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現役の公立教師に不登校のことを知ってもらうと?

私は、小学校の1年生から約3年間、学校へ行っていなかった。
行っていないということは、学校の「外」で暮らしていたということで、のちに学校へ通いだすようになると、学校の「中」で暮らすことだ。

文字にすると、「そんなの当たり前じゃないか」と思われそうなことだが、この両側の世界を小さな内に知れたことが、のちに何度も私を救ってくれた。
生きていて、めげそうなときや「もうだめかも」とその場に座り込みたくなるようなときでも、「いや、世界はとてつもなく広いんだ。私に合う世界が、他にきっとある」という希望になったのだ。

だから私は、『学校へ行かなくてもいいし、行ってもいい』という思いを持って、不登校で悩むお母さんや子どもたちにメッセージを送ってきた。けれども、今回の経験で、私の中が大きくゆらいだ。

それは、「私がやっている支援の角度って、ほんとうにこれだけなんだろうか?」という大きな問いに対するゆらぎ。いまも言葉につまる。

どうしてそんな気持ちになったのかというと、先日ある公立S 小学校へ、校長先生を含む現役の先生全員参加の「不登校の実態を知る」研修に、元不登校当事者として登壇してきました。

今回は、その内容や感想を書いていきます。
この研修を企画してくれたA先生、ほんとうにありがとうございます!




不登校の認知はゼロ

この研修が行われる前に、企画してくださったA先生が事前アンケートを取ってくれました。
そこでわかったことは、ほぼ100%の教師が、「不登校はいけないこと」と回答していました。
しかし、登校刺激や無理やり来させることが、子どもにとって「良いことではない」ということも同時に回答されていて、結果「なにをどう対応すればいいのかわからない」という困惑の声が大半でした。


不登校について、私もわからないことだらけ

この研修は、くらら庵代表の朝倉さんと、小学校不登校だった私、高校で不登校だったくりりん(東京から参加!)の3人が登壇しての3部構成でした。

最初に、朝倉さんが支援者の立場で不登校の実態(教育機会確保法や、不登校から心が回復するまでの流れ、支援についてなど)をお話しし、その後、インタビュー形式で不登校当事者2人が、当時の話をしていき、最後に質問タイム、という流れ。

朝倉さんパート

朝倉さんのお話しは、私自身とっても勉強になりました!
不登校だった当時は、6才だったこともあり、「人と私はどう違うのか?」にしっくりする回答を持ち合わせないまま、大きくなった。
なので、体系だてて教えてくれると、「そういうことだったのか~!」と、あのころのカオスの原因がわかって、一人アハ体験ができました(笑)


敵陣で話す感覚

次に、私とくりりんが当事者としてお話しするパート。
内容は、
①当時の思い(不登校になる直前となってから)
②教職員との関わりエピソード
③学校の魅力について
でした。

話した内容はこちらで語っております。
よかったら聞いてね。

いつも不登校の親の会や、取材していただく際に話すことと、対して変わらないのですが、今回の聞き手は現役の教職員です。
そして、不登校についての知識を、始めてこのタイミングでみなさん吸い込むわけです。第一印象がこの日で固まってしまう。なので、言葉選びはとても気をつけました。
それは、建前やお膳立てをすることではなく、いかに教職員へ「敵意がないか」を、たたずまいや言葉じりで出すぞ、という意気込みです。
これは一緒に話すくりりんもめっちゃ気をつけてたと思う。
隣から伝わった(笑)


その誠意のおかげか、先生たちも始めはけっこう構えた姿勢でしたが、表情がすこーしずつ柔らかくなって、前のめりに聞いてくれるようになった気がします。

この研修の目的は

企画してくれたA先生は、子どもに対してものすごく熱くて、暑苦しくて(笑)だから「出来ることは協力したい」って、率直に思いました。

私が研修に参加した目的は、こちらの意見をいうことではなく、困っている教職員のみなさんの力になりたかった。これだけ。
でも、「これだけ」が、どれほど難しいことなのかも、わかってる。
わかっているからこそ、まずは「やる」。理解し合うための1歩だと思いました。


質問タイム


研修後のアンケート

研修が終わったあと、「終わってからも好評で、色んな先生に声を掛けてもらえてる!」と、A先生。ほんとうにやってよかった!
その感想アンケートを「ぜひ使ってください!」と言っていただけたので、
ここでご紹介します。

教員としての関わり方を考えたいです。保護者,本人の3者で多面的な考え方をして,短期的な視点でなく,長期的な視点で見ていきたいと思いました。

校長先生より

不登校経験者のお話を聞かせていただいて、「学校を休むこと」「無理して学習しなくていいこと」も大切なのかなと感じました。今までは「何とかして学校に戻さないと」と強く思っていましたが、自己選択の機会を作りながら、タイミングを待つことも必要だと考えが変わってきました。みなさまの思いを思い出しながら、これから子どもたちとのかかわりに生かしていきたいと思います。

 本日は貴重なお話ありがとうございました。不登校児童が増えているという社会情勢の中、教員としてどうすればいいのか悩む中で今回お話を聞けたことは大きかったです。当時の体験からの思いを聞けたことは、不登校の子へどのようにアプローチをかければいいのかヒントとなりました。個を尊重することや先生として個を見せるということが響きました。貴重な時間、ありがとうございました。

不登校を経験した方のお話を実際に聞くのは、初めてでした。不登校期間にどういう思いで過ごしていたか、などはなかなか聞くことができないので、貴重な機会となりました。これまで担任した不登校の子に対して、「勉強しなくても大丈夫。」「登校しなくても大丈夫。」とは言ってあげられなかったので、今後どういう対応をできるか、考えていきたいと感じました。

不登校の児童への関わりは、今でも悩むことが多く、これまでの不登校支援をしていたことを思い出しても、本当にあの対応でよかったのか、その子や保護者のためになったのかということを考えてしまいます。
学校に来る・来ないでなく、その子にとって何が一番いいのか、自己決定をさせる機会をもちながら必要な支援を常に考え続けることが大切だと感じました。

今日は不登校当事者の方の思いを聞かせていただく貴重な機会をいただきありがとうございます。
これまで、不登校の児童を担任してきて、いろいろ悩んできましたし、これでよかったのかなと自分の支援について考えさせられることが多かったです。現在も二年生まで不登校の児童を担任していますが、これからの支援についてまた本人の様子を見つつ、保護者と関係機関と連携をとりながら、進めていきたいと思いました。ありがとうございました。

必ず学校に登校しなければならないわけではないと思うので、学校以外の機関がこれからもっと充実していってほしいと思いました。日本のような教育システムが合わない子が少なからずいるということは、変えていく必要があるのではないかとは思います。自分にできることは何かあるのかを考えていきたいと思います。

これまで、積極的な登校支援をしてくることが多かったかなと思います。不登校は不登校の子供の数だけ原因があり、本当に支援の方法は正解がないなと思いました。しかし、子どもの思いや背景に寄り添い、不登校の原因をしっかりと考え見つめ、子どもの可能性を信じて、支援を模索していきたいと思いました。



この研修でみえてきた「次の扉」

ここで、冒頭に書いた「ゆらぎ」につながります。
お互いに信じてるものが違うと、こんなにも溝をつくるのかと、思い知らされました。

でも、私の中で、新しい希望も生まれたのです。
立場の保身や、常識をすっ飛ばして、お互いが「子ども達のために」を考えた瞬間に、団結できることがあるんじゃないか。

そして、その団結のパワーは、憲法とか制度を超えて、子ども達の笑顔をつくる、ものすごい力になるの、かも。
いや、これはなるだろう。って、確信できた日です。

この機会をくれたA先生が、「子ども達に会いたいです?」と聞いてくれて、
即答で、「会いたいです」って言った。

いまは夏休み。
すぐの話じゃないけど、これからまた、新しいことの予感がする。


研修終わりの打ち上げ!(朝倉さんは次の講演で残念欠席)


一緒に登壇できた朝倉さん、くりりん!
そしてA先生!
かけがえのない経験を、ほんとうにありがとうございました!

今回はほんとうに思ったことがたくさんあって、もうちょっと突っ込んだことはこちらで話してます!よかったら聞いてね。

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