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人間関係で大切なことはみんなラウンドワンで教わった 板橋編 2章

※引き続き登場人物は仮名です。

やる気100点

『谷崎支配人!お久しぶりです!』
「久しぶり!まだ続けてくれてたんだね!よろしくね!」
(そこそこ知ってるアルバイトいるな~)

『支配人、今後よろしくお願いします!』
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
(頼もしい社員が多い!)

約6年ぶりに板橋店へ戻ってきました。
相変わらず、土日は忙しい・・はっきり言って前橋の比ではない・・そもそも人の数が違う・・

板橋店の異動に伴い、私はお店から車で5分程度のところのアパートを“社宅”として借りておりました。

借りる際、不動産屋さんと最寄駅で待ち合わせしていた時のことです。

『やっぱり東京はすごいな!!こんなに人が行き来しているのか?!』
「谷崎さんですね!では早速、物件を見に行きましょう!」
『いや~やっぱり人の多さがすごいですね!!』
「そ、そうですか・・」
『だって、ほら!この駅の利用者の数・・・』
「・・・この駅はまだまだ・・・というか全然規模は小さいですよ・・」
『・・・そうなんですか・・・・』

埼玉で約2年、群馬で4年過ごした私にとって、東京はもう別世界になっておりました。

さらに、

『今日平日だよね・・スポッチャめっちゃ混んでるけど・・学校がお休みなのかな・・』
「もう正直読めません・・開校記念日だったり、土曜日に何かイベントがあったりすると、平日のどこかが振替休日になるので・・」
『平日という概念はあんまり考えない方がいいかもな・・』

私が引き継いだのは2月頃、後からわかったことですが、この頃、近隣の私立学校は受験シーズン、受験日の前後は学校がお休みになる為、毎日振替休日のような状態になっておりました。

 “板橋店をモデル店舗にする!”

 板橋店グランドオープンする時、田成支配人が公言した目標です。

 もちろん私は忘れてはいませんでした。

 “板橋店をモデル店舗へ!!”
 
 私はそう意気込んで、板橋店の支配人としてスタートを切ります!

 (オープニングのアルバイトはそこそこ残ってる!それ以外のアルバイトたちも決して悪くない!)

 お店で最も影響力のあるアルバイトは、キャリアが長いアルバイト、いわゆる“古株”のアルバイトです。
 私は、そんな“古株”アルバイトをオープンから知っているということを強みと感じておりました。そして、各部門ごと、中心となるアルバイトたちはみんな接客も上手で、前向きな人ばかり!

 そして、そのアルバイトたちを束ねる、社員たち。
 高稼働なお店で鍛えられただけあり、どの部門の社員たちも、お店全体を見ようと意識的に動ける!!

 (これは本当にモデル店舗に出来るぞ!!!)

 しかしそれは夢物語となっていきます・・・

合わない上司

 “部下は上司を選べない・・・だから上司は部下のことを思ってあげないとな!”

 以前お世話になった山野寺支配人の言葉です。

 まさに私も上司を選べないことにより、大きな試練を与えられます。

 『支配人・・これどうなってるの??』
 「・・・すいません・・把握してません・・」
 『支配人、指示したやつ、あれもう終わってるの??』
 「いえ・・まだです・・」
 『支配人、副部長からメール来とったけど、確認した??』
 「何ですか??そのメールって」
 
 私が着任した時のエリアマネージャー、小久保次長。
 
 私はこの方に完全にメンタルを崩壊させられます・・・

 『支配人が現場見ないでどうすんの??』
 『支配人・・お店が回ってないですよ・・』
 『支配人、これ報告まだですよね・・いつやんの??』

 「す、すいません・・・」

 私は毎回謝罪しか返答できず・・終いには・・
 『全然出来てねーじゃん!!』
 『おまえにはこの店無理だわ・・』
 『もう降りろよ(やめろよ)』

 今ではパ〇ハラになるような、オラオラ系指導を毎日のように受けます。

 『支配人・・本社からこんなメール来てんだけど・・どうせやってねーと思うから、明日出勤したらすぐにやれよ!!』
 
 など・・休みの日もお構いなしで電話が鳴った・・

 久保田次長は、支配人時代に数々の成果を出し続け、当時在籍していた支配人の中では文句なしでトップの成績を収め、エリアマネージャーへ昇格。

 エリアマネージャー後も、数々のお店の売上を伸ばしてきたすごい方。

 サラリーマンとしてあるべき姿、“結果を出す社員”でした。

 こんなすごい方の部下になれるんだ!どうやって結果出しているのだろうか。

 そうワクワクしていたのは、ほんのはじめだけ・・

 特に辛かったのは、インカムを通して叱責されることでした。
 インカムというは、小型のトランシーバーで、館内のアルバイトが共有して持ってます。特徴は装着している全員がその会話を聞けるということ。

 久保田次長は、わざとなのか、その方が手っ取り早いからなのか、
 『支配人、出来てないんですけど・・』とインカムで何度も叱責を受けました。

 何が辛いって、一緒に働く仲間たちに、
 『うちの支配人、またエリマネに怒られてる・・大丈夫かな・・』と不安にさせてしまうことでした・・

 私が出来ない・・力不足・・・そんなことはどうでもいい!!

 せめて、アルバイトさんたちには、不安なく気持ちよく働いてほしい!
 そう思っていました・・・

 俺は前橋で何をしてきたのか・・ただ支配人の業務をやってただけ・・
 “支配人担当”をする一般社員だったのでは??と自暴自棄に陥ります。
 
 たしかに、どうすれば利益が上がるのか?どうすれば問題が解決するのか?
 今まで、そういったところにはほとんど着手してきませんでした・・

 私の力不足・・もうしょうがないことです・・
 
 そうだ!俺はこれまで、“今出来ること”を一生懸命やってきた!!

 目の前の問題を1つ1つ解決していこう!!

 しかし、久保田次長には通用しませんでした・・・

 『おまえ、えらい残業してるな!!今までは大目に見てやってたけど、もう許さん!次からは残業するなら俺に理由を説明しろ!』
 これは別名、“もう残業するな”ってことでした。

 それでも、私は久保田次長との関係を深めていきたいと思ってました。

 当時、久保田次長は、ダイエットをしていたのか、低カロリーな食事を意識されてました。

 『次長!寒天ゼリーですか??!カロリーゼロなんですね!!』

 と声をかけると・・・死んだ魚のような目で私を見て、

 「そんなのええから・・現場行け!!」
 『は・・はい・・・・』

 これは今でも強烈に記憶しております・・

 (おかしいな・・俺はコミュニケーション不足でアルバイトとの関係が崩れてしまった・・だから積極的にコミュニケーションを取ろうと思っただけなのに・・)

 今までも毎日ように他の上司の方から怒られることはありました・・・

 その指導の中には、

 “良いお店にしたいから!!”
 “おまえには成長してもらいたいから”

 そんな思いが伝わってきたので、私もがんばることが出来ました。

 (でもこの人に愛情なんてもんはない・・大事なのは結果なんだ・・)

 非常に些細なことかも知れません、この機を境に私は彼に対して心を閉ざすようになります。

 “東京を甘く見るな!おまえにはもっともっと成長してほしい”って思ってくれていたのかも知れない・・
 あるいは、本社から私の予想をはるかに超えた成果に対するプレッシャーを彼自身が請け負っていたのかも知れない・・

 今となってはわかりません・・

 『今の僕では、通用しないので、力を貸してください!!』
 
 『僕一人では無理です!一緒にやってもらえませんか!!!』
 
 となぜあの時言えなかったのか・・
 上尾で学んだ“助けてください!”という悲鳴をなぜあげることが出来なかったのか・・

 結果、私だけでなく、一緒に働く仲間やご利用されるお客様、関わる多くの方々にご迷惑をおかけすることになっていきます・・・

 もうすでに、考えるなんて余裕はなかったのかも知れません・・
 さらに、時間の縛りがあり、その中で結果も出さないといけない・・・

 取るべき手段はもうほとんどありませんでした・・・

やり方0点

 『受付で本当に案内出来てるか??』
 「すいません・・100%は出来ていないですね・・」
 『100%やろうぜ!!』

 『ここもここもあそこも・・汚いから・・・掃除しましょう!』
 『今の!!!全然お声がけ出来ないから!!』
 手段その1、指摘から指示。
 とにかくアルバイトのオペレーションを確認し、出来ていないところを指摘しまくり、社員へ改善の指示を出す!
 『今日もいっぱい指摘するからね~』と半笑いでフロアを回る。
 いっぱい指摘したメモをその後社員へ渡し、
 「マジっすか・・」というリアクションを聞いて、仕事をしてる実感を得ておりました。

 

 『今日は何件取れてる??』
 『今の売上はいくら??』
 『手が空いたら掃除して!!!』
 手段その2、口数を増やす。
 “合言葉”のごとく、毎日、毎時間、確認をする。過去にも、“口数を増やす”ことは、成果あげる具体的なアクションプランとされておりました。
さらに、いくつかのお店の成功事例としても紹介されいたので、私は何1つ疑うことなく、“実行”を続けます。
私の口数を増やせば、アルバイトたちはきっと意識してくれる!!“やらないと!!”って思ってくれる!!そう願って、ガンガン口数を増やしておりました!

 

 『あれだけ言ってるのに出来ない・・はぁ(溜息)』
 『じゃあどうすんの??』
 『いいからさ!!言われたことやろうぜ!!!(怒)』
 手段その3、嫌味発言・圧力をかける。
 私自身が痛い目を見た、“オラオラ”を多用していきます。

 『マジで?そんなことも教えてもらってないの??』
 『そんなはずないでしょ・・』
 
 私は、これをアルバイトさんたちにも多用します・・

 結果が出ないのは、正しいオペレーションをしないアルバイトのせいであり、それを落とし込んでいない社員のせい!
 でも一番は俺の関与不足だから、もっともっと、関与して!指摘して!声かけていこう!!!

 するとどうなったか・・・

 “板橋店をモデル店舗へ!!”

 モデルどころかデビルになっていきます・・

続く・・


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