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1-19 【外部講話】try with strategy! 10代の「今」を駆け抜けろ(山本愛優美さんを迎えて)(後編)

十勝毎日新聞の記事より

(前回からの続き)過去に,外部講師を呼んで,理科の授業の中で講話をしてもらったことがあります。講師は山本愛優美さん。昨年度まで帯広柏葉高校の高校生。「高校生起業家」として様々なメディアに出演していました。現在は慶應義塾大学の3年生です。
今回の記事は、2年前の講話の様子を記事にしたものです。

■山本 愛優笑さん/【慶應義塾大学 環境情報学部】
 帯広柏葉高校卒/Nexstar CEO、慶應義塾大学環境情報学部3年。「ときめきで溢れる世界」を実現するために教育×エンタメの領域で学べる恋愛ゲーム「Smart Kiss」や学校複合型文化祭イベント「超学校祭」etcの事業プロデュースを行う傍ら、数理心理学・感性工学の面から「ときめき」の研究を行う。TEDxSapporo2018登壇。

(前回からの続き)そんな講演内容。
オトナのボクが印象に残った言葉をいくつかピックアップして紹介します。

●10代の私たちだからこそ
…(略),なぜ,講演のテーマが「Try With Strategy」なのか。それは,私たちは10代という年でからこそ。未成年って,自分のやりたいことを全部やれるわけじゃないんだよ。お金もないし,親の制限もあるし,場所的な制限もあるし,自分のやりたいことをやっていくためには何かしらの戦略を練っていかなきゃいけない。だから,この「戦略」という考えは,自由と責任を追いかけていくために必ず必要。だから,この後は,どんな戦略で高校生活を過ごしてきたか,大学生活を過ごしていくかを紹介したいと思います。
私の戦略をひとことでいうと「ときめき」です。自分のやりたいことをやっていくためには「自分のときめき」と「誰かのときめき」を追いかけていかなければいけない。だから“自分のため”になることだけじゃなくて,“誰かのため”になることを追いかけていきたいなと思いました。
 …(中略)…,高校1~2年生の頃は,「4つの学生団体の代表」「高校2年生の時に起業」。高校生という若さを使いながらメディアに出ていたりしました。なぜこういう事をしていたかというと,自分のやりたいことをやりたいとき,もちろんただやって,「誰かのときめき」を考えるだけでも良いけれど,自分の肩書とかを使っていくと,それに価値があるとやりたいことってすごくやりやすくなる。というのは,「名前(肩書)」というものに信頼があるから。
その戦略は思った通りでした。その考えを生かして,高校3年生の時に「超学校祭」ってイベント名で,高校生が広小路の商店街を貸し切って,12校60人のスタッフが集まってひとつのイベントを作り上げるというものをやりました。ジャイアンのマネをして歌ったり,制服を小中学生でも来れるようなイベント,インディアンカレーのテーマソングを作ったり,書道部が看板を書いたり,自分のやりたいことを高校生が表現する場を作る。これはめちゃめちゃたのしくて,お客さんもにぎわうし,パフォーマンスをする側もたのしくて。やってよかったなーって思いました。

- よく「若ければなんでもできる!」みたいな言葉を使う人がいます。でも,法律的にも,世間の目としても,10代に制限が存在するのも事実です(例えば,公共施設を高校生が予約するのにも,学校の許可(校長印 等)がいります。その件で教育委員会の担当者と討論したことも…汗)。その制限に対して,高校生たちは「世間の愚痴」を語るだけ。でも,それは教師も一緒かもしれません。ついつい教育委員会や高校生の愚痴を出してしまうことがあります。

山本さんは,講演の中で, 具体的に,「名前(肩書)」と「超学校祭」のエピソードなどを紹介しながら,10代に立ちはだかる制限が存在する現実に対して「愚痴」ではなく,「戦略」が必要と語ります。高校生を相手に仕事をする30代のボクにも響く言葉です。相手や世の中のせいにするのではなく,そこからどうするか。考えさせられます。

●じぶんのときめきは・・・?
…(略),すごいたのしいし、地域活性化,誰かのときめきにもつながるかなって思っていたんですけれど,それが終わったときに,急に自分のやりたいことがわからなくなっちゃって,それまでは自分のときめきを追いかけるために誰かのときめきを考えてたはずなんだけど,自分のときめきというものがなくなっちゃっていて,超学校祭は自分が文化祭が好きで,地域でもう一回やりたいという想いから始まったんだけど,気づいたら地域活性化のことしか頭になくて,地域活性化につながらないからこの企画はやめようという風に頭が働いたり,気づいたら自分のときめきっていう考え方がどっかに消えちゃってた・・・。それが超学校祭が終わったあとに気づいて,苦しくなって・・・。こんな風にやりたいことをやってきたけれど,「・・・あれ,私って何がしたいんだっけ」って悩んで・・・。わからず,悩み,悩み,悩み・・・。誰にも会わずにカフェで自分のノートと向き合って自分のことを考えていく日々を続けていました。結局,「誰かのときめき」って考えていたけれど,その“ときめき”って言葉は変わらないけれど,これまで言えなかった好きなこととか,なりたかったこと,なりたかった自分,自分が言えていなかった“ときめき”ってものを追いかけていきたいなって思うようになりました。
高校までは興味があるけど,「誰かのときめき」になりやすい“ときめき”だったんだよね。地域活性化とか,教育だとか。すごく価値のあることだとは思っているんだけれど,「自分のため」よりも「誰かのため」中心に考えていく・・・。だから一回自分の欲望に立ち返って考えてみようと考えました。どんなときめきでも,どんな種類でも追いかけやすい・・・。そんな社会にしていきたいなと思っています。

- この話は,高校生というより,教師(オトナ)に対して語っているようにも思えました。「“自分のときめき”の重要性」を語るのと合わせて,自分のときめきは「“誰かのときめき”に食われやすい」という視点。それは,“自分のときめき”と“誰かのときめき”のどちらも大事にした経験がある山本さんだからこそ気づく話です。後ろで行儀よく聞いているオトナに対して,「子ども(お客)のため」「学校(会社)のため」を考えすぎるあまり,「自分のたのしさ」を忘れていませんか?と問題提起されているようにも感じました(妄想しすぎか…笑)。

 では,“誰かのときめき”を大切にしすぎるとどうなるか。山本さんは「自分がなくなって苦しくなった」と語ります。では,苦しくならない人は…?

ボクの予想では,自分を犠牲にしてまで“誰かのときめき”を追いかけてみて評価されなかったら,「相手のせいにする」か,「疲弊していく」のではないかと思います。社会人一年目のボクがそうでした(疲弊)。そう考えていたら,最近の世の中で散々言われている「働き方改革」も“勤労者自身のときめき”が大切なんじゃないかと思うのでした。社会人という立場だからこそ,組織に食われずに,個人(自分自身)を考える重要性を感じました。

●講演終盤/なぜ知的な恋愛ゲームか
…(略),「自分の欲望」・・・。それが知的な恋愛ゲーム,Smartkissにつながっていきます。一言でいうと,私の性癖なんですよね。「知的なイケメンと会話をして楽しかったな~」みたいな(笑)。高校生のときに頭の良い男子に勉強教えてもらって,「いろんなことを知ってる□□くん,めっちゃかっこいい!そして,その会話ができる自分超たのしい!」みたいな。そこに私の性癖があることに気づいて。でも引かれたりしたら嫌だから,そんなの誰にも言えなくて。でも,それを追いかけたいと思ったので,作り始めたんです。
これを「自分のときめき」っていうベースで性癖を追いかけ始めていたら,気づいたら,何ができるようになったかというと,自分の欲望を満たすだけじゃなくて,“大学の学び”っていうのを楽しんで学べる形を作ることができた。「自分の欲望」からはじまったら,また「誰かのため」になっていたという,「学びの入り口」を作れるものにもなっていたんですよね・・・。

●生徒の感想より

★☆話し方がとても上手で驚きました。誰一人寝てなかったこともすごかったです。中3で起業家を志したこともとてもすごいなと思いました。やりたいと思ったことをすぐ行動にうつすこともとてもすごいと思いました。自分で行動することが大切だと学びました(高1女子)。

★☆話を聞いていると,内容が普通ではなかった。何か凄い事に挑戦しようとしている雰囲気があった。自由という考え方が自分と似ていて,お茶飲んだり,サボるなど,素の姿が出ているのが大事だと思った。また,お金の稼ぎ方を分かっているなと思った(高1男子)。

★☆私と1歳しか違わないのに,全然見えてる世界が違うと思いました。色んなことに挑戦していくことがすごくかっこいいです(高2女子)。

北海道新聞の記事より


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