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人間関係で大切なことはみんなラウンドワンで教わった 板橋編 2章

※引き続き登場人物は仮名です。

自分への暗示

私が板橋に来て1年半が経過したでしょうか・・

この間に、“ダイバーシティ東京プラザ店”がオープン!お台場駅から徒歩で行くことが出来るところ。当然ながらテレビでも多数取り上げられ、ラウンドワンの知名度がさらに上がっていきました。

その後、“池袋店”もオープン!
サンシャイン通り沿いにあり、こちらも相当な売上が見込める店舗でした。

板橋店は、“都内にある唯一のスポッチャ店舗”として人気を博しておりましが、もうすでに上位互換であるお台場が存在し、さらには、最も近いお店が池袋店という環境となります。

この2つは板橋店にとって非常に大きな向かい風となりました・・・

ただ、“お台場と池袋の影響”を売上ダウンのせいに出来たことは、助かりましたが・・

“売上ダウン”という事実は、事実です・・
毎月、本社から全店舗の売上昨年対比表が送れてくるのですが、いつも最下層に“板橋”の名前がありました・・

無くなることのないプレッシャーを毎日受けながら、私自身は、変わらず“オラオラ”制裁が続く。
(これこそがトンネルを抜ける唯一の方法なのだ!!)
と自分に言い聞かせながら・・

しかし、うまくいっていないことは肌でも感じる・・

着任し2年間、私はデビル化、唯一の長所である“元気”は全くなくなり、お店の売上はどんどん下がっていく・・アルバイトは辞めていく・・

最悪な環境(店もデビル化)になっていく・・

当時(今も?)、“プロセス監査”という各店舗の環境を抜き打ちでチェックする社内の仕組みがありました。

会社の役員が、決まった期間、抜き打ちで店舗を巡回、接客・環境・企画推進などの項目があり、部門ごとに点数をつける。

その合計点が高い順にS・A・B・C・Dとランク付けされ、半年に一度のボーナスの金額に反映されていく。

“板橋は繁忙店だから”と少し甘く見てもらっているのは十分承知でしたが、それでもギリギリのC判定・・・

はっきり言って、D判定でもおかしくない状態でした・・・

(店にはいかないと!!)
私は、“出勤する!”ということだけは何とか出来るようにと奮闘しました。
毎日吐き気を催しながら、それでもなんとかギリギリの状態で持ちこたえておりました・・

私にとって救いだったのは、お店から当時の住まいが近かったこと。
(店から車で5分)

私は1時間の休憩時間の大半は帰宅しておりました。
家に戻り、1歳になる娘の顔を見て、“よし!がんばろう!!”と鼓舞、そして店に戻る。

あの娘と一緒にいる時間がなかったら、私のラウンドワン人生はあそこで終わっていたかも知れません・・・

そして、以前記したように、上司や社員の異動があり、私の取り巻く環境が変わっていく。

すでに2年が経過・・
ラウンドワンの社員は“2年”が1つの目安であると考えておりました。

社宅の期限が切れることや、1つのお店に長く居すぎると正常異常が判断が鈍るなど。

(もっと優秀な支配人が板橋をやれば・・)
私は淡い期待をしておりました・・

しかし、もうすでに出店ラッシュにひと段落していたラウンドワンは、全体として異動が減少傾向にありました。

以前は1年間で3度も異動をしてきたのに・・・

何の因果か・・私は板橋に居続けます。

“あなたにしかこのお店が任せらない!!”
そう天からの声を聞くこともあれば、

“責任もってやり抜きなさい!!”
とも聞こえるときもあった・・・


自分の強みをどのように活かしていくか

3年目以降、お店にも慣れてきたことや、“オラオラ”する元気もなくなり、お店の運営は穏やかになっていきました・・

『どーも!エリアマネージャーの田成です!』
「お久しぶりです!!!!」

かつて板橋店の支配人であった田成さんが、エリアマネージャーとして着任しました。

『支配人、ちょっと話しようか!』
「ありがとうございます!!!」

田成支配人は真っ先に私と面談の時間を作ってくれた。

そして私は、田成支配人の質問に回答していきました。

すると・・

『谷崎!おまえ、どうしたんだよ!!』
「えっ・・」
『おまえが今答えたこと、そりゃ全部そうだと思うよ!どれも模範解答のように正確だよ!!』
「だ、ダメですか・・・」
『いやさ・・おまえの良さってどこ行ったんだよ・・』
「・・・・」

そう、私の良さは“元気”・・だと思ってました。
私は、元気にオラオラやってうまくいかない経験を痛いほどしてきました・・
「良さって言われましても、支配人には“元気良さ”はいらないみたいなので・・今は封印しているというか・・・」
『何言ってんだよ!!もういい加減目覚ませよ!!!』
「!??」
『おまえは何で支配人になれたんだよ!!“元気”だけで支配人にはなれねーよ!!!どんなところを評価されてきたのか、もっと自分自身の強みは何か考えてみろよ!!!』
「そ、そうですね・・・」

“目覚ませよ!!”
田成エリマネのこの言葉にすごく熱いものを感じました。

板橋に来て失敗を繰り返してきた私は、

“怒られないように” と

全て上司の望むことを想定し、行動・発言してきました・・

『そりゃ、板橋は大変だよ・・お台場や池袋が出来て、来場・売上が下がったと言っても、板橋特有の難しさがあることは、俺が一番よく知ってるよ!!いろんな問題があるのも知ってる!でもな、この店の舵を取るのはおまえなんだよ!!』
「は、はい・・」
『おまえがやりたいことは何なんだよ!!!』

田成支配人の頃が甦ってくる・・

“モデル店舗”・・・・

「モデル店舗にしたいです!!!」
着任当初の思いが甦る!

『じゃあその為に何する???』
「・・まずはクレームを・・」
『クレーム・・?』
「はい・・クレームメールが毎日のように届くので、クレームメールをなくしていきたいです!!」
『おまえがそうしたいなら、やってみようぜ!!!』
「はい!!!」

懐かしい感覚・・もう数年間味わっていなかった感覚・・

“やってみようぜ!!”
板橋に来てから、何をするにも否定され続けてきました。

人から肯定される・・

こんなにもうれしいことなのか・・
まだ何も結果を出してませんが、何か認めてもらったような気持ちになりました。

“目指せクレーム0件”
スローガンを掲示し、社員とアルバイトにも情報を共有。
過去に発生したクレームやトラブルなども出来るだけ共有、
“同じ過ちを繰り返さない!”ということで強化していきました。

私の強み・・

他の支配人にはないもの・・
それは、“新店立上げの経験数”でした。

“俺は誰よりも新店を経験している!”
そして、研修力なら、他の支配人にも負けない!!という自信がありました。
これを活かし、社員にはオペレーションの研修の仕方を教え、アルバイトには挨拶・接客の再研修をしていきました。

田成エリアマネージャーが着任し、最初の繁忙期、年末年始です。

目標を達成する為には、最初にして最難関となる期間でした・・

『この店さ・・のっけから不快なんだよね・・・』
田成エリアマネージャーがぼやく・・
「どういうことですか??」
『入口がいっぱいあってさ・・まずどうやって行けばいいか分からなくて不快だろ!!あとさ!カラオケに行くのに、4Fに行ってから階段で3Fに・・とかって普通あり得ないからね・・』
「たしかにそうですね・・あとは他のお店だと、入口からすぐアミューズメントかカラオケのフロントがあって、大抵は従業員が配置されてますね・・」
『そうなんだよな・・何より人がいねーんだよな・・』
(そうか!!)
「エリマネ!!ちょっと考えてみます!!なんとかなるかも知れません!!」
『わ、わかった・・』

この年末年始期間、もっとも混雑が予想される、10時から15時の間、今まで無人だった入口に人員を配置しました。

「山中さん!ここはインフォメーションだと思っててね!いらっしゃったお客様に笑顔で挨拶する、お客様には“本日はどちらをご利用でしょうか?”って聞く、わからない方がいたら、“エレベーターで〇階までお上がりください”って伝えよう!」
『はい!わかりました!!』
「よし!じゃあ少し練習ね!私がお客様役としてくるからやってみて!」
『わかりました!!』

こうして何度か練習をしておく!

「挨拶ばっちり!!!あとこのアミューズメントで遊べる“体験チケット”も一緒に配ってどんどんアミューズメントにお客様を流していこう!!!」
『わかりました!!』

これはめちゃめちゃうまくいった!!

「いらっしゃいませー!!本日はどちらへ・・あっスポッチャですね!!そうしましたらエレベーターで6階までお上がりくださーい!!いってらっしゃーい!!」

すごく元気の良いご案内、そしてお客様のワクワクした表情、お店に入ってすぐ感じる活気、どれも最高でした。

そしてアミューズメントで使えるUFOキャッチャー体験チケットを配布してますので、どんどんアミューズメントにお客様が流れていく!!

おかげさまでUFOキャッチャーの売上におきまして、昨年の売上を超えることが出来ました!!

そして、この年末年始期間、なんとクレームメール0件!!

さらにこの記録は5月のゴールデンウィークも継続していくことになります。
ほぼ毎日にようにもらっていたクレームメールが突然0更新!!
何かの間違いか?!
ネットに接続されていない・・いやそんなことない・・じゃあ事実だ!!

やれば出来るんだ!!!

“自分の強みは何か?それをどう活かすか??”

長いトンネルに少し光が射し込むように思えるようになりました。

アルバイトが社員へ


田成エリアマネージャーはその後、すぐ本社に引き抜かれてしまいます・・

板橋店を立上げた時は私が3ヵ月で異動、そして今回は田成エリマネが・・どちらも短い期間でしたが、私にとってはすごく濃厚な期間。

田成さんは、いつも考えさせてくれる、自分の意見を尊重してくれる、“俺だったらこうする”という手本をみせてくれる。そんな方でした。

(俺もリーダーになるならこんなリーダーに!!!)

そう思い、少しづつ元気が戻ってきた頃でした。

『支配人!ラウンドワンから内定もらいました!』
「マジで!!!すごいじゃん!!おめでとう!!」
『実は、僕だけじゃないんですよ・・』
「他にもいるの??」
『はい!あと山中さんと奥野くんと西山田くんです!』

なんと板橋店所属のアルバイト4人が揃って新卒採用の内定をもらったというのだ!!!

『みんなうちに入社すんの??』
「みんなはわからないですけど、僕はそのつもりです!!」
『そうか!!まぁアルバイトと社員は少しやることが違うけど、伊藤くんなら問題ないよ!!』
「ありがとうございます!!ちなみに今のうちに何かやっておくこととかありますか?」
『うーん・・そうだな・・特にないかな・・』
「えっないんですか?!」
『そう!ない!!社員のことは社員になってから考えたらいいから!!』
「わかりました!!」
『最後の学生生活、存分に楽しんでおきな~』
「ありがとうございます!!」

“社員のことは社員になってから・・”
なんとなく出てきた言葉でした。

私は学生気分が抜けずに苦しみました・・
これまで入社してきた新卒には“学生気分”が残っていたら厳しく接してきました・・

なのになぜ・・
だからこそなのかも知れません・・

社員になれば勝手に自覚するようになる。
そうならない子は誰が言ってもならない・・

“他人は変えられない”

変わるその時を待つだけ・・

いろんな失敗を繰り返してきたからこそ辿り着いた言葉でした。

伊藤くんと西山田くんは、高校卒業直後、山中さんはそのすぐあと、奥野くんは少し遅れて大学2年生頃から、

4人全員、私が、面接をして、採用して、研修して、そして成長してきた子たち。

そんな子たちが、大学4年間を経て、数多とある会社の中から、“ラウンドワン”を選択したのでした。

私たち社員の働いてる姿を、少なからず共感してくれたからこそだと思いました。

“教え子”が同じ道を選んでくれる。

こんなにうれしいことはありません!!

結果、4人全員、入社することになります。
(今もどこかで働いているんだろうなぁ)

続く・・

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