見出し画像

人間関係で大切なことはみんなラウンドワンで教わった 板橋編 2章

※引き続き登場人物は仮名です。

料金を支払うのだから相応のサービスを!

『支配人、出勤早々申し訳ございません・・お客様から苦情を受けまして、お話をした結果、“責任者と話しがしたい”ということでしたので、お願いしてもいいですか??』

(またか・・・)

板橋では、“責任者と話したがる”お客様の対応が非常に多かった・・

「カギがないということはどういうことですか??」
『申し訳ございません・・』
「私たち顧客の私物ですよ!どういう管理をしているのですか!!」
『・・・・』

ボウリングには“会員ロッカー”というものがあります。
毎回自分のボールを持ってくる手間を省く為、お店にあるロッカーにボールなどを補完しておけるシステムです。

仕組みとしましては、受付で会員ロッカー専用のカードを見せてもらいます。
ロッカーのカギはお店で管理しているので、そのカードに書いてある番号のカギをお渡し、お帰りの際、またカギを返してもらうというもの。
今回、このカギをお店側で失くしてしまったとのこと・・

しかしアルバイトの話では、

『カギがいつもと違うところにかかっていて・・それで“ない!!”と思っちゃったんですね・・それをお客様に言ったらすごく怒られて・・』
「で、カギはあったんだよね・・」
『はい・・ありました・・・』

私はお客様に事実をお伝えしました。

『お客様、ご心配をおかけしまして、誠に申し訳ございませんでした・・原因は別のところにカギを補完しておりまして・・カギは問題なくここにございますので・・』

「そんなことを言っているんじゃないんだよ!!どういう管理をしているのか!!ってことなんだよ!ロッカーにはみんな使用者の私物が入っているのだろ!そんなずさんな管理でいいんですか??」

この方は、カギがあるないに関わらず、そもそも安易な管理方法であることに対してお怒りになられておりました・・・

とにかくご指摘が細かい・・

大抵はこのような話をされる方は、中小企業の経営者の方や、中間管理職の方が多い・・(よく名刺交換をするので把握している・・)

ただ、文句を言ってるのではなく、正論を主張されることが多い。
さらには、“こうすればもっといいのに・・”という提案までしてくれる。

以前永井副部長から、
「今はどこも不景気だからな~、たまにある休みくらい羽を伸ばして楽しみたい!しかもお金を払って楽しむんだからな~そらハードル上がるわ・・・」といった“ぼやき”を聞いたことがある。

(そうか・・それだけラウンドワンに期待してくれているんだな!!!)
私は自分自身にそう言い聞かせ、毎回お客様対応にあたりました。

『このような提案をしていただける方は中々お目にかかれないので、ほんとうにありがたいと思っております!!』
と伝えると
「これからも利用したいと思ってるからさ~」
と和やかな雰囲気にもっていけるようにもなりました。

中には、こちらに非がなく、ただ自分の意見を通そうとしたり、ありえない割引を要求されることもありました・・

『お言葉ですが、その対応は致しかねます・・』
本来、こちらの方があとあと揉めたり、大変なように思いますが、私からしてみれば、やることがはっきりしているので対応しやすかったです・・

クレームから一転、仲良しに??!

「支配人!カラオケでトラブルがありまして、お客様が支配人と話しがしたいとお呼びなんですが、来れますか??」
 
『はい!!今向かってまーす!』

カラオケの受付に向かうと、私と同い年くらいの男性がおりました。

『お待たせしました!支配人の谷崎と言います。』
「支配人ね、あのさ、ちょっとこれ見てくれる??」

そこには、何の変哲もないナポリタンが・・・

『ナポリタンですね!!』
「そう!ちょっと食べてよ!!」
『申し訳ございません・・今勤務中なので、食事はご遠慮させていただきます。こちらのナポリタンがどうかされたのですか??』
「味が薄いんだよ!!!」
『う、薄い??!』
「俺ね、他のラウンドワンでも食べてるから知ってるんだけどね!見た目じゃわかんないかも知れないけど!味が薄すぎるんだよ!!!」
『そうだったんですね!!大変申し訳ございませんでした!!』
「でね!あそこの店員に“レシピ通りなの?”って聞いたら、“そうです!”っていうもんだから、腹立ってさ!!!」
『かしこまりました・・私もレシピは知っておりますが、一度正しいレシピを確認した上で改めてお作りしてお持ちしますね!!』
「あぁ!すぐ確認して!!」
『申し訳ございませんでした!!』

キッチンに戻り、作ったアルバイトに確認したところ、入れる水の量を誤って覚えており、本来の2倍の水を入れてしまっていた・・

(そら“薄い”ってなるわな・・・)

「すみません・・私の勘違いで・・」
『いいって、次から気を付けてね。とりあえず、正しい水の量でもう1回作ってもらえる?あとは対応するから!』

『お客様、大変申し訳ございませんでした・・レシピを間違えて覚えてしまっておりました・・』
「やっぱりな!!だから薄いって言ったのに、店員は“そんなわけないですよ”みたいなリアクションだったから!!」
『本当に申し訳ございませんでした・・今回このようなことがありましたが、もし宜しければ、この割引券をお使いください』
「いいの??」
『もちろんです!さきほど“他のラウンドワンにも”とおっしゃってらしたので、この割引券は全店で使えますので、是非ご利用ください!』
「わかった・・・」

後日・・

『支配人を呼んでほしいというお客様がボウリングに来てるのですが・・』
(お客様??このパターンって良いことないんだよな・・)
「おっ支配人!!俺のこと覚えてる??」
『あっお久しぶりです、以前カラオケでご迷惑をおかけしました・・』
「そうそう!今日はね、ボウリングしに来たのよ!この前もらった割引券使おうと思ってね!」
『そうなんですね!!わざわざありがとうございます!!』
「実はおれマイボール持ってて、カラオケよりボウリングで来る方が多いのよ!!」
『そうだったんですね!今後もよろしくお願いします!!』

このお客様とはこのあとも何度もご来店いただくことになります。

『こんにちは!今日は競技会に参加なんですね!!』
「そう、そう!最近忙しくなっちゃってあんまり投げれてないんだけどね・・」
『じゃあリラックスしていきましょう!!!』

そんな他愛もない会話が出来るようになりました。

「支配人・・・いつもいる、メダルゲームの常連さんなんですけど・・なんか掛け持ちプレイされてるみたいで・・」
『木村さんね・・オッケー!声かけてくるから!!』
メダルの常連さんは、メダルを預けていただいている方がほとんどで、お名前もほとんど把握しておりました。
『木村さん、ちょっといいですか??』
「あーん?なんだおめー!!」
『こんにちは!谷崎です!』
「あん?支配人か??!最近全然当たんねーんだけど、どうしてくれるんだよ!!」

メダル常連の木村さん、アルバイトの中では“キムさん”と呼ばれてる、超常連さん。
いつも、“スターホース”という競走馬育成ゲームをご利用されている方。

(この人家あるの??)というような服装と汚れ方。
でも地元では少し有名な八百屋さん。
他の常連さん同士では、“八百屋”とも呼ばれている。

『木村さん、あっちの席も確保してません??』
「あん??別にいいだろ!!混んでねーんだから!!!」
『いやいや、お店のルールですから!!』
「うるせーな!!前の支配人は見逃してくれてたぞ!!」
(んなアホな・・)
『私はダメです!見逃しません!!』
「わかったよ!!」

木村さん、言い方は乱暴ですが、話せばわかってくれる方。

「またキムさんかよ・・・」
しかしアルバイトはみんな木村さんの対応には拒否反応を示しておりました。

『支配人、木村さんが呼んでまーす』
「はい!行きまーす!!」
結果、私がよく木村さんと話をすることに・・

『もう・・木村さん・・メダルは人にあげても、もらってもいけません!!』
「そんなの初めて聞いたわ!!」
『そんなことしてたら、うちのメダル使えなくなりますよ!!』
「わかったよ!!」

話をするうちに、自然と私もガンガン言えるようになっておりました。

そしてある日、アミューズの女性アルバイトが、大きな袋に入った大量のみかんを事務所に持ってきました。
『何コレ・・すごい量・・・』
「支配人・・いつもメダルゲームやってる常連のおじさんからもらいました・・」
『えっもしかして木村さんじゃね・・・八百屋らしいし・・』

『木村さん・・もしかしてうちのアルバイトにみかんを・・・』
「おーあげたよ!!いつも一生懸命働いてるから!“お疲れさん”って」
『あの・・ありがたいのですが、基本いただきものはお断りを・・』
「かてーこというなって!!」
しょうがないので、その日いたアルバイトや社員みんなで持ち帰ることに。

「支配人、この前のおじさんから、“今度は何がいい?”って聞かれたんですけど、どうしたらいいですか??」
(まずいな・・なんか味しめてきたか・・・)
『・・・そしたら、“ドラゴンフルーツ”って言っときな!』
「ど、ドラゴンフルーツ??」
『市場にはあんまり出回らない南国の果物だよ!もうドラゴンフルーツしかもらいませんってしておけば、木村さんも“無理”ってなるでしょ!!』
「なるほど・・」

すると・・

「支配人・・・」
『木村さん!!マジかよ!!!』
「“ドラコンフルーツはないけど”って言って・・・」
今度は大量のマンゴーの差し入れでした。
これにはちょっとテンション上がった。(やるな!木村さん!)

「あと木村さんが、“これを支配人に”って」
それは台車の乗って運ばれてきました・・
『えっ!??』
スーパーでは見たことがないほど大きなスイカが台車に乗っておりました。
「木村さんが、“支配人にはいつも世話になってるから!”って」
『いやいや、ただ世間話してるだけだし・・っていうか木村さんがルールを守らないから話をしてるだけで・・』

このビックサイズのスイカにつきまして、半分はその日出勤した社員やアルバイトでいただき、もう半分は私が責任もって、持って帰りました・・
(半分にしても冷蔵庫には収まらなかった・・)

ちなみに言っておきますが、木村さんに対する忖度は一切していない!!

番外編(ヤンキーが減った??)

もう1つ私が驚いたこと、ヤンキーがいないんです・・

というのは、
(柄の悪そうな連中だな・・)
一目でそうわかる若者が圧倒的に少ない。
(まぁ0人ではないですけどね・・)

「社員さーん、未成年の喫煙がありまして、何度か注意してるのですが、隠れて吸ってます・・」
『了解です!あとの対応はしますね!』
そう言って対応に行くと、驚くほど見た目が普通の子・・・
『えーっと、きみかな・・喫煙してたのは??』
「あ・・はい・・・・」
(受け答えも普通・・)
『きみのプライベートは自由かも知れないけど、ここは公共の場だから、公共のルールは守ってもらわないとね!』
「あ・・はい・・・・すいません・・」
と答えるものの、また隠れて喫煙・・・
はい!イタチごっこのはじまり~♬

(社会のルールを守れない者に制裁を!!)
ということで、お帰りいただくような対応を取ってました。
しかし、これは臭いものに蓋をしているだけで、何の解決にもなっていない・・・
ではどうしたらいいのか・・・・
今後の課題となっていきます・・

続く・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?