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2021/2/20(土) スピリチュアルペイン(高宮有介先生)

こんにちは〜、筑波大学医学類6年の上ちゃんことウエハラです。

今回は2/20日(土)に行われた高宮先生の講演会で感じたことをつらつらと書いていこうと思います。

高宮先生に関しては以下に簡単なご紹介をさせていただきます。

高宮有介先生
1989年 英国ホスピスで研修
1992年  昭和大学病院内で緩和ケアチーム活動開始
2018年 昭和大学医学部 医学教育学講座 教授に就任
医療系大学の学生、医療者向けに、死から生といのちを考える講義を発信している。
2015年からは医療者自身のケア、マインドフルネスを講義、講演をしている。
【著書】「セルフケアできていますか?」(南山堂:2018年)
「臨床緩和ケア(改訂3版)」(共著.青海社:2013年) 他

患者さんの心と体の両面を支えられる様になりたい。そう考えていた高宮先生の医師としてのスタートは外科医だったといいます。当時、外科医は担当患者の看取りまで責任を持っており、末期がん患者の痛みの緩和に難渋し、その学びのために渡英。そこで見た緩和ケアが元来先生がしたかったことと重なり、当時日本にはなかった緩和ケアという分野でチームを立ち上げ活動し始めました。
医学領域にいると時折耳にするスピリチュアルペイン・緩和ケアとは何でしょうか?

緩和ケア

まず高宮先生が示したのはこんなスライドでした。

画像1

みなさんはここに何が書いてあるか見えますか?
2本。上下に線を引くとクリアになってきます。

画像2

この2本の線を引くことが緩和ケアではないか。
・患者さんの人生が見えるお手伝い
・人生・生きがい・いのちを支えるお手伝い

この後、先生が臨床をされてきた中で見てこられた患者さんたちのストーリーを紹介してくださいました。
スライドに、生きがいという言葉が含まれているのが僕には印象的でした。
病院の中で患者さんについて語られる時、どうしても病名や病状など、医学的処置に必要な情報ばかりが扱われます。医師としてもちろん必要な情報であっても、病名や数字を通して患者さんに接すると、無機質で白黒に見えてきてしまう。でも、生きがいやその人の人生を通してみることで、そこに色がつく気がする。緩和ケアではとりわけこの部分が大事になるんですね。

スピリチュアルペイン

全人的痛み。大きく4つに分けることができます。
1. 身体的
2. 精神的
3. 社会的
4. スピリチュアル

この分類はよく目にすると思いますが、スピリチュアルペインについて理解しているでしょうか??
精神的との違いとか、曖昧なままだったりしたことに僕はドキッとしました。

スピリチュアルペイン=霊的・宗教的・哲学的・実存的…
いろんな訳され方をするけど、一言では言い表すことができない。
なぜ自分はこのように産まれ、生きて、死んでいくんだろうか
自分が産まれてきた、人生の意味はなんだろうか
自分が産まれてきた、人生の役割はなんだろうか

こういった問いに伴うスピリチュアルな側面の痛み。
これらの問いは誰もが考える。でも病気になって、誰かに面倒を見てもらっていると思うほど、それを感じる機会は多くなる。すべての人の中にあり、人生の大きな喪失を前にして、浮かび上がる。それがスピリチュアルペインだといいます。

高宮有介先生スピリチュアルペイン-2

ここで高宮先生が紹介してくださった金継ぎの技法。割れた部分を隠さない。なぜならそこにも価値があるから。
スピリチュアルペインにおいても当てはまる部分がある。引き裂かれるような痛みも、隠そうとするのではなく、そこから何か新たな旅に迎える。そこにスピリチュアルケアが必要である。
長い時間臨床をして、患者さんと実際に触れ合ってきた高宮先生だからこその言葉の重みを感じました。

スピリチュアルケア

では実際にどんなケアをするのか。そこについても貴重なお話を伺うことができました…!
・傾聴とライフレビュー
患者さんの過去に興味を持ち、それを評価するのではなく傾聴すること。患者さんのストーリー=ライフレビューは、時にケアの入口となるような、重要な情報を含んでいる。
患者さんはライフレビューを話す相手を直感的に選ぶといいます。忙しそうな研修医をわざわざ引き止めてまで話してくれない。では話してもらうためにはどうするか。暇そうにすること。忙しくても良い。話しかけても良いんだ!という余白を持っている雰囲気を出すこと。

・意識の志向性を理解すること、反復などの援助的コミュニケーション、段階的スピリチュアルケア
・希望を支える、確認する

これらの技法についても、ワークショップ形式で教えていただきました。
また多くの患者さんのストーリーも交えてお話してくださったのですが、中でも魂が仕事をし始める、という話に心が惹かれました。

魂が仕事をし始める

・普段魂は眠っている
・危機的な状況、例えば死を前にすることで、魂が仕事をし始める。

高宮先生がお話してくださったのはこんな事例。

高宮有介先生スピリチュアルペイン-3

高宮有介先生スピリチュアルペイン-4

▶▷このお話を聞いていて、前に読んだ本のことを思い出しました。

遺族はそれをギフトと呼ぶ。
人は慣れる生き物です。初めてのときにはありがたく思えたことも、繰り返されれば当たり前と消化していく。そうして積み上げた、本当はありがたいはずの当たり前にあぐらをかいて、贅沢な“次”を求めていく。でも案外その当たり前は脆い。そしてそれに気づくことができるのは、たいていそれが崩れたときです。
でもそこには例外もある。自分ごとと感じられる距離感にいた身近な人の当たり前が崩れたときです。
高宮先生がお話してくださった心の自由について気づいた男性の事例。言っていることはありきたりです。語弊の内容に言い換えれば、きっとこれと同じ事を言った人はたくさんいるし、どこかで見かけてきた言葉達だと思います。だけど、それを適当に流すことなく、ありがたい気付きとしてしっかり受け止めること。自分を守るための鈍感さは必要だけど、こういった気づきを無下にしてしまうような鈍感さは持たないようにしていたいなあ。そうはいっても鈍感になっていってしまうだろうから、自分がその大切さを再確認できるような場所にい続けなければ。病院実習に来る学生との対話は、そこに気づく良いタイミングだと、この前参加した福祉施設のミーティングで言っていたなあ。

マインドフルネス

Googleの社員研修で取り入れられたり、なにかと最近話題に上がることが多い気がするマインドフルネス。実は精神科ではすでに有効な治療として取り入れられていたり、医学的ないわゆる“エビデンス”もあるんです。

禅・マインドフルネス・仏教・瞑想・ヨガ
これらの言葉達、結構ごちゃごちゃになりますよね。そんな人には2/25日の楽し樹での企画にぜひお越し頂きたいのですが笑、高宮先生が示してくださったスライドが肝なのだと思います。
“今、この瞬間に、集中して生きる”
そしてそれを実践する際に、呼吸がキーワードになる。
この後はなんと、高宮先生が瞑想体験をしてくださいました!百聞は一見にしかずですね。

▶▷禅の話にはなりますが、こちらもとても参考になります。

さて、長くなりましたが実はここにもかけなかった濃い〜内容がたくさんあります笑。
△スピリチュアルケアの技法
▲高宮先生が実際に担当された患者さんのストーリー
△ケアする人自身の心のケア

興味を持ってもらえた方はぜひ楽し樹内で限定公開されている動画で御覧ください🐎
こちらのFacebook group[楽し樹 自己紹介ページ]に参加して、自己紹介の投稿をして頂けたら、昔の動画も全て見られます。そして楽し樹は全て無償の教育です、びっくり!
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それではまた次の企画で!


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