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ドラマや映画のロケ部隊は特権階級なのか?【麻雀関係なし】

こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。

先日、とある飲食店の取材のため、
ぼくと同行の専門家の方ふたりで店の外で他の客に混じって並んで待っていました。
(いったん専門家が抜き打ちで普通の客として食事をし、
その評価をもとにインタビューをする、というテイ。ぼくは実質カメラマン)

すると、細い公道を挟んで向かい側の店内でドラマか映画かなにかのロケが行われるようで、
ロケ部隊が到着し次々と撮影機材が運ばれてきました。

我々が並んでいる細い公道にも機材が容赦なく置かれ、
ほかにもっと置き様があるだろと思いつつも、
まああれはキャスター付きだし以外と簡単に動かせるから車両が来て邪魔になりそうなら動かしてもらえばいいか
と思ってました。


ここまでならまだいいのですが、
機材の移動を終えた撮影スタッフたちが、
3名ほど公道の機材の横で紙タバコを吸い始めたのです。

すぐ目の前に並んでいる僕らがいるにも関わらず、
全員
「あ~、しんどいわ」
みたいな顔をして次々と吸いに来るのです。

最初3名、次1名、次1名。

この時点でぼくの後ろに並んでいた高齢女性二人組が副流煙がすごすぎて咳込んでしまったのですが、
それでも完全に無視して吸い続けていました。

いくらなんでも酷い状況だったので、
堪忍袋の緒が切れた50代くらいの男性が
「さすがに煙いですよ。目の前にこんなに人並んでるのによく平気で吸えますね。あとここ公道だから。路上喫煙だめだから。通報しますよ?」
と喫煙スタッフに注意しました。

注意されたスタッフは謝るわけでもなにか返事するわけでもなく、
死んだ目をしたままタバコの火を消し、
そのままどこかへ行ってしまいました。

ブチ切れていた男性は
「なんとか言えよこの野郎!」
と食って掛かる様子でしたが、
ここで乱闘でもされたら取材ができないと思い、
いまこいつに文句いってもしょうがない、
番組名調べて直接大元にクレーム入れましょう
といってなんとか男性を止めることができました。


さてここから困ったのは、その撮影がなんという作品の撮影なのかそう簡単にわからなかったからです。

普通、撮影スタッフたちは台本もしくは割本っていうのを常に現場では持ち歩いていて、
若いスタッフを探せばだいたい持ってる台本や割本からどの作品なのかがわかります。

ベテランっぽいスタッフは台本カバーみたいなのをつけている人がわりと多いので、
表紙が見えないことが多く、作品名がわかりません。
ただ若いスタッフはまだ台本カバーを持ってない人が多いので、
裸で台本を持っていて、ふとしたときに表紙が見えるみたいなことがけっこうあるのです。

今回もそれを狙って若いスタッフにあたりをつけて台本や割本を持ってないか探してみたのですが、
割本らしきものは表紙が無印で、
台本はみんな同じカバーで表紙を隠されています。

おそらく未発表の作品で、
まだ作品名を公開できないため、
現場でもネタバレ防止のためこのような対策をしているのでしょう。


困り果てながらぼーっと若いスタッフを眺めていると、
おそらく台本に挟んだ香盤表かなにかを見るために台本を開いたところ、
他にも色々資料が挟んであったため重さで資料が落下し、
そのさいに台本カバーも一緒にはずれてしまいました。

慌てて若いスタッフは台本を隠していたのですが、
その一瞬で台本に書いてあるタイトルが見えてしまったのです。

実際、調べるとまだ映像化は発表されていない作品でした。

ただ、次に困るのが、
作品名がわかったとしても、未発表となるとどこにクレームを入れるべきなのか、
ということです。

フジテレビなのか?日テレなのか?
はたまたテレ朝かテレ東か、
みたいなのがあるんですが、
ハッキリ言ってこれはもうわかりません。
そもそもドラマかもしれないし映画かもしれない。
ドラマだったとしても民放ではなくAmazonとかNetflixとかの作品かもしれない。

色々なコネクションを使って配給元とかを調べてもらうしかありません。


結局、ドラマの仕事をしていたときの知り合いからのツテで、
どこのどういう作品なのかわかり、
しっかりクレームをいれさせていただきましたが、
映像作品の制作部隊が未だに時代錯誤な感覚を持っているということに非常にがっかりです。

ぼくが映像業界にいた当時でさえ、
若いスタッフの間では
「テレビだからってこんなやり方が許されるのか?」
みたいな空気があり、
実際に若手とベテランでその感覚の齟齬によるトラブルが多々ありました。

具体的なエピソードはとんでもないものばかりなので言及は避けますが、
すべてが制作サイド側の都合を優先するのです。

例えば、
(当時超絶人気の)◯◯さんが出演するシーンだから一般人の目に触れさせたくないので、
本来まったく不要なところを通行止めにする、とか。

「普段こんな田舎で有名人見れる機会なんてないでしょ。こっちが感謝してほしいくらいだわ」
とか言いながら許可されているエリアの外まで機材を並べたりとか。

可愛いものでいうとこんな感じです。

未だにテレビや映画等をはじめとするいわゆる『芸能界』は力を持っていることは間違いありませんが、
娯楽の多様化により、圧倒的な力を持っていた全盛期に比べるとかなり影響力は落ちてきています。

SNSも成熟し、誰もが「芸能界側」の悪行を簡単に発信できる時代でもあります。


確かに、ロケに行くと野次馬ができ、
有名俳優が現場入りすれば歓声があがり、
いちスタッフにも関わらず、あたかも自分たちも
「あっち側の人間」
であるかのように錯覚してしまうのはよくわかります。

また、辛い真夏のロケで、現場準備が一段落し、
一服したくなる気持ちも大変よくわかります。

ただ、ロケ部隊は特権階級であるわけでもなく、
「ドラマ(映画)の撮影だから」
でなんでも押し通せるほど業界の力はもうありません。

ぼくが業界を離れてからそれなりに長い年月が経っているにもかかわらず、
このあたりのアップデートがなされていない状況に、本当にがっかりしました。

一昔まえ、いわゆるギョーカイ人のまるで特権階級かのような振る舞いがまかり通っていた時代も確かにあります。
ただ今は違って、そんなことは許されません。

いい加減目を覚まして、社会人として適切な立ち居振る舞いをしてほしいところです。


※ちなみに、ドラマや映画の撮影のために公道が通行止めになっているときがありますが、
急いでいて回り道している時間がない、
迂回していたら電車に乗り遅れる、
みたいなときに、合法的にその通行止めを突破する方法があるので、
今度別でどっかに書きます。


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