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人間関係で大切なことはみんなラウンドワンで教わった 入間編

※引き続き登場人物は仮名です。

ついに起きた?!大量○○・・

 『田浦くんって休みの日何してんの??』
 「自分ですか・・そうですね・・あんまお金を使いたくないので、家にいることが多いですね・・」
 『そうなんだ・・今一人暮らしだよね!』
 「はい・・」
 『ごはんはどうしてるの??』
 「実家から米は送られてくるので、おかずだけ自分で用意してます・・」
 『何食べてるの?』
 「何って・・普通に玉子焼きとか・・」
 『そうなんだ・・ちなみにさ玉子焼きにはハムいれる?』
 「入れないです・・」
 『そっか!入れたら、また味がばけるぞ!!あとさ、半熟にしてさ、マヨネーズかけてもいいぞ!!!今度試してみな!!!』
 「は、はい・・・」

 『山城くんは、部活なに??』
 「野球部だったんですけど、夏前に辞めました・・」
 『マジか・・もったいない・・どうして辞めちゃったの??』
 「肘壊しちゃって・・どうせ高校で野球は辞めようと思ってたので・・」
 『そっか・・それはきついな・・でもさ!裏方とかあるじゃん!!せっかくの高校生活さ、最後までやっても良かったんじゃない??』
 「そ、そうですよね・・」
 『じゃあ今度はパワプロでストレス発散だな!!』
 「・・・・」
 『いやいや、ここは突っ込むところだから!!』
 「は、はい・・・」

 (うーん・・・みんなどこかよそよそしい・・)

 無頓着な私でも感じる・・

 (こいつら・・まるで本音を言ってない・・・)

 『休みの日何してる??』
 『部活は何??』
 『昨日の○○見た??』

 そもそも私のコミュニケーションにも問題がある・・
 完全に私自身に寄せた質問ばかり、自分の都合で質問して、無理やり自分のフィールドに連れ込み、結局自分の話をしてしまう・・

 “コミュニケーションは上手!”は単なる私の自己概念でした。

 学生時代から明るい性格だった私は、いろんな人たちとコミュニケーションを取ってきた、そんな経験から、“コミュニケーションは上手”と自分では思っていた。

 しかし、私が上手なのは、“コミュニケーション”ではなく、“おしゃべり”であることに気付いていく・・

 社会人として必要なコミュニケーションは全く出来ない・・

 特に、社員とアルバイトといった、横ではなく、縦の関係。それでも私は“横”の関係で居たいと思っていたが、“立場”がそうさせてくれない・・

 私は“横”だと思い、話しをしても、相手は“縦”と認識している。馴れ馴れしくなる分“偉そう”に感じさせてしまうのかも知れないと思っていました・・

 夏休みが終わり、9月に入った頃でした。

 “谷崎さん・・もう私シフトに入りたくありません・・我慢の限界です!!!”

 私の携帯に一通のメールが届きました。
 ※今は禁止されているが、当時はシフト交渉が出来るようにアルバイトたちとアドレス交換をしていた。

 送り主は、渡会さん。
 オープニングから一緒にがんばってきた女性アルバイト。

 以前、上尾の吉野支配人から“彼女の接客はいいね”と言われたあの渡会さんでした。

 “何があったの?” と返信すると、

 “一緒にシフト入ってる男子たちがほとんど仕事してくれません・・何もやってないのに、チェック表にチェックだけしたり・・社員が来たら教えてって言って、ゲームコーナーで遊んだり・・好き勝手しすぎです!!!”

 衝撃的な内容でした・・・

 “教えてくれてありがとう・・渡会さんには辞めてほしくないと思ってる!その一緒に入ってる子たちに話しを聞いて、こっちで責任もって対応するから!!”

 “お願いします・・”とだけ返信がありました。

 私はその日は公休でした。

 サボってる子たちも私の留守を狙ってそうしていたのだろう・・

 そう思うとどんどんイライラしてくる・・・
 でもキレちゃだめだ!
 せっかく渡会さんが勇気を持って教えてくれたことだ!絶対に無駄にしちゃいけない!

 私はサボってたアルバイトをどうするかより、“渡会さんを絶対に辞めさせちゃいけない!”
 と思ってました。

 “正直者が馬鹿を見る環境にしない!”
 板橋で学んだ、田成支配人の言葉が自然と浮かび、私を冷静にしてくれていた。

 『支配人・・・このメール見てもらっていいですか?』
 私はすぐに小山田支配人に報告した。
 「わかった・・で、たにーはどうすんの??」
 『面談します!』
 シフト表を見れば、該当のアルバイトは一目瞭然、目星はついておりました。
 「最初に渡会ちゃんと話をするんだよ!彼女を辞めさせちゃだめだからね!」
 『わかりました!』
 「まずは、“教えてくれてありがとう!これを機会に絶対に良いお店にしていくからね!!”っていう思いをしっかり伝えること!」
 『わかりました!!』
 
 私は、小山田支配人と、先輩社員の厚木さんから、“尋問技術”伝授いただきます。
 「谷崎くんね、君は自分の話ばかりしてしまう傾向がある、相手が沈黙している時は、こちらも沈黙、これが鉄則よ!」
 さすが厚木さん、私の傾向をしっかり把握されている!!

 『すいません・・谷崎さん・・もっと早く言えばよかったのに・・』
 「全然いいよ!教えてくれてありがとう!絶対いいお店にしていくから!!」
 『わたし、ラウンドワンの仕事も、スポッチャの仕事も好きだから、このまま続けていきたいです。あとみんなと仲良くやっていきたい・・』
 渡会さんは涙ながらに話してくれた・・
 
 (絶対に解決させる!!!)
 私も強い決意をもって、対象のアルバイトたちと面談することになる。

 「何で、こうやって話をすることになったかわかる??」
 『いや・・わかんないです・・』
 「俺がいないときにさ・・だいぶスポッチャをただで利用していたみたいだね・・」
 『なんのことですか??』
 「あのね・・全部知ってるから!!俺が言う?自分で言う?正直に話しをしないなら、このあと支配人と話しをすることになるけど・・」
 『・・・・すいません・・・サボってました・・』
 「そうだよね・・何してなの??」
 『ゲーム機で遊んだり・・卓球で○○と遊んだり・・』
 「他には・・」
 『バッティングもしました・・』
 「他には・・」
 『他・・・あったかな・・・』
 「ポジション表には“清掃指示”が出てたよね・・」
 『あっ・・すいません・・チェックだけしてました・・』
 「そうか・・」
 (受け入れたくないが・・これが現実か・・・・) 

 『俺・・クビですか??』
 「それは支配人と決めることだから!でもきみが今後もがんばりたい!!って思ってるなら、俺から支配人にその気持ちは伝えるけど・・」
 『はい・・がんばりたいです!!』
 「わかった!その気持ちは支配人に伝える!今後どうなるか、決まり次第お伝えします。」
 『わかりました・・』

 その後、彼が出勤することはありませんでした・・・

 私が面談したのは、総勢9名。
 うち、支配人に“続けさせてください!”と直談判し、残ったアルバイトは2名。
 残り7名は全員退職となった・・

 シフトに穴があき、多方面からヘルプをいただき、なんとか乗り越えていきますが、当時のアルバイトさんたちに多大な迷惑をかけたのは言うまでもない・・

 『あいつら、辞めたんすね・・仕事してなかったもんな・・』
 『私も何度か注意したんですけどね~ダメでしたか・・』

 どうやら残ったアルバイトたちはみんな彼らの素性を知っていたようでした・・知らなかったのは私たち社員だけ・・

 それでも辞めていったアルバイトたちは、決して悪くない!!

 悪いのは、そんな環境にしてしまった私だ!

 『たにーさ、辞めていった子はもうしょうがないよ・・今は、残ってくれたアルバイトたちの為に、何が出来るかを考えようね!私もこれから、面接採用して、新人さんをスポッチャに投入するからさ!!』

 小山田支配人からやさしい言葉に、私はただ涙するだけでした・・・

 ちなみに渡会さんは残留してくれた・・(本当に良かった・・)

続く・・

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