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フラミンゴに指を噛まれ、タヌキにケツを追突されたお父さんの話

 うちの家は別にそこまですごいわけじゃない。ただ、経験したことを積み重ねていくとちょっと数え役満みたいに普通じゃなくなるんではなかろうか? ということで、とりあえずお父さんのちょっと普通じゃないところをまとめてみることにしようと思った。

フラミンゴに指を噛まれたことが有る

 タイトルの通り、父はフラミンゴに指を噛まれたことが有る。まずこれが結構レアなんじゃなかろうか。
 それは某動物園に父が遊びに行っていた時のこと。お土産屋さんを一通り見て、買い物をしている奥さんを置いて、外に出た時だ。
 ちょこんと店先に立っているフラミンゴと目が合った。それはまるで精巧な作りの置物のように、ちょこんと立っていたらしい。
 それが店先だったのも有るし、その動物園が比較的動物との交流に力を入れていたのも有ったかもしれない。父はそれを置物か、それでなければそういうアトラクションなのだと思ったようだ。
 で、試しに「おーい」と声をかけながらツンツンしてみたら、指を噛まれたらしい。意外と痛かったとのこと。
 でもアトラクションだとしたら近くに飼育員さんがいないのは変だなあ、と噛まれてから思った父。お店の人に、アレは触っていいんですか? と噛まれてから聞いたところ、店員さんは大慌て。どうやら脱走フラミンゴだったようですね。そりゃそうよ。
 まあ何事も無かったからいいけど、良い子のみんなはフラミンゴがちょこんと立っててもつんつんしちゃダメだよ。

膝の皿を割って入院したら胸腺ガン早期発見された

 まあ膝の皿を割ること自体は珍しくないんだと思うんですけどね。それで、膝自体は大した手術ではなかったけども、年齢の割に10年ぐらい健康診断も受けてないということで、ついでに検査入院もすることになった次第。
 というのも、当時の父は2型糖尿病20年選手にしてヘビースモーカー。1日に2箱のエコーを吸うという、私も副流煙のお世話になりまくり、好きな食べ物はインスタントラーメン、好きな飲み物はコーラみたいなこう、健康意識というモンはお世辞にも高い状態ではない(勿論同居している家族つまり私も同様であったことは疑いようもない)
 そんなもん絶対、肺があかんことになっとるやろ! と思われたのかどうかはわからないが、ともかく胸のレントゲンだかCTだかを撮ったところ、父の肺はまるで若者のように綺麗だったという謎の現象が観測される。それはまあいいんだが、問題はその写真に一緒に写り込んでいたモンである。
 無いはずの物が見える、というスピリチュアルにも聞こえるコメントを頂き精密検査をしたところ、胸腺腫と思わしきものが見つかった、というわけ。
 胸腺腫っていうのは、詳しくは違う所を参照してほしいんだけれど、つまり胸の辺りの骨の中に胸腺っていうところがあって、通常そこは空っぽなんだけど、なんか有る……って感じのこと。胸腺腫だけでも10万人に0.5人とかまあ結構希少。私の病気でも10万人に100人ぐらいだから結構な希少っぷり。
 自覚症状無しの早期発見……ちなみに摘出手術、父の場合はパッカーンと背骨を割って中身を取り出した。出した時にはギリギリガンになってたから、膝を割ってなかったら死んでたなあ、と。人間万事塞翁が馬って感じのエピソードだ。
 

心筋梗塞1か所+狭窄4か所で普通に生きてる

 生き残ったんですよこれが。
 でもこれはわりと怖い話なので、記憶の片隅にでも置いておいてもらいたい。
 父は昨年の春頃、ものすごい左肩の肩こりを感じていたらしい。それはもう、肩こりで死ぬんじゃないかと思う痛みだったそうだ。肩こりに効く薬を塗っても全然効果無し。一週間ぐらい痛みに苦しんで、「これが四十肩って奴か!?」と思っていた。
 恐らくこれが、一番でかい心筋梗塞が起こっていた期間だと思われる。現在父の一番でかいところは血管が完全に閉塞し、その距離は5cmにも及ぶ。人体で5cmって大概やぞ。
 その他、小さいものまで含めると心筋梗塞は全部で6個所。普通そんな同時に起きるものなのか? 次に大きく閉塞したら死にますと言われて怖くなったものの、普通の人は1回目の閉塞で7割死にますと言われると、運がいいのだか悪いのだか……いやきっとかなり運がいいんだろう。
 どうしてそんなえげつない心筋梗塞が起こって気付かなかったのか、どうして大丈夫だったのか、私は医者じゃないから正確なことは知らない。だから気になった人は調べてほしい。
 ただ私の聞いたところでは、糖尿病患者は神経障害を受けて感覚が失われることがある。有名なのは足の裏で、釘が刺さっていても気付かない、骨が見えるまでえぐれていても気付かないレベルのものになったりするそうだ。そんな神経障害が、どうも心臓にも起こるらしい。
 無痛性心筋梗塞。割とガッツリ目に詰まって来ていて、かなり痛いだろうにそれを全く感じないのだ。父の場合は心臓そのものには痛みが無かったものの、左肩には繋がったらしい。この肩の痛み、心筋梗塞の症状としては有るものらしいので覚えておいて損は無いかもしれない。
 そして幸いにも、父の心臓の血管は一撃で詰まったわけではなかった。 詰まり始めた事を察した心臓周りの細い血管達は、こりゃあかん、と必死で血管を膨らましたようだ。一週間かけてじっくり塞がった血管の代わりの血管達が活動を始め、なんとか父の心臓は耐えた。普通に耐えてしまった為に、その後半年間心筋梗塞に気付かなかった
 こちらも定期健診でたまたま心電図を撮ったら発見されたパターン。その間にも他に4か所が狭窄しており、普通に心電図が測れない状態になっていた。もう少しほったらかしていたらどうなっていたかわからないね。


タヌキにケツを追突された

 なんのこっちゃと思うだろうが、これ以上に説明しようが無い。
 そもそも我が家は色々有って田舎の山奥、元は茅葺屋根の築何十年かもよくわからない家だ。当然トイレもくみ取り式、最近まで井戸水を使っていたし、風呂は薪で沸かすタイプのものだった。
 当然湯沸かし器なんぞついていない。冬は果てしなく薪で風呂を沸かし続ける。油断していると60度になったり、加減すると20度だったりする風呂との戦いは全員が風呂を上がるまで続くのだ。
 真っ暗な夜の闇の中、家の裏でごそごそと風呂の火を焚き続ける父。そんなある日、しゃがみこんでいた父のケツに、何かが当たった。振り返ると、そこにはびっくりした顔のタヌキが立っていたのだ。すぐに逃げて行ったらしいけれど、どんだけぼんやりしているんだタヌキってやつは。
 思えば私の家の屋根裏にはよく動物が忍び込む。カリカリいうのはたぶんネズミ、時々ドンッて降りてるのはたぶん猫。そしてあの、ずーるずーるホウキだか赤ちゃんだかを引きずっている音を出しているのはたぶんタヌキか何かだ。
 以前私が夜に寝ていると、ずりずり私のベッドの上辺りにやってきて、ごろんごろんした挙句に、なんかちょうどいい隙間を見つけたらしくて、ぐうぐういびきをかきながら寝始めたやつ。アレもきっとタヌキだ。おかげで一晩中眠りが浅く、朝が来て明るい窓の外を見ながら私は思った。あの野郎、出て行った気配が無い。まだそこで寝てんのか? 私の安眠を妨害しておいて?
 怒った私は下から天井板にアッパーを噛ました。「ファッ!?」と起き上がるような音が聞こえた。このやろこのやろ! と天井板をどつきまわすと、なんか必死で逃げていく音がした。勝った気がした(侵入されている時点で負けだ)
 衛生的にも良くないから、屋根裏に何か侵入し始めたら普通の家の人はすぐなんとかしたほうがいい。たにし君との約束だ(我が家はもう色々と手遅れだ)

こないだ脳出血する

 それはとある日の16時。唐突に左半身の麻痺を覚え始めた父。なんだか変だなあ? ぐらいな気持ちで過ごしていた18時。嫁さんに「左の顔が歪んでるよ!」と言われてすぐに主治医の病院に連絡、幸いにも救急で受け入れてもらえ、発症から約5時間で処置が完了した。
 聞くところによると、これがかなり最善を尽くせたらしい。これで「もう夜だし明日病院に行こう」とか考えると手遅れになるし、一人暮らしていきなり意識を失っていてもなかなか難しい状況になったそうだ。処置は早ければ早いほどいい。覚えておいていただけると幸いだ。
 尚、私は脳梗塞っぽい症状が出始めて病院に行ったのが6時間後だった。完全にアウト寄りだが私の場合は何も無かったので本当に良かった。

 その話はこちら

 と、いうか。
 約1年で、心筋梗塞発見されて手術し、これは書いてないけど5mの崖から落ちて出血多量で死にかけ、その3か月後に脳出血した。どんだけ死なせたいんだ、よくわからない何かさん。そろそろ心穏やかに過ごさせてくれ。
 まだ全然安心できる状況じゃない。全然そんな状況じゃないけど、この記事を書いてる。笑い話でもしてなきゃやってらんないよ。


還暦になってプログラミングを始める

 タイトル通りだ。もうちょっとネタが切れてきたからこのぐらいにしておく。
 全部言うなら、弟が脳性小児麻痺とか、一人娘が指定難病とか、一人娘をノリで自営業主にさせるとかまあ細々したことはいっぱいある。細々したことだと認識しているのは私だけかもしれない。また気が向いたらその辺のことも語ろうかと思う。


ちょっとは珍しいですかね?

 当事者には、わからないんですな。

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