見出し画像

地域コンテンツを更新し続けていくこと

会社で管理している施設で、土日続けてのイベント(マルシェ)が行われました。今回は企画、実務ともスタッフに任せて、別事業の対応や企画などに専念しました。10月、11月、12月と3か月続いた怒濤のイベント期間で、今年入ったばかりのスタッフたちも一回り大きくなった気がします。よかった。

私の住む南砺市ではこれから本格的な雪の季節に入るため、これから春までイベントはお休みです。今年実現した事業の振り返りと改善点の洗い出し、来年度の計画作成など、冬の間も実務は山盛りです。でも経営者の私は、実務にばかり手を取られず、そのもっと先を見据えて行動しないといけない立場です。今日もみんながバタバタしているときに、別室でまったく違う事業の話をしていると、「一人だけ悪いなあ」と罪悪感にも襲われますが、そこを乗り越えないと1年後、3年後、5年後の彼ら彼女らの生活を保障するなどとてもままらないのです。経営者とは、常に人とは違う仕事を考えて実現の道筋を立てる存在なのだと日々実感しています。泣き言を言ってないでやるしかありません。

『桜ヶ池ファミリア』というプロジェクトの船出
今年、会社としても個人としても、一番力を入れて取り組んだ事業が、このプロジェクトです。少し長文ですがお読みください。

私の会社は、隣に日本でも有名なアニメーション制作会社(ピーエーワークス)があり、さらにその隣には高速道路のサービスエリア(城端SA)があるという、とても変わった立地の公共施設(南砺市クリエイタープラザ)を管理運営しています。そんな場所で、10年以上かけて取り組む価値のある事業とはなんだろう?といろいろ思案して、そのスタートして実行したのが、このクラウドファンディングでした。なにぶん初めてのことでしたので、2ヶ月間本当に苦労の連続でしたが、おかげさまで目標を大きく上回る支援をいただくことができました。9月には集まったお金で制作した絵本が完成し、10月にはそれを記念した朗読イベントも開催し、長期プロジェクト『桜ヶ池ファミリア』は船出を果たしました。

船出した以上、船長には「荒波の中でも船を沈めず目的地へとたどり着く」という、とても大切な役目があります。このプロジェクトの場合、その核となるコンテンツ、絵本「はじまりの木」の継続的な展開が、その成否を握っています。原案のピーエーワークス堀川社長から「ユニークでダイナミックな物語を絵本の世界で描きたいんだ」という話をいただいたとき、私の会社で発行を引き受けようと思ったのも、これはこの地域にいる自分たちの手でやりたい、やるべきだと直感したからでした。だから私はこの絵本をただのコンテンツではなく、「地域コンテンツ」として大切にしていきたいと思っています。

絵本「はじまりの木」は、クラウドファンディングの返礼や、図書館・小学校への寄贈、イベントやショップでの販売などで、残りわずかとなってきました。たくさんの人が手に取ってくださり、ありがたいなあと思うと同時に、絵本の発行元としてはその次の展開を考える必要があります。間違っても「最初に印刷した分を売り切って終わり」というわけにはいきません。でも巷では、「返本の山を抱えて出版社倒産」「姿を消す街の書店」など、紙の本を取り巻く厳しいニュースがあふれかえっています。そんな中で、物語やプロジェクト、会社のこの先を、絵本というメディアに託す選択をすべきなのか、日々逡巡しています。

この本を読んで、書籍の流通の複雑な事情や困難、それでも本を売ろうとしている人たちの存在を知って、紙の本の裏側の世界をのぞいてみたくなり、他にもいろいろと本を読みあさっています。地域コンテンツを更新し続け、ひろげていくにはなかなか面白そうな世界です(笑)
これからこのプロジェクトのことは、このnoteでも書いていこうと思います。続報をお待ちください。

2012年に、京都から富山県の南砺市城端(なんとしじょうはな)へ移住してきました。地域とコンテンツをつなげて膨らませる事に日々悩みながら取り組んでいます。 Twitter⇒https://twitter.com/PARUS0810