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Bar Leaves 3

鏡に張り付いていた影が、集中して盛り上がり、何かの形を模索している。

そのときにオーケストラの音程を合わせるようにAの音が立ち上がった。

電子的なA(あー)長く伸ばしている平板な音程。

影は音を合図に、色彩を帯びてきて、水滴のように突然集約され

球体になって鏡面から離れた。

浮き上がったまま小さな電子音に共鳴しているように振動している。


客のいないBarのオーナーはPCのマウスに手をおいたままで、いくつものウィンドウを開いたまま、ぼんやりと画面を見ているだけ。

背面の鏡から飛び出してきた球体は、オーナーの背中にゆっくりと近づいてきている。

「この音なんだろう、やり方がよくわからないんだよなあ」

オーナーは低くぼそぼそとひとりごちる。

タブレットの画面から見えるのは、球体がオーナーに向けて徐々に距離を縮めている光景だ。

頚椎の斜めのカーブに沿って、ゆっくりと上っていく球体。

Aの音が途切れて、またもう一度なりだしたときに

球体はヒュッと音を立ててオーナーの首の後ろで突然かき消えてしまった。

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