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人間関係で大切なことはみんなラウンドワンで教わった 前橋編

※引き続き登場人物は仮名です。

今までの失敗を糧に!

 『大嶋くん、いいかな、“人・物・金の管理”の中で一番大事なのって何だと思う??』
 「どれも大事っすね・・“金”かな・・」
 『なるほど!何で“金”だと思う?』
 「お金がないと、人も雇えないし・・物も買えないから・・かな・・」
 (こいつ!中々するどい!!)
 『たしかにそれもあるね!でも俺は“人”だと思ってる!それは・・』

 私は入間で失敗した経緯、それまでうまくいったこと、それらすべてにおいて“人”が絡んでいることを熱弁した。

 「わかりました!じゃあサボらないように確認していくってことですね!!」
 (うーん・・ちょっと違いような気がする・・)
 『ちょっと極端だな・・俺はお互い“約束が守れている”かが大事だと思ってる!“約束”って何かわかる?』
 「例えば、アルバイトさんから“コレ発注してください”って言われたら、発注するとかですか?」
 『まぁ、そんなところだね!あとは、“やる!”って答えたらやるし、“やらない!”って答えたらやらない・・とかね。』

 私は今まで、“やるやる詐欺”をしてきた社員さんを身近で何人も見てきた・・そして私もその中の一人だ・・

 「谷崎さん、この前お願いしてたやつどうなりました??」
 『お願いしてたやつ??』
 「えー!!言ったじゃないですか!!」
 『ごめーん!忘れてた!!!』

 我々社員にとっては“あるある”かも知れないが、アルバイトさんにとっては違う。
 “ごめーん!忘れた・・”は信頼を失う原因だったのだ・・

 そして解決策も私なりに準備しておりました!

 『大嶋くん、“メモ”ってしてる??』
 「もちろんです!!いつも持ち歩いてます!」
 『ちなみに何に使ってるの?』
 「谷崎さんから指示があったこととか、フロアで教えてもらったこととかを記録してます!」
 『なるほどね!そしたら、アルバイトさんから依頼があったことや、伝達に残すこととかもメモっておくようにしようね!』
 「毎回ですか??!」
 『そうだよ!だって忘れちゃうでしょ・・』
 「た・・たしかに・・」
 『基本さ、俺たちもフロアにいるでしょ、もしくは事務所にいてもさ、電話対応もするし、片方の耳にはインカムつけてるし・・“あとでやろう・・”って頭で覚えていても、数秒後には忘れちゃうってことがざらにあるから!!』
 「そうですね・・わかりました!!」

 『あとね、大嶋くん、俺は前の店のようにしないために、“後追い”と“面談”は必ずやっていこうと思う!オープン後はしばらく忙しくなるから、まずはフロアのフォローがメインになるけど、その中でもアルバイトさんが対応出来てることはインカムで“出来てますよ!”って言ってあげよう!』

 「わかりました!!」

 『面談は、2ヵ月感覚で全員とやるからね!基本俺と被るアルバイトは全員やる!被らないアルバイトは大嶋くんにお願いするから!』
 
 「面談って何やるんですか??」

 『いい質問だね!!またやる時に伝えるけど、大きく3つ。1つ目はオペレーションやお客様対応で曖昧なことない??、2つ目は、今後のシフトに変更はない??、3つ目が次の繁忙期、今回だとゴールデンウィークになるけど、変わらず出勤できる??これらを確認しよう!』

 「わかりました!」

 オープニング準備も終盤に迎えた頃でした。

 『おまえ、だいぶ偉そうに指示出すようになったやん!!』
 「室長!お久しぶりです!!」
 戸井室長の登場だ!!
 今回も複数グランドオープンする店舗があった為、戸井室長は後半からの登場でした。

 『谷崎な、指示を出すのはええんやけど、その後の確認ってちゃんとやってるか??』
 「そうですよね!!僕は入間で痛い目見てるんで、今回はしっかりやっていこうと思ってます!!!」
 『ええ心がけやな!それで確認してどうすんの??』
 「確認して出来てたら、“出来てるね!”と伝えて、出来てなかったらもう一回教えます!」
 『ふーん・・・』
 (なんだ??そのリアクションは・・)

 『谷崎、ええか!!』
 「はい!」
 戸井室長は私の肩に手を回して、耳元でささやいた・・

 『出来てたらな!ごっつい褒めたるんや!“すごいですね!!”って』
 「わかりました!」
 『それを100%おまえができるんやったら、そら立派な支配人になるで!俺が保証したる!!』
 「ありがとうございます!!」

 まだ、NO2社員、支配人なんてまだまだ遠いところと思ってました。

 戸井室長の言葉で、私は“支配人”という立場をより一層意識するようになります。

 (そうか!!出来てたら褒めればいいのか!!俺に出来るのだろうか・・)
 
 厳しく指導を受けてきた私にとって、“褒めて伸ばす”がまだいまいち理解できておりませんでした。

 しかし考えてみれば、今まで出会った尊敬する上司たちはみんな共通して“褒める”を使いこなしている。

 (褒めたら、調子乗るんじゃないかな・・)
 (中途半端な状態で褒めてしまったらそれ以上成長しないんじゃないか・・)
 
 いろんな葛藤がある中、お店はグランドオープンを迎える。

 『・・・・・・』
 「あれ??」

 板橋も、上尾も、入間も、オープン初日は午前中でどこも満席になっていた。

 「支配人・・お客様・・全然来ないっすね・・・」
 『そ、そうだな・・まぁこれからだろう!!』

 その後もお客様は徐々に増えるも、いわゆる普段の土日営業と変わらない稼働で終わってしまった・・・

 『支配人・・私もいろんなお店のオープン見てきましたけど・・前代未聞ですね・・』
 内野エリアマネージャーも苦い表情をしている・・

 『これから、年末年始の営業に入っていくし!それまでにもう少し研修や準備が出来ると思えばいいでしょう!!!』
 「そ、そうですね!!!」

 しかし、年末年始も、まぁそこそこの来場で終わってしまった・・

 唯一不思議だったのは、“稼働が落ちない”ということでした。

 だいたいのお店は、お昼前からじわじわ来場が上がり、14時~15時頃にピークを迎える。そして18時頃、夕飯時に退場ラッシュとなる。

 金曜土曜など、次の日がお休みの日は22時からまた少しづつ来場が増え、24時~25時(深夜1時)頃に再度ピークを迎える。

 前橋店の場合、そういった波がほとんどなく、常にある程度お客様がいらっしゃっていただいている状況でした。

 『おまえがNO2社員という自覚があるんやったら・・』

 内野エリアマネージャーからいただいた言葉を胸に、私は自部門だけでなく、ボウリング・カラオケ・アミューズメントも見て回るよう心がけていました。

 『長岡さん、カラオケのアルバイトさん、みんな暇そうにしてるんでスポッチャの清掃ヘルプとしてお借りしていいですか??』
 「す、すいません・・ちょっと確認してお伝えしますね!」

 『谷崎おまえ・・けっこー言うな・・』
 山野寺支配人はびっくりしていた・・
 それもそのはずでした、なぜなら長岡さんは私より8個くらい年上の方でさらに社歴も私より長いのだから・・
 『はい・・でも本当に暇そうにしてたんで・・』
 
 体育会系出身の私とって、目上の人、そして社歴も上の人に対して物申すことは、すごく勇気のいることであり、恐れ多いとも感じることでした。

 (俺がNO2社員だ!)
 その自覚を持ち、俺が言わないと誰も言えない・・くらいの気持ちで、先輩社員さんとも向き合っていきました。

 言うても、入社3年目・・・年齢も25才(早生まれだし・・)
 そんな私がこのような立場にいた良いのか・・

 そこは、持ち前の元気と勢いで乗り越えていきます!
 今思えば、最初の板橋からずーっと“元気と勢い”だけでやってきたように思えます・・

 でも私には、入間での大失敗があります。

 『おまえは、新店をオープンさせるパワーはもっとる!足りないのは“継続”や!!』

 以前永井副部長から指摘されたことがありました・・

 新店オープンまでの準備や研修は、“知っていれば”どうにでもなります!大事なのは、その後!

 オープン後の最高な状態をいかに継続するか!

 ここからが私の進化が問われるのでした!

 続く・・


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