店員だって人間です

私は大手総合スーパーで働いてます。「大手」とわざわざ書くのは「大企業ドヤァ」ではなくて、日本のそこかしこにある(たくさんある=影響を与えやすい)、という意味で書いています。(むしろ企業イメージ自体はそれ程良くはないと私は思ってます)

接客をしていて思うのは「人として」人(お客様)に対応できない、ということ。仕事だから「店員」でなければいけないんです。ぶっちゃけてしまうと「モラルの低い人」に対しても平等に接しなければいけないんです。

人それぞれ生活環境や考え方、いろいろあると思います。それでもたまに信じられないことが起こったりします。使い古しの商品の返品や、数百円の商品のメーカー保証修理依頼、中身を見たいからとその場で商品の開封を求められる・・etc

どうしてそんなことが起こるのだろう。自分が考える一般常識は一般ではなかったのか。自分は温室(?)で育ってきたのか(でももっと温室育ちはいるだろうし、そもそも温室育ちはウチのようなスーパーには来ないかもしれない)。

などと思っていたのですが、ここ数年、そうじゃないような気がしてきました。そういう(言った者勝ち)の環境を作ってきたのは、こういった企業なのではないか、と。

モンスターナントカが流行りだしたのはここ10数年くらいでしょうか。何でそんなに世間を騒がすのだろう、と思っていたのですが、それは生い立ちでも教養でもなく「顧客至上主義」の産物ではないかと思うのです。※ここでの「顧客至上主義」とは「お客様の方が偉い」「お客様の言うことは全て」というような間違った意味で捉えられたもの、として扱っています。

私はかつてその系列スーパーで、従業員の方がバックヤードに入る時に「失礼いたします」と誰も見てないのにお辞儀をして消えていくのを見てものすごく驚きました。

え。そこまでへりくだらなくても。

と思ったのが正直なところです。確か、スーパーに限らず様々な店舗で接客マナーが流行りだした時期だったような気がします。マナーが良いのはとても気持ちが良いことかもしれませんが、高級店ならともかく、庶民スーパーで高級店並みの言葉で接客をされたとしても「?」となるのがオチで(逆に気取ってるとか思われるのでは?)、温かくフレンドリーな接客をされた方がよっぽど「適切なマナー」なのではないかと思ったような記憶があります。

先日、たまたま見かけた「お客様の声」でこんなものがありました。内容は伏せますが「こんな風な非常識な人に対して、注意ができる従業員はいないのですか?」というようなことが書かれていました。店からの回答は「一般のお客様が不快な思いをしないよう注力いたします」的なものだったと思いますが、やはり「非常識と思われる人」を見て見ぬふりをする店側にも責任はあると思います。というより「顧客至上主義」で「お客様の言いなり」なる文化を作ってきたとしたら、逆に店がお客様に対して「こういったことは良くないと思いますよ」と言ってもよい文化を作ることができるのでは?とも思うのです。(こういった時にメディア戦術が役立つのでしょうかね)

ハッキリ言って、店員だってお客様を選びたい。(スーパーの)店員はあくまでも「モノを売る」「サービスを提供する」だけの要員であって、お客様より「下」になる必要はない。確かに売れたモノに対する利益で従業員のお給料は出ているかもしれないけど、そこに人件費上乗せの「サービス料」が組み込まれているワケでもない。むしろその部分は削られる一方で、どれだけ丁寧に対応したとしても、対価はないに等しい。ではなぜ横柄な態度を取られなければいけないのか。

それはやはり「顧客至上主義」で必要以上に「お客様は神様だ」的な文化を創り出した企業が、「お金を払うのだからお客の方が上」という誤った受け取り方をしてしまった人を作り出し、そういった人を教育できなくなる環境を浸透させてしまったことが原因ではないかと、私は思うのです。

店員は偉くないです。お客様も偉くないです。みんな人です。人間です。「欲しいから」お金を払って買うんですよね?そのお金はモノに対して支払われるものです。店員に直接「ご苦労さん」と支払うものではありません。

未使用でも一度開封した商品、買いたいですか?使い古した商品を時間が経ってから「気に入らないから返金して」とお金をもらって嬉しいですか?自分がそういうことされたらどう思いますか?きっと、無理な要求を通そうとする人ほど、真っ先に「意見(クレーム)」言うんじゃないんですか?

多くの人が気持良く買い物ができるような文化になって欲しいと思うし、私もお客としてのマナーを最低限持っていたいと思います。



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