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慢性疾患の食事療法~酸化油フリー~

酸化しやすい植物性の油は腸漏れを起こす

慢性疾患の食事療法では、すべての病気の入口ともいえる腸漏れ(リーキーガット症候群)を改善させるために、小麦を控える(グルテンフリー)、牛乳・乳製品を控える(カゼインフリー)と並んで、酸化しやすい油の摂取を控える(酸化油フリー)ことが大切です。油は栄養学的には脂肪酸と呼ばれ、主に植物性の不飽和脂肪酸と動物性の飽和脂肪酸に大別されます。このうち酸化しやすい油が植物性の不飽和脂肪酸です。酸化しやすい理由は、その化学構造にありますが、詳細は割愛します。酸化しやすい植物性油の代表は、サラダ油、キャノーラ油、エゴマ油、ゴマ油、米油、オリーブオイルといったものです。小麦のグルテンを使う代わりに米粉で作ったお菓子やパンを食べている方もいらっしゃいますが、実はお米は粉にしたとたんに酸化が始まります。米油の酸化が関係しているのだと思いますが、米粉はグルテンと同じように腸漏れの原因となります。ですので腸漏れがある患者さんは米粉の摂取も控えていただきます。オリーブオイルに関しては、一般的には体に良いという宣伝がされていますが、実は条件が2つあります。それは、汚染や酸化のない良質なオリーブオイルであるということ、そして加熱せずに使うこと、です。空気や日光や加熱によって酸化されますので、遮光瓶に入っているかや、家庭での保存状態にも左右されます。何よりもオリーブオイルは世界でもっとも混ぜ物(adulteration)が多い食品といわれておりますので、スーパーなどで質の良いオリーブオイルを探すことは難しいと思います。ですので、オリーブオイルもできるだけ控えていただくようにしています。

良質なココナッツオイルを積極的に摂ろう

当院でおすすめしている油は、良質なココナッツオイルです。商品名をいうと、ココウェル社の有機ココナッツオイルやMCTオイルを特におすすめしています。ココナッツオイルは植物油のなかではめずらしく、90%以上が飽和脂肪酸でできており、そのため植物油の中でもっとも酸化に強いのが特徴です。飽和脂肪酸の60%以上が中鎖脂肪酸(MCT)で構成されており、エネルギーとしての燃焼効率がよい油です。液体タイプのMCTオイルであればドレッシングやコーヒーにいれたりと、生で使うこともできます。日常的に摂取する油を酸化しやすい不飽和脂肪酸ではなく、酸化しにくい飽和脂肪酸に変えることで、細胞膜の脂肪酸が入れ替わっていくうちに、皮膚の炎症や体の痛みといった様々なトラブルが徐々に改善していきます。ゼロ・サーチでみると、酸化油は腸や肝臓などに炎症を起こしますし、乾燥するタイプの湿疹でお悩みの方や、ホットフラッシュなどの自律神経症状でお悩みの方には間違いなく酸化油の共鳴が強くみられます。酸化した油は腸に炎症を起こすことで腸漏れを起こし、そこから悪玉菌、金属、化学物質などが血液中に漏れて全身に影響します。 また、特に肝臓に沈着し、慢性的な炎症を起こすことで肝臓の解毒の機能を低下させます。

酸化油が体から抜けるまで数年かかる

小麦のグルテンや乳製品のカゼインは2週間控えることで体からその影響が抜けていくことが多いですが、酸化しやすい不飽和脂肪酸は体から完全に抜けるまでは4~5年かかるといわれています。ですので、酸化油フリーの食生活は気長にやっていかなければなりません。患者さんにはサラダ油やキャノーラ油など酸化しやすい植物油脂の使用は避けて、ココナッツオイルを優先的に使っていただくように指導しています。また、コンビニエンスストアやファストフード店などの揚げ物は、グルテン+酸化油の組み合わせの中で最も体によくないと考えられるため、体調不良でお悩みの方はそれらを食べないことを強く推奨します。体にたまった酸化油に関してはタチオン散などの解毒剤を使って解毒をサポートしていくことはできますが、基本は酸化しすい油を摂取しないことです。体調不良のある方はまず油を変えて体の細胞をじっくりと入れ替えていきましょう。

油を含むサプリメントに要注意!!

植物油を成分に含んでいるサプリメントを摂取している場合も、酸化油による体内汚染を起こし、慢性疲労や慢性湿疹などの体調不良の原因となっている可能性があります。サプリメントを選ぶときは、主成分だけではなく、添加物として何が入っているか成分表をよくみて確認することが大切です。また、テレビCMや通販番組などで体に良い油としてオメガ3系脂肪酸のDHAやEPAが宣伝されており、患者さんの中にも病気予防のためにこれらが含まれた魚油のサプリメントを積極的に摂取されている方がいます。しかし、DHAやEPAは多価不飽和脂肪酸(PUFA)とも呼ばれる、脂肪酸のなかでもっとも酸化しやすい油であり、体内で細胞障害を起こし、慢性疾患を引き起こす原因となります。ゼロ・サーチで肝臓に酸化油の蓄積が推定された場合、普段使っている調理油のほかに、魚油を含む油系の健康食品・サプリメントを摂取していないかを必ず確認しています。魚油のサプリメントを控えることで、疲労感が改善していく方も実際にいます。慢性的な体調不良の原因が、健康に良いと思って長年飲んでいるサプリメントだったということは盲点になりやすいので要注意です。


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