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脚本から作詞作曲、映像編集まで全て一人、完全自作ミュージカルを作ったげんしゅうくん【後編】

大好きなミュージカルを0から自分で作った、実践探究*に通うげんしゅうくんのストーリーを2回に渡ってお届けしています。
前編では彼がどうしてミュージカルを好きになったのか、どうして自分で作ってみようと思ったのか、そして初挑戦の作業にどんな風に向き合っていたのかをお届けしました。
後編では、苦戦や失敗をどう乗り越えたのか、制作を通してどんなことを感じ考えたのか、またご両親がげんしゅうくんにどんな想いを寄せているのかについて迫っていきます。

*実践探究へのお問合せ先は記事の最後に記載しています。

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▼自作のミュージカル動画『The Brecker』はこちらからご覧いただけます!
https://youtu.be/6ZaHHJ5A1QE
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沢山の苦戦、失敗と学び

初めてのことだらけの制作過程でも、今回作った動画はエンディングやNG集を含め約20分もの大作。もちろん、制作は一筋縄ではいきませんでした。
例えば、撮影と編集には非常に時間がかかったと言います。
「シーンとシーンのつなぎ目のところが、ブチっと切れてしまったり、繋がりのタイミングが良くなかったりして、何回も作り直したり、編集してみたらそれぞれの役のセリフや演技のタイミングがずれてしまっていたり、うっかりセリフを飛ばしていたり…いろいろな問題が起きた」
それでも、妥協はしません。その度に、何度も撮り直したり、他の映像を当て込んだり、と工夫を重ねて完成させました。
このものすごく大変の作業ですら、「楽しくて疲れも吹っ飛んだ」と振り返っていました。
他にもいろいろな失敗を経験しました。初めてのメイクでは、油性の舞台用絵具を使ったら全然洗い落とせず、目の中に入ってしまって大惨事に。原画と同じように登場人物の洋服の色を緑で塗ったら、グリーンバックをクロマキーで抜くときに、洋服の部分も抜けてしまうということも…。その度に、水性の絵具に変えてみたり、緑の部分を上から黒で塗り重ねてみたり、と柔軟に次の一手を考えて対処し、失敗をきちんと学びに変えていったげんしゅうくんでした。

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制作を終えて感じたこと

最後に、大作のミュージカルを作り終えてどんなことを感じ考えたのか教えてくれました。

ミュージカルを作るのは大変
「とにかくミュージカルを作っている人たちの大変さがよくわかった。
たくさんの人たちが色々な役割をして、1つの舞台ができているのだと実感した。
役者さんたちだけでなく、裏方の人たちへの尊敬と感謝の気持ちがわいてきた。
次にミュージカルの舞台を観にいったら、今まで以上に感激する気がする。
今回ぼくが作ったのはミュージカルの舞台というより、ミュージカルの映像作品だ。
映画や映像と、本当の舞台との違いについて考えてみると、まず迫力が違う。
編集を入れずに、大道具や小道具などでどう表現するか?
そういうことを考えると、ワクワクしてくる。
舞台は映像と違って立体だから、僕はその感じがとても好きだ。
そして、舞台はその場で行うライブだ。
その場で体験すると目と耳だけではない、何かを使ってる。何かを感じる。それを伝えたいし、それを感じたいし、感じてほしい。もっとミュージカルの舞台を観たいし、舞台を作ってみたいと思った」

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もし次に作るとしたら?
「もし次に作るとしたら、今回のミュージカルより複雑なストーリーの構成にしてみたいと思った。そして、「もしかしたらこうなんじゃないか…」など、観客が最後に色々と想像してしまうようなストーリーを作ってみたい。次はブレッカーたちの10年後のお話を作ってみたいと思っている」

大好きなミュージカルを全て一人で作り切るという、大きなことを成し遂げたげんしゅうくんの視線はもう既に次のチャレンジへ向いていました。

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▲げんしゅうくんの「The Brecker」ミュージカルプログラムはこちらからご覧いただけます!
https://tanq-hp.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/pr/SNS/211018_note_genshu_thebrecker.pdf

「何を考えているかはわからない、でも」

お母さんにげんしゅうくんがどんな子なのか話を聞いてみました。「6歳の頃から、美しい建築物や仏像を見ると色んなアイデアが次々と浮かんでくる子でした。“紙とペンが欲しい!”と、半ばパニックになって、浮かんできたアイデアをその場で描くんです。美術館なんかでは、アイデアが浮かびすぎて、表現することに追いつかないから、これ以上アイデアが浮かばないようにと全部は見たがらない。そんな風に絵で表現するのはすごく得意だけど、言葉でそれを伝えるのはとても苦手です。」
そんな「完全に右脳タイプ」のげんしゅうくんに、早い段階である意味吹っ切れていたお母さんの傍、お父さんには「もう少し言語での表現もできるようになってほしい」という葛藤があったそうです。そんなお父さんに、お母さんは「きっと彼は将来、海外の大学に行って、髪を染めてメイクをして、派手な格好で帰ってくると思うから覚悟しておいて」と話したそうです。そう言われたお父さんは、今回のミュージカルで「親情出演」としてコミットしています。
お話を伺っていると、お母さんは個性あふれるげんしゅうくんにすごく理解があるように感じました。それでも、「何を考えているか全くわからないですよ」ときっぱり。「でも、いつも面白いものを作りますよね」と続ける姿に、親が子どもに先回りしたりついて行ったりしなくても、どんどん進んでいく子どもの向かう先を楽しみに眺めるという寄り添い方もあるのかもしれないと思いました。

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あとがき

初めて『The Brecker』を見たとき、豊かな演技力に魅了され、一気に物語の世界へ引き込まれました。一人で演じているとは思えないほど、一人一人のキャラクターの声音や雰囲気が全く違うのです。そして何よりも、迷うことなく堂々と演じている姿に圧倒されました。
お家にうかがった際、その場で演技を再現してもらいましたが、一瞬で演者のスイッチを入れ、やはり堂々たる演技を見せてくれました。「恥ずかしいと思うことはないの?」と聞くと、「恥ずかしいと言うより“自分を見せてやる”という気持ちになる」と答えてくれました。そんなげんしゅうくんは、私たち取材スタッフが帰ろうとすると、最後にアラジンの踊りを踊ってくれました。お母さんに部屋の照明の指示を出し、堂々とアラジンのジーニーを演じる彼から、自分の今立っている場所を一瞬で舞台に変えてしまうような、表現する者の力を感じ、取材スタッフはいつの間にか完全にげんしゅうワールドに入り込んでいました。

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写真を撮る際も普通には座りません。「社長風に座る」と、座り方から表情まで作り込むげんしゅうくんに「普通に座って」と突っ込むお母さん。取材スタッフがお母さんとお話ししている時間は、手元にある衣装やアクセサリーを自分に合わせ、カメラを向けられれば見られ方を意識し、振る舞い方にまで拘るげんしゅうくんは、常にアーティストとして生きているようでした。

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記事を書いた人:ちひろ
今は実践探究でメンターをしたり、文章を書いたりしています。
感動したことや葛藤したこと。感じたことを言葉にすることで認識できる自分の世界は広がると信じて、子どもたちの心の中を言葉にするお手伝いに努めています。

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企画・撮影・編集:あい
探究学舎広報担当。【価値ある接点の最大化をデザインする広報】を目指し、日々楽しく奮闘中。趣味はドライブと朝活。

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子どもたちの「好き!」「やってみたい!」は千差万別です。
何が正解なのか、成功なのかは誰にもわかりません。
子どもたちとご家族とメンターが、関わりの中で一歩ずつステップを上り、積み上げ、作っていく。そのプロセスが豊かで、尊いものであるということこそ、わたしたちが「実践探究」を通して伝えていきたいことです。

実践探究は現在試行錯誤しながら、探究学舎三鷹教室にて運営しています。
ご入会を検討されている方、どんなプログラムなのか詳しく知りたいという方は、以下のメールまでお気軽にご連絡ください。
practice@tanqgakusha.jp(担当:宮脇)

※実践探究は2023年8月をもってサービスを終了いたしました。今までありがとうございました。
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 pr@tanqgakusha.jp (担当:門脇)

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