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大学生は”専門性”をどう捉えているのか?

谷本英彰と申します。
大学で保健体育の教員養成に携わっています。

仕事柄、大学入試などで面接をしたり、新入生に将来の夢(卒業後にやりたいこと)を聞いたりする機会があって、「この学部で○○について学んで、将来は○○の専門家として活躍したい。」と目をキラキラさせながら語るのをいつも微笑ましく見ています。

一方で、就職活動に関わる相談などにのることも時々あって、”社会人1年目や就活段階で求められるのは専門的な能力よりも汎用的な能力”という話もよく耳にします。

"その仕事の専門性は入社してから身に付ければいい” といった具合です。

大学入り口の動機は ”専門性” 、出口で求められるのは ”汎用性”

入り口から出口の4年間に携わる立場として、このねじれのような状態をどのように捉えればよいのか?気になったので、現役大学生に「あなた達にとって”専門性”または”専門的に学ぶ”とは何か?」みたいなことを聞いてみました。

私が所属しているのは、スポーツ系の学部なので、スポーツについて学んでいる学生はこんなこと考えてるのか・・という視点で見てもらえると嬉しいです。

ちなみに、話を聞いてみたのは大学3年生です。

進学前の先入観

大学に入る前は、その学部に行くと、その学部で学んだ内容(専門性)に関する仕事しかできなくなると思っていました。なので、入学する前は、その分野のスペシャリストになろう!と考えていました。でも、入学して、いろんなことを学んで、就職に関わる活動をしていくうちに、意外と何やって
もいいんだなと思いました。

専門性は ”好きなこと” を軸にする程度のもの

正直、大学卒業後にどんな仕事に就きたいか?なんて明確に決まっていなかったし、深く考えてもいませんでした。なんのために大学に進学したかというと、”大学卒業”という資格が欲しかったからです。大学卒業という資格を取るために4年間それなりに楽しく過ごしたいので、自分が興味ある学部を選びました。それを専門的に深く学びたいとまでは思っていませんでしたし、今もそれほど深く学びたいとは思っていません。むしろ、好きなことを軸にしながら世界を広げて、いろんな経験をしたいです。

選択肢の1つとしてキープしておくもの

大学入学時には、専門性を高めて、その専門性を活かした仕事ができるところに就職したいと考えていました。でも、大学に入ってから様々な経験を積んでいくうちに「あれも楽しそう」「これも楽しそう」といった具合に、大学で専門的に学んでいるもの以外のことにも興味を持つようになりました。なので、今は学部で学んでいることを活かして仕事をしたいという気持ちは、入学時よりも薄れています。たくさん興味があるもののうちの1つとして仕事になる可能性もあるかな…?ぐらいの感覚で学んでいます。とりあえず、単位取って卒業できればそれでいいです。

大学はフワッと学ぶところ

なんとなくスポーツに関わる仕事に就きたいとは思っていたんですけど、それが何か?は全く分かりませんでした。明確な目標があれば、それを学べる専門学校に行っていたと思います。その目標が無かったので、興味あることをフワッと学べる程度でいいかなぁと思っています。

以上、4つの意見を見てみると、大学生は私自身が気にしている程に専門性についてのこだわりが無く、柔軟な考え方を持っているように感じました。

あと、大学入学後の経験が、彼らの世界を広げているということを強く感じました。

その他にも、専門性と直接関係あるかどうかは分かりませんが、次のような興味深い意見も聞けました。

井の中の蛙からの脱却

専門的に学ぶことについては、よくわかりませんが、世の中にはもっとすごいヤツがいるんだ!ってことを知れたのは良かったです。高校時代は学年トップクラスのスポーツマンだったんですけど、ここでは凡人なんですよね。上のレベルの奴らってすごいんだなぁってのはあります。

同世代と比較して、同じことに興味を持っている人たちと比較して、自分自身がどの位置にいるのか?を実感できたという意見です。

これも、彼らの世界を広げることに寄与している内容だと感じました。

おわりに

以上を踏まえると、大学が提供する専門性とな何か?余計に分からなくなってきた気がします。

ちなみに「もし、専門の学部が無い(教養科目のみの)大学しかなかったとしたら、大学に行く?」と10人ぐらいの学生に質問してみたところ、「行く(6人)」「行かない(4人)」ぐらいの割合でした。

大卒の資格は欲しいけど、興味が無いことを勉強するのはちょっと・・という感じかな?

専門性を謳わないのは違うけど、謳い過ぎるのも違うんだろうな・・と思いました!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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