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インフォマートとの資本業務提携を語る(前編)~数億円規模の提携が締結するまで~


こんにちは!株式会社タノム代表の川野です。
今回は、前編・後編にわけてインフォマートとの業務提携についてお話していきます。

タノムは2021年2月4日、東証一部上場企業で業界最大手の株式会社インフォマートと資本業務提携契約を締結いたしました。

▼プレスリリース抜粋
タノムのUI・UXを重視したモバイルファーストに基づくプロダクト開発技術と、当社の食品業界におけるシステム導入・稼働のノウハウや経験等を効果的に組み合わせることで、受発注業務のデジタル化を促進し、業界全体へのDXの浸透に貢献できると判断し、今回の資本業務提携契約の締結に至りました。

単なる提携ではなく、タノムの新株式の割当増資をインフォマートに引き受けていただきガッチリと手を組むことになりました。しかも今回はタノムとして初となる数億円規模の提携です。

今回の記事では
「なぜ、この資本業務提携に至ったのか」
「この提携のおかげでできるようになったことは何か」

ということについて、包み隠さずお伝えできればと思います。

「TANOMU」というサービスとは?

今回の資本業務提携を語るうえで、まずは「TANOMUというプロダクトや、チームの本質的な価値が何なのか」ということに触れる必要があると考えています。

TANOMUは、前身であるミールキットサービス「Chefy」を2018年に撤退した経験から生まれたサービスです。

詳しくはこの記事に書いていますが、Chefyの事業撤退にあたりインタビューをさせていただいた卸売業者の皆様の声・悩み・経営課題を解決するべく生まれたのがTANOMUです。
ここから2年半以上が経ち、今では多くの業者様、飲食店様に使っていただけるサービスに成長してきました。

TANOMUは「卸売業者の仕事を、もっと"シンプル"に」を掲げたサービスですが、その本質は、徹底的にユーザーに寄り添ったサービスづくりの姿勢にあると私たちは考えています。

今回の資本業務提携が決まる以前から、このサービスづくりの姿勢をいかに組織に根付かせるかを考え続け、ミッション・バリューに盛り込んだりプロダクト開発記という形でnoteに起こすなどの取り組みを行なってきました。

ユーザーに寄り添ったサービスをいかに生み出し続けるか。「現場ドリブン」というカルチャーを根付かせながら、組織をいかに拡大していくか。経営者である私自身がこれを考え続けてきたことが、今回の提携を進めるきっかけであり、合意に至った直接の理由でした。

提携先のインフォマートいう会社について

この業界に関わる人であれば言わずもがなですが、インフォマートは上場企業であり、受発注システムのベンダーとしては最大手のリーディングカンパニーです。

TANOMUのリリース当時からインフォマートのことはよく調べていましたし、先をいく競合として強く意識していました。

↓この図は、TANOMUリリース直後に公開したnoteの抜粋。まさか資本業務提携に至るとは思っていませんでした(笑)。
当時から、インフォマートなどの競合とは二者択一で選ばれるものではなく、併用されながら卸売の商流に入っていくことを戦略としていました。

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ポジションの違いはあれど、インフォマートはどこまでいっても自分にとっての「最大の競合」でした。

「インフォマートよりも "圧倒的に" 良いものをつくりたい」という、起業家として当然の思考のもと、プロダクト研究を重ね、顧客の声を集め続け、チームを作ってきました。

そんな真っ只中の2019年、インフォマートの長尾社長とのご縁が生まれます。

きっかけは私のファーストキャリアである総合商社の同期(Aくんと呼びます)からの紹介でした。Aくんがたまたま長尾社長と一緒に仕事をしており、その流れで会食にお誘いいただきました。

ただ、「打倒インフォマート!」を掲げていたくらいなので当初はかなりネガティブな姿勢でした。インフォマートの社長と会食ともなれば根掘り葉掘り聞かれるのだろうなと思い、高い壁を作ってガードしていました(笑)

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(↑長尾社長を紹介してくれたAくんへの最初の返信。我ながら冷たい返信をしてしまったと思っています。ごめんなさい。笑)

ただその後も熱心に会食をアレンジしたいと連絡をくれるAくん。「Aくんにも事情があるんだろうな、、、彼の顔を立てる意味で会食はご一緒するか」くらいの気持ちで、2020年の年明けに食事会を開いていただくことになりました。

この食事会で、インフォマートという会社に対する印象が180度変わりました。インフォマートという会社、長尾社長という人が見据える業界の将来に、グッと引き寄せられる気持ちが芽生えたことを覚えています。

小手先の情報収集や探り合いは一切なく、ただひたすらにこの業界が抱える課題、目指す方向、SaaSベンダーとしてインフォマートやTANOMUがどんな付加価値を届けていけると良いか。そういう話を熱を込めながら話されていたことが印象的でした。

私たちのプロダクトやチームに対してもリスペクトを持って接していただけたことも素直にうれしく、この食事会がきっかけで現場の担当役員の方と具体的な協業の話を詰めていくことになりました。

インフォマートとの話し合いを重ねる中で徐々に私自身の心境にも変化が生まれます。お互いを補う関係は作れないか、それ以上にお互いが得意なこと・強い部分で相乗効果を発揮して業界に還元していくことはできないか、と。そこからはお互いに腹を割って話し合い、前向きに「協力するためにどうしていくか」と進んでいったのです。

通常の2-3倍の月日がかかり、白紙に戻ることも…


しかしながら、そのまま「はい、資本業務提携」となるほどトントン拍子にはいきません。インフォマートが上場会社だということ、タノムとしてはグループ企業になるつもりはなかったこと、またお互いに社内外で賛成意見だけでなく反対意見があったことなどから、提携のあり方の模索は困難を極めました。

正直にお伝えすると、詰めに詰めた内容だったにもかかわらず投資会議で白紙に近い状態に戻ってしまうこともありました。しかも一度だけではありません。私自身も数多くの業務を進めながらの業務提携の調整という負担の大きな仕事だったので、諦めそうになったこともありました。

結果的には、本来このような資本業務提携でかかる月日の2-3倍を投じることになりました。ただ、この月日をかけてより良い提携の形を探し求めたからこそ、最終的に両社にとって納得度の高い着地に至ることができたのだと考えています。

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↑資本業務提携の話が出た当初に、インフォマートからリクエストされた書類の一式。本業の合間にこれを用意すること自体も、心が折れかけました。笑(※業務提携の裏にある資料や作業の膨大さを感じていただければと思い、モザイクをかけてお見せしております。)

ようやく立てたスタートライン

TANOMUは創業当時から「(発注者ではなく)受注者の卸売業者の目線に立ち、卸売業者にとってのユーザービリティや体験を重視する」ということを強く意識してプロダクトを作ってきました。

もちろんインフォマートが卸売業者の目線に立っていないということではありません。ですが、この「卸売ファースト」、「現場ドリブン」の視点だけは絶対に負けていないというチームTANOMUの自負があります。

一方のインフォマートは、既存の顧客基盤や営業体制、資金力、知名度などのあらゆる観点で、業界を切り開いた事績と土台を持っています。

ライバルとして戦いお互いを淘汰していくのではなく、それぞれの価値や強みを認めることで、ユーザーが「自分に合ったサービス」を選択できるような体制を作っていきたい。

2021年2月4日、そのような想いからインフォマートと資本業務提携を行い、新たなスタートを切りました。

この数億円規模の提携のおかげでタノムとしてできるようになったこと、また逆に浮き彫りになってきた課題が見えてきました。ここについての詳細は後編に書きましたので合わせてご覧ください。

私たちタノムは今回の資本業務提携を経て、より大きな価値を業界に届けるべくチームで取り組んでいきます。これからもよろしくお願いします!

最後に、、、長丁場になった提携をときには朝方まで打ち合わせを行い、一緒に進めて下さった担当の濱嶋さんをはじめ、インフォマートの皆さん。本当にありがとうございました!

後編はこちらから

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