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『学校へ⾏かない仲間の会』を⽴上げたSくん(⼩5)

探究学舎にはたくさんの⼦どもたちがいて、ひとりひとりに輝く個性があります。
そのひとりひとりが、⽇々さまざまなチャレンジをしています。それは、⼤⼈から⾒れば⼩さなことのように思えるかもしれません。

でも、⼦どもたちにとっては、鮮やかな⼈⽣を切り開いていく⼤きな⼀歩であるとわたしは信じています。

その⼩さくても尊いチャレンジを、ひとつずつ丁寧に拾って伝えていきたい。そんな気持ちから、この記事を書こうと思いました。

探究学舎は「驚きと感動の種をまく」塾です。そこから⽣まれた、どんなに⼩さく⾒える「芽」であっても、⼼から⼤切に育み、応援していきたい。そんな世界を、保護者のみなさまと探究学舎スタッフ⼀同でつくりあげていけるとすてきだなぁという気持ちが、この記事を通して伝えられたらうれしいです。

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今回は、休校期間中に「学校へ⾏かない仲間の会」を⽴上げた S くんのお話です。
S くん(⼩ 5)は、アメリカ⼈のお⽗さんと⽇本⼈のお⺟さんのもとにうまれた、いわゆるハーフの男の⼦です。

現在は学校には行っていません。日本の学校教育のシステムと、彼の性格や大事にしたいものとがうまくあてはまらなかったことがその一つの要因です。

気が優しく、くじけてしまうことも多いといいます。
そんな彼は、いったいどんなチャレンジをしたのでしょうか?
「学校へ⾏かない仲間の会」とはどのような会で、どんな背景からつくられたのでしょうか?
そして、彼の中にはどんな願いがあるのでしょうか?

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自分の「好き」を伝える YouTube

「コロナ期間中は、勉強や、友達とオンラインでつながってゲームをやっていました。マイクラがとくに好きで、⾃分で⾃由な世界を表現できるところが気に⼊っています。YouTube も好きです。年⻑の時に体調を崩して、その時にみていたのがYouTube で、笑顔と元気をもらいました。

YouTube配信は昨年の夏に初めて挑戦しました。内容はマイクラの実況中継で、合計3本の動画を配信しました。

休校期間中の新たなチャレンジとして、今度は歴史シリーズをやってみようと思い、まず「信⻑の⼀⽣を⾒てみた‼」という動画を作りました。信⻑をテーマにした理由は、1年⽣のとき探究学舎の「戦国英雄編」の授業を受けたことで、戦国武将が好きになったからです。

動画制作から配信まで、2週間かかりました。まず1週目は、本を読んだり、インターネットで調べたり、ひたすら情報収集をしました。2週目は取り扱いたいトピックを一覧できるようにまとめました。

その後、パワーポイントの資料の制作をし、それに声を合わせて撮影し、さらに撮影した動画の編集を行い、やっと配信まで辿り着きました。

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歴史シリーズ2本目は、「武⽥信⽞・上杉謙信の⼈⽣を⾒てみた‼」という内容で作りました。ムラちゃん(教育系 YouTuber・元探究学舎講師)にアドバイスをもらい、前回よりもいいものを作ろうと、台本を作ってみるなど、⾃分なりに⼯夫をしました。

パワーポイントは何度か使ったことがあったので、スライド作りはそれほど大変ではなかったし、使っていくうちに上手になっていきました。苦労したのは動画編集で、まるで地獄でした(笑)。編集ソフトはお父さんのものを借りたのですが、表記が全て英語だったから難しかったです。

次の⽬標は、チャンネル登録者数100⼈超えです。100⼈を超えたらYouTubeでライブ配信をしたいです。」

▼「信長の一生を見てみた!!」

▼YouTube チャンネルは画像をクリック

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⾃由に⾃分を表現できる場所

「探究学舎とであったのは、1年⽣の頃「戦国英雄編」のスペシャルに参加したことがきっかけです。そこで戦国時代や歴史に興味をもって、戦国軍師編、戦国合戦編に参加しました。そして、3年⽣の時に探究学舎に通塾するようになりました。

探究学舎の好きなところは、先⽣が授業のテーマをおもしろく、きちんと教えてくれるところや、ボケたり、思ったことを⾃由に発⾔できるところです。」

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「学校に⾏かない仲間の会」を作ったきっかけとは?

「1年生の頃すこし嫌なことがあって、それがきっかけで学校に⾏きたくなくなりました。でも、学校にいきたくない気持ちを、⾔葉でうまく伝えられなかった。だから、おなかが痛いと⾔ったりして、休ませてもらっていました。

2年⽣で担任の先⽣が変わって、学校に⾏けるようになったけれど、3年生で自分が学校に合わないと感じるようになって、再び学校に行かなくなりました。

そこで、学校に行けない、同じような悩みを抱えている⼦たちと集まってコミュニティをつくりたいと思い、「学校に⾏かない仲間の会」を⽴ち上げることにしました。

正直に言うと、勉強をするだけだったら、ひとりでもできる。コロナ期間を過ごしたことで、⾃分にとってはあまり学校に⾏くことに意味がないことがわかっちゃったんです。

そんな中、たまたま探究学舎のやっちゃん(探究学舎代表・宝槻泰伸)と話をする機会をもらいました。ぼくは、今まで平日の日中にあった探究学舎での活動が、学校が始まると夕方以降になってしまうことがさみしいと話しました。そしたら、そういうふうに思っている仲間をふやしてみたらどう?と提案をしてくれました。

それで、その⽇のうちにお⺟さんと⼀緒に「学校へ⾏かない仲間の会」のメンバーを募集する台本を書いて、それを YouTube で配信しました。初めて主宰したキックオフミーティングには 25 名の仲間が参加してくれました。」

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仲間が安⼼できる場所にしたい。

「毎朝 9:00-10:30 の時間に zoom で集まって、10〜20人ほどの仲間とオンラインでコミュニケーションをしています。

最初のうちは学校に対する思いをそれぞれ⾔い合ったりしました。最近は⾃分の好きなことについて話したり、⼈狼ゲームをやったりしています。盛り上げてくれる仲間もできました。
毎⽇開催しているので、その⽇はどんなテーマの会にするかを決めるのに苦労をしています。

カメラをつけないで参加してくれているメンバーも多いです。しゃべらない子もいます。でもそれでいいんです。
最初は少しだけ不安もありました。でも、お互いに同じように学校に⾏けずに悩んでいた仲間同士、
『この会を作ってくれてありがとう』『ここは安心できる場所です』
そんなふうに言い合えたことがとてもうれしかったです。」

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S くんの中にある願いとは?

「ぼくは、いまの世界は平和じゃないと感じています。
たとえば、アメリカで⿊⼈男性が警察官に殺されたニュースを⾒て、とても悲しい気持ちになりました。

ぼくは、くじけてしまうことも多いです。すごく⾟いことや、うまくいかないことはこれまでにもたくさんありました。

でも、⼈⽣は勝負かな、と思っています。

⽬の前の壁をどう乗り越えるか、という⾃分との勝負です。⾃分が変われば
全てが変わっていきます。

ぼくは、『運は天にあり、鎧は胸にあり』という上杉謙信の⾔葉が好きで
す。運は⾃分ではどうしようもないけれど、⾃分の⼼を守っていく鎧は、⾃分で勝ち取るものだと思います。

いまのぼくの夢は、世界⼀の YouTuber になって、世界中の⼈を笑顔にしたい。良いことも、悪いことも、⾃分なりの視点を持って世界に伝えていきたいです。」

真っ直ぐな瞳で⼒強く話してくれた S くん。
つぎは、「ハーフの仲間たちの会」を⽴ち上げられるよう、実現に向けて歩み続けています。

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あとがき

彼は2つの⽂化的アイデンティティを持って⽣まれました。そのことでたくさんの理不尽な経験をしたり、⼈⼀倍胸を痛めたり傷ついてきたことは、わたしの想像はきっと及びません。

でも、⾃由であることを愛し、⼈の⼼の痛みのわかる彼だからこそできたこのチャレンジは、彼の「⼼の鎧」となり、今後多くの⼈たちの笑顔につながっていくでしょう。

S くんのさらなる活躍を、これからも応援していきたいです。

(ライター:あい)


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