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「安易なアドバイスをすることのデメリット」についての科学的根拠がICFのコラムで語られていたので翻訳してみた

はじめに

こんにちは6月。パーソナル・コーチングサービス『mento』を運営しております、たんげです。

コーチングはよくティーチングと対比して語られますが、その違いは簡単に言えば「教える」か「教えない(質問する)」かです。

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これだけ聞くと「え、なんで教えてくれないの?こっちがお金払ってるのに全部自分で考えるってどういうことなの?」と思いませんか。私は思いました:D

また「1兆ドルコーチ」「最高の上司は、何も教えない」「自分の頭で考えて動く部下の育て方」など、ビジネスにおいてもコーチングスキルの重要性が語られるようになって久しいです。が、「そうは言うけど教えた方が早くない?」と思いませんか。私は思いました:D

プロのコーチが、教えたほうが早いとわかっていても教えないのには、当たり前ですが理由があります。

結論から言うと以下のデメリットが科学的に証明されているからです。

デメリット1:人間の脳はアドバイスを受けると思考停止する
デメリット2:実際の期待値と関係なく、意思決定は専門家のアドバイスに左右される

人間の脳は、教えられると「オフロード」する

ICF(国際コーチ連盟)が出しているコラムに、下記のような記載があります。

Noussair and Gregory S. Bernsが2009年に行った”財務アドバイスと意思決定間の関係について”の研究が説明するように、アドバイスを受け取っている間、脳は「オフロード」します。脳はニュートラルな状態になり、アドバイスが与えられている間、実際のアドバイスは大脳新皮質に埋め込まれません。結果として、オーナーシップは後ほど生まれるか、または全く生まれないかもしれない。

“Offloads”に対する適した訳が見つかりませんでしたが、簡単に言うと人間の脳はアドバイスを受けると知性を司る大脳新皮質を活用することなく、思考停止してしまうということです。

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宝くじの購入に専門家がアドバイスすると何がおきるのか

上記の調査では、様々な確率条件の宝くじを被験者が購入するかどうかの判断をする際に「専門家のアドバイスがない(NoMessage)」群と「専門家のアドバイスを受けている(Message)」群に分けるという実験を行いました

w(p)は、確率加重関数及び行動経済学のモデルを使って推定された実際の確率条件(Probability)において個人が体感した確率です。

点線(Expert)が「専門家がアドバイスした」確率なのですが、専門家のアドバイスがあることによって、20%未満の確率を過大評価し、80%を超える確率を過小評価したことを示しています。

つまり、実際の確率とは関係なく専門家のアドバイスの有無によって被験者の意思決定が優位に変化したということです。

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まとめ

アドバイスは一概に悪いことでは無いですし、コーチングとティーチングは一長一短です。

ただ、あなたが誰かに安易なアドバイスをすることは、即効性と引き換えに相手から思考を奪い、実際の期待値と関係なく判断に影響を与えてしまうのもまた確かです。

本当に対話相手のことを想うなら、今必要なのはどのようなコミュニケーションなのでしょうか。相手から自主性を奪っているのはあなた自身のあり方によるものかもしれません。

即効性よりも自発性を重視したいと感じるのであれば、焦る気持ちを抑えて、相手を信頼し、傾聴・質問・フィードバックのコーチングコミュニケーションでじっくり向きあうのも良いのではないでしょうか、というお話でした:D

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