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餌付けされた猿の末路

 おはようございます。のらりです。

 僕が住んでいる地域には、野生動物がたくさんいます。
 
 かわいい鹿や狸なんかは出てきても和むのですが、おそろしい熊も出てきます。実際、遭遇したことがあるのですが、野生の熊は動物園の熊とは違い威圧感があるもので、一目散に退散しました。


猿の脅威

 「もっとも厄介な野生動物はなんだろうか?」と聞かれた時に、この地域の住民ならばこう答えるでしょう。

 猿。

 もともと猿というものは山にいるものでして、人里に下りてくるものはほとんどいません。ですが、廃棄する農作物を不用意に置いていたり、農地の後処理をしていないと、それらを目的として下りてくることがあります。

 なにせ山の食べ物よりも人間が作った農作物の方が美味しいですから。

 たまに人間のせいで自然環境が崩れ、山に食べ物がなくなったから、仕方なく人里に下りてくると誤解されてる方がいますが、山に食べ物は十分にあります。

 ただ人の手が加わった食べ物が美味しく栄養が豊富だから、一度手を付けると山の食べ物が味気なく思えるのです。

 それに栄養をたくさん取れれば、健康状態もよくなるので、母猿はたくさん子供が産めます。本能的にも人里の餌を求めるようになります。

 なので、人里の食べ物を食べた猿が群れに戻り、「あそこにはおいしくて栄養があるご飯がたくさんある」と周りに伝えて、群れごと人里近くに引っ越してくるというカラクリなのです。

 けれど人間も学習し、きちんと後始末をするようになって猿被害が減ってきたそうです。

 ですが、もうひとつ、深刻な問題があります。 

 餌付けです。 

 人間による餌やりです。このあたりの猿被害の始まりは餌やりからだったそうです。都市部から引っ越してきたご家族が猿が可愛いものだからと餌をやっていたそうで。

 それによって「人間は恐ろしくない」「むしろ餌をくれる」と学んだ猿達は人里に降りてくるようになりました。

 人間を恐れなくなった猿は恐ろしい猛獣と化します。

猿の学習能力

 猿は人間の幼児程度の学習能力がありますから、 人の顔くらいなら簡単に覚え、判断力もあります。

 例えば、僕のような火薬銃(炸薬で音を立てるだけの玩具です)で猿を追い払う人間(僕がやばいやつなのではなく、猿を見かけたら追い払うという地域の方針です)を見かけたら、すぐさま逃げてきます。

 ですが、その猿は遠くまで逃げるのではなく、安全な藪に逃げ込み、隠れてこちらをじっと観察します。そして、思考し判断します。

 「ああ、あの道具は大きな音を立てるだけだ」

 「うるさいけど、距離を取れば怖くないな」

 そう判断すると群れで少しづつ情報を共有し、その道具をもっている人間には距離を取り始めます。

 道具を持っていない老人や子供、女性と言った自分たちに危害を加えない人間の場合は、最初から逃げも隠れもしません。子供の猿さえ悠々と目の前を通り過ぎます。自分たちよりも弱いと判断しているからです。目があっただけで、奇声を上げて威嚇することさえあります。

 更に、猿側の人間に対する理解が深まると、人間に危害を加えるものも現れます。

 「あれは自分たちよりも弱い」

 そう判断した結果です。

餌付けされた猿の末路

 怪我などの被害が出ると、人間側も黙っていません。

 その猿は駆除されます。

 「人間に危害を加えても大丈夫」という認識を共有されると、その猿の群れは近隣の住民にとって恐ろしい脅威になるからです。

 そして、増えすぎた頭数の調整という名の駆除により、群れの過半数は殺されます。

 以前より小規模になった群れの猿たちは、人間を恐れ、山に戻っていきます。

 そのような末路にならないためには、人間と猿は距離を保たなければいけない。

 「人間は恐ろしい動物なのだ」と猿に認識され続けなければならないのです。

 野生動物を見た場合、絶対に餌をあげてはいけません。

 餌をやる人は善意であげたのかもしれません。しかし、それによってその動物を死に追いやることになるかもしれないのです。

 最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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