶりの輪行なのでやり方を完全に忘れていました。
ベルギーのブリュッセルまでは車内にスペースがあり順調でしたがそこからフランスへ行く電車内が狭すぎて大変でした。
移動時間は約5時間程、無事にフランスへ到着することができました。
イベント前日
イベント前日の7日にはゴール地点であり受付会場でもあるルーベにて事前登録をしました。
(早く来すぎて1回出直した)
登録会場ではゼッケン、トップチューブに貼る事ができる石畳のコース表、写真オプションの際に識別として必要となるチップが入ったナンバーをもらう事ができます。
それとオプションとしてイベントジャージや記念トロフィーをもらうこともできます。
昨年度は購入する事はありませんでしたが今年は最長距離を走るという事で記念トロフィーを購入しました。
夜は小野くんとコースについて話し合いました。
改めて見るとコース表が超長いです。
私の自転車のトップチューブはひし形なのでこの表を貼る事ができませんでした。
イベント当日
朝は4時半起き、5時半に家を出発してスタート地点であるビュジニーという小さな村へ向かいます。
普段は静かであろう通りですがいつの間にか自転車を積んだ車だらけになります。
道が封鎖されていたりと何度か迂回する事になりましたが無事にスタート地点近くへ辿り着くことができました。
参加登録のオプションでルーベから会場までのバスサービスがあります(有料)
私と小野くんは早速スタート地点へ向かいます。
荷物預かりサービスからスタート地点
172kmの参加者はスタート地点付近で荷物の無料預かり所を利用することができます。
天候によっては着替えが必要になるので参加希望の方は上着から靴まで全ての着替えが入った荷物を必ず持って来てください。
近場にトイレがありますが紙が切れたら使用ができなくなるので不安の方はトイレットペーパーを持参か早めに現地入りしてください。
あっという間にスタート地点です。
ドイツのレースとは違い『決められた時間までにスタートしてくれればいつ出発しても良い』方式です。
小野くんと互いの無事を祈って早速出発しました。
今回の準備
当日は雨は降りませんでしたが最低気温が5℃という事もあり上着はインナーと秋用の長袖ジャージ、そしてその上に半袖ジャージを着ました。
下はGore Wearの冬用レーパンです。
足先が冷えると走行に支障が出るので日本から買ってきた足先用ホッカイロも準備しました。
念の為にモンベルの指先カバーも装着しました。
手袋はワークマンプラスと夏用の指開き手袋を重ねて装着しました。
ワークマンプラスの手袋がかなり有能なので本来であれば重ね着をする必要はありませんが、石畳で激しく手が擦れるのでその防止策として重ね着をします。
強者は素手で走ります。
そして今回のパートナーは昨年参加した際にも連れてきたORBEA Avant OMPです。
タイヤは25c
空気圧は前後共に7Barです(後に後悔します)
いざ北の地獄へ
昨年度の参加時に石畳では思った以上に体力を使うと言うのを知っていたので通常区間ではなるべく時速30km以下で走行するのを心がけました。
道が綺麗で走りやすく速度を出したくなりますが後半必ずバテるのはわかっていたので追い風区間になるまではその速度で走り続ける事を意識しました。
バンバン他の参加者に抜かれますが気にしません。
フランスのイベントはドイツレースと違いファンライドなので交通ルールを遵守する必要があります。
信号無視をすると警察に怒られます。
しかし今回は憲兵隊の方々が道を封鎖してくれたおかげでその問題を考える事なく走ることができました。
場所によっては誰もいないのでそこは注意です。
ファンライドなので一般車両が当たり前の様に走っています。
並走する際には注意してください。
11km地点で早速最初の石畳(★3)であるセクター29が現れます。
前の週にベルギーにて中々の石畳を体験しましたがやはりこちらは衝撃の度合いが違います。
久々の感覚だったので手に力を込めて一気に走る事にしました。
しかし困った事が起こります。
初っ端から石畳区間が長すぎます。
全体で合計約50kmの石畳区間ですがそれにしても長いです。
「おい、初めからこれは長すぎんだろ!」
いきなり3kmもありました(平均1.7km)
更に調整の問題からか、フロントディレーラーが勝手にアウターからインナーに切り替わります。
この後、何度もインナーに切り替わるのでほぼ最後まで石畳区間に入るたびにインナーで走る羽目になりました。
初めて本格的な石畳を体験する小野くんでしたが無事に走る事ができたので『なんとかなるな』と確信しました。KEIMASAは最初の石畳からヒーヒー言っていましたからね。
いきなり見舞われるパンク
18km地点、すぐに2つ目のセクター28(★3)が現れます。
中央が盛り上がっており横は何日か前の雨の影響でぬかるんでいます。
横に逃げようものなら溝に車輪が取られて転倒する危険性があるので緊張感が一気に増します。
しかし運が悪い事に前の走者があまりにも遅すぎて接触しそうになってしまったために回避をしたところ、横の溝にハマってしまいました。
バスンッ!
前輪から勢い良く音がします。
なんと横に逃げた際の段差で前輪がパンクしてしまいました。
「あぁー!いきなりかよ!!」
私は大声をあげながら直ぐに自転車から降りて修復作業に入ります。
しかし石畳の振動に耐える為に全力でハンドルを握っていた事が災いしてか指に全く力が入りません。
タイヤレバーを手に取るも握れずに落ちてしまいます。
なんとかタイヤを外しチューブを抜き取るも場所が悪かったせいか作業にかなり手こずってしまいました。
ようやく空気を入れる作業まできましたがこちらも力が入りません。
その作業中に一足先に石畳を抜けた小野くんから連絡が来ます。
小「生きてます?」
K「タイヤがパンクした。手に力が入らないから作業が進まん」
小「理解しました。どうしましょうか(待つか先に進むか)」
K「先に40km地点の休憩所で待ってて」
小「わかりました」
電話中にも他の参加者がぬかるみにハマって数mをスライディング落車をしていました。不謹慎ですが中々楽しそうです。
なんとか空気を入れ終わるも『次にパンクしたらリタイア確定だな』と思いながら出発しようとします。
と言うのもこの日は女子プロのレースも時間をずらして開催されます。
私達のカテゴリーは7時からスタートして16時半までにゴール地点のベロドロームに到着しなければ途中で足切りが行われます。
この日はチューブの予備が2つ。
単純に3回目のパンクはリタイアを意味します。
それと時間ロスの面から見ても2回が限界というのは念頭に入れていました。
1回目のパンクの修復作業で案の定30分近く時間と取られてしまいました。
ようやく走り始めるもクリートに土が入り込みペダルがしっかりとはまらず、慌てて土を取り除くも全てを取り除くことが出来ずに結局最後までクリートをはめるのに苦労する事になります。
27(★4)26(★2)25(★3)を無事に走り小野くんが待つ第1休憩エリアにたどり着きます。
セクター26でこの日最速の時速49kmを出しました。
第1休憩所
K「悪い、待たせた。何分くらい待った?」
小「20分くらいですかね。大丈夫ですか?」
K「石畳のせいで手に全く力が入らん。もし次の休憩所で15分以上待つならうちを待たずに先に行って」
小「わかりました。でもまずはしっかり休みましょう」
2人で参加していますが小野くんの足は引っ張れません。
休憩所に着いた際に気がつきましたがボトルが1本なくなっていました。
おそらく石畳の振動で抜け落ちてしまったのでしょう。
その後も石畳では多くのボトルが落ちているのを見かけました。
なんなら誰かの予備のチューブも落ちてます。
今後参加予定の方は多少抜き難くても少し大きめのボトルを用意しておきましょう。
休憩エリアにはシマノのメンテナンススタッフが駐在しているので問題があった際に助けてもらう事ができます。
私はそこで空気入れを借りて前輪の空気圧を5Barにしました。
結果的にこれが要因で2度目のパンクを回避する事ができました。
補給とメンテナンスが完了したら直ぐに出発します。
『次は★5か。楽しみだ』
不安と楽しさが入り混じった感情で出発しました。
前回の内容があまりにも長くなり過ぎたので今回は短くしようと努力しましたが無理でした。
ここまでお付き合いいただき毎度ながらありがとうございます。
次回は中編、お時間あればまたご覧ください。
それでは👋